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久遠の神話

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第二話 銀髪の美女その十


 樹里はこう上城に話すのである。
「銀月さんだけれど」
「あの人だよね」
「変なこと言ってるわよね」
「うん、かなりね」
 そうだとだ。上城は樹里のその言葉に頷いた。
 そのうえでだ。首を捻りながら話すのだった。
「僕がさ。何か」
「運命がってね」
「この時代でもこの国でもって」
「おかしな話よね」
 樹里も言う。
「これって」
「おかしなっていうか」
「何か引っ掛かる?」
「そんな話だけれど」
「引っ掛かるっていうことは」
 そのことはどうかとだ。樹里は上城に話す。
「思うところがあるからよね」
「思うところって」
「そう。何も思わなければ」
 どうかというのだ。その場合は。
「引っ掛かるなんてことないじゃない」
「聞いてすぐにでも忘れるかな」
「そう。もう簡単にね」
 そうなるというのだ。
「だから。引っ掛かるのは」
「何か思うところがあるから」
「何で思うかまではわからないけれど」
「それでも僕は思ってるんだ」
「心の何処かでね」
「何かそれって」
 どうかとだ。上城はここで言った。
「余計におかしな話だよね」
「そうよね。私もそう思うわ」
「おかしな話だっていうんだね」
「それもかなりね」 
 そうだというのだ。
「また随分と」
「運命ねえ」
「それと剣道よね」
「ひょっとして」
 首を捻りながら。上城はこう話した。
「あれかな。僕の前世がさ」
「前世ね」
「剣術家か何かで」
 それでだ。どうかというのだ。
「そのせいで。今何かあるのかな」
「何か話がSFめいてきたわね」
「そうだね。こう考えると」
「完全にSFじゃない。それかファンタジー」
「それであれかな」
 上城はいささか調子に乗った感じでだ。樹里に話す。
「僕は運命の剣士だっていうのかな」
「それで何かを果たすとかね」
「そんな面白い話かな」
「だったら面白い?」
「いや、実際にそんなことになったら」
 どうかというのだ。その場合は。
「結構鬱陶しいと思うけれど」
「運命に導かれて何かをするっていうのは」
「うん。それって鬱陶しいことだと思うよ」
「そうね。考えてみれば」
 腕を組んで考える顔になってだ。樹里も言う。
「そうなるわよね」
「そうそう。厄介なことだと思うよ」
「ましてやそれが命賭けのことだったら」
「余計にまずいわよね」
「そんなの絶対に嫌だよ」
 上城は顔を顰めさせ苦笑いになって述べた。
「もうね」
「そうよね。それはね」
「まあそんなことは絶対にないだろうけれど」
「漫画じゃあるまいしね」
「そうだよね」
 笑いながらそうした話をしてだった。上城は剣道部の道場に向かう。そしてだ。
 樹里は新聞部の部室に向かった。二人はそれぞれの部活を楽しみだ。健全な高校生活を送るのだった。


第二話   完


              2011・7・12 
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