| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

久遠の神話

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六話 上城の初戦その十


「その様に」
「では文献のことは御願いしますね」
「はい」
「それでなんですけれど」
 樹里は聡美の話に頷いてからだ。それからだ。
 あらためてだ。彼女にこのことを問うたのだった。
「怪物を倒したら黄金が出て来ましたけれど」
「そのことですね」
「あれは手に入れてもいいんですか?」
「はい、そうです」
 それでいいとだ。聡美はすぐに答えた。
「剣士への報酬ですから」
「報酬ですか」
「勝利には報酬があるものです」
 その摂理をだ。聡美は今度は話したのだった。
「だからです」
「それであの黄金が出て来たのですか」
「そうです。あれは手に入れられてです」
「使ってもいいんですか」
「その辺りは剣士それぞれの判断になります」
 もっと言えば手に入れるのもだ。そうだというのだ。
「そういうことなので」
「後は上城君次第ですか」
「そうなります」
「戦い勝てば黄金が手に入る」
 このことについてだ。樹里はさらに考えた。
 そしてだ。顔を暗く変えてだ。聡美にこんなことを話した。
「あの、剣士の人達の中にはです」
「戦う理由はですね」
「黄金を手に入れる為にという人もいるのでしょうか」
「実際に過去に何人もいました」
「いたんですか」
「はい、いました」
 聡美はここでも失態を犯してしまっていた。そうした剣士達を見てきたと言ってしまったのだ。だがだ。樹里はここでも気付かなかった。
 それでだ。気付かないまま言うのだった。
「それじゃあ上城君は若しかしたら」
「お金の為に戦う様になるかも知れないというのですね」
「そうなってしまう危険もあるのですね」
「人は変わるものです」
 聡美はまた真理を話した。
「ですから。その可能性はです」
「全くないとはですね」
「言えません」
 そうだというのだ。
「それはどうしても」
「そうですか。それなら」
「ただ。お金には色々な使い方がありますので」
「色々なですか」
「はい、よい使い方もあれば悪い使い方もあります」
 ここでもだ。聡美は真理を話した。
「それはその人それぞれです」
「いい使い方を選ぶのか悪い使い方を選ぶのか」
「それぞれですから」
 こう樹里に話すのである。
「ですからそれ程です」
「このことは深刻に考えることはありませんか」
「上城君は大丈夫です」
 聡美の言葉は確信のものもあった。それがこれだ。
「彼は悪いことにはです」
「なりませんか」
「ならないです」
 その闘いを終えた彼を見ての言葉だ。
「ですから御安心下さい。いえ」
「いえ?」
「信じて下さい」
 こうだ。聡美は言葉を言い換えたのだった。
 言葉を言い換えてだ。そうしてだった。
 上城にもだ。こう声をかけたのだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧