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久遠の神話

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第三話 見てしまったものその一


                   久遠の神話
               第三話  見てしまったもの
 上城の学園生活は変わらない。そのままだった。
 部活でもだ。平和だった。
 今日は部活でランニングだ。その休憩時間にだ。
 スポーツドリンクを飲みながらだ。部活仲間の話を聞いていた。
「うちの部活ってあれだよな」
「ああ、走ってばかりだよな」
「ランニングとか。筋力トレーニングとかな」
「素振りよりそっちの方が多いよな」
「絶対にな」
「まずは体力だ」
 ここでだ。その剣道部の顧問の先生が来て彼等に話す。
「だから走るんだ」
「いつもそう言ってますよね」
「だからだって」
「そうだ。稽古はそれからでいい」
 そうしたものは二番目だというのだ。
「まずは走ることだ。部活だしな」
「部活だからですか」
「走るんですか」
「それからなんですか」
「そう、部活は楽しんで心身を鍛える為にあるものなんだ」
 腕を組んでだ。顧問の先生は確かに話す。
「だからだ。走るんだ」
「じゃあ勝つ為に稽古ばかりしてるのは」
「そういう教師もいるな」
 先生も話す。
「そういう教師はだ」
「間違いですか」
「やっぱりそうなんですね」
「そうだ、そうした教師が考えているのは」
 何かというとだ。それは。
「自分の成績をあげることだけだ」
「部活ですか?」
「それですか?」
「そう、それだ」
 そのことを話すのだった。
「部活で実績をあげても得点になる」
「教師のですか」
「得点になるんですか」
「そう、なる」
 また話す先生だった。
「それで生徒のことを考えずにそうした稽古ばかりさせる」
「何か嫌な話ですね」
「そんな教師もいるんですね」
 上城達もここで知ることだった。
「っていうか教師に成績があるんですか」
「そうしたのがあるんですか」
「ある。そしてだ」
 さらにだった。
「そうした教師は生徒が試合に負けると」
「教師の成績に関わる試合がですか」
「それに負けたらですか」
「生徒に八つ当たりをする」
 こうした教師が実際にいるのが我が国の教育界だ。それだけ歪み腐りきっているのだ。残念なことにそうした教師も多いのだ。
「虐待にもつながる」
「虐待、ですか」
「そんなことして許されるんですね」
「それが教師の世界なんですね
「残念なことにな」
 まさにその通りだというのだ。
「その教師が前に大学でやられたあの教師だ」
「あいつだったんですか」
 その話を聞いてだ。上城は驚きの声をあげた。
 そしてそのうえでだ。顧問の先生に言った。
「あの中学校の」
「あいつのことは知っていた」
 顧問の先生は不機嫌そのものの顔で話す。
「中学生相手に突きをして罵倒の限りを尽くしていた」
「そうらしいですね」
「中学生に突きって」
「竹刀を蹴飛ばし床で背負い投げをしていた」
 そうしたことも知っている先生だった。
「最低の人間だった」
「ですよね。そこまでするって頭おかしいでしょ」
「相手まだ子供じゃないですか」
 中学生ならだ。こう言ってもよかった。 
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