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俺が魔王の息子ってマジですか!?

作者:ユウスケ
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3話 体育座りの魔王とジャンケン

ー紅蓮視点ー

「え?ヒルダ達を焔王に仕えさせたいって?別にいいよー。
つーか、紅蓮の好きなようにすれば?」

「はい」

ヒルダ達を弟に仕えさせてもらえるように頼みに来た俺。
意外とすんなり頼みごとが通った事に驚いたが、父の人柄を
考えると、納得した。
それから、父の部屋を出た後、自室でヒルダ達にこの事を伝えたのだが・・・。

「「「「・・・・。」」」」

なんか、しばらくすると4人が魔力をもらしながらにらみ合いを始めた。
正直とても恐ろしい。
ビビリながら様子を見守っていると、ヒルダが俺を見た。
なに!?なんなの!?

「紅蓮様。」

「なんだ?」

ヒルダが真っ直ぐ俺を見て、話しかけてきた。
それに対して俺は、余裕ですよ。怖くないよ?
みたいな感じで魔王っぽく対応する。
俺、いつかストレスで胃腸炎になると思うんだ。

「さすがに、我ら全員が焔王様に仕えると紅蓮様の世話をするものがいなくなります。」

「別にかまわんが」

「いえ、紅蓮様には問題は無くても、世間体に問題があるのです。」

「世間体?」


にらみ合っている様子から考えると、怒られるか、罵倒されるんじゃないかと思ったのだが
・・・。
どうやら違うらしい。
しかも、話を聞いてみると、どうやら彼女は俺の心配をしてくれているらしい。
なんていい子なんだ!本当は悪魔の皮を被った天使じゃないの!?
彼女達に怖がっていた自分に反省しつつ、世間体について聞いてみる。
俺だったら、周りにお世話されてる方が世間体に悪いと思うんだけど・・・。
悪魔の考え方は違うのか?

「そうです。紅蓮様は王族で、しかも直系です。
その方が侍女悪魔も連れずに居れば、『誰も仕えてもらえない』、
『誰も世話をしようとも思われないような人』などと、言われ
国民の支持にも影響がでます」

「・・・・」

ヒルダの説明を黙って聞く俺。
表面上では落ち着いて、ヒルダの話を聞いているが内心は酷い事になっていた。
やべー!そんなに大変な事になるの!?
確かに、王様とか王子様っていろんな人にお世話になっているけどそういう意味も
あったんだ・・・。
あれ?じゃあ、迂闊な事した?
じゃあ、撤回するか?かなり恥ずかしいが、それしかない。
国と俺の恥、当然国の方が重要だ。
そんな感じで、恥をかく覚悟を決めると・・・。

「ですから、紅蓮様。ここは、我々のうち三人が弟君であらせられる焔王様に仮で
お仕えし、一人は今まで通りに紅蓮様にお仕えすれば問題はありません」


大天使ヒルダ様が打開策を提示してくれました。
ヒルダ様!アンタ、マジ天使!!
もう、ヒルダが魔王になればいいんじゃないか!?
心の中でヒルダにとても感謝しつつその案に乗っかる事にする。

「わかった、そのようにするといい」

「では、紅蓮様。我々は少々席をはずします
これから、弟君に仕える三人を決めますので・・・」

「わかった。ケンカなどせず、じっくり話し合うといい」

「「「「はっ!」」」」


こうして、俺の世間体と国は天使ヒルダのお陰で救われ、
事件の幕は閉じた。
あれ?俺、彼女達の役に立とうとしてたんじゃなかったっけ?
結局は迷惑をかけまくっている、自分に涙しつつ誰もいない自室で体育座りをする。







自室で体育座りをしながら、さめざめと泣く魔王の息子・・・






なさけなっ!!!



ーヒルダ視点ー

突然の紅蓮様の移動命令。
私達4人はとてもショックを受けたのだが・・・。
はたして紅蓮様が大魔王様のように、考えなしで発言するだろうか?
私達は素早く、アイコンタクトをする。

『紅蓮様の発言をどう思う?』

『紅蓮様の事、何か意味があるのでしょう』

『私には紅蓮様のお考えは、わからん』

私がヨルダ、サテュラ意見を聞くが二人はわからないようだ。
使えん。
他の二人と違いって、イザベラは考えているようだが・・・。
私達はイザベラに注目する。

『もしかしたら紅蓮様は純粋に魔力制御の出来ない焔王様が心配なのでは?』

『あー・・・、たしかに紅蓮様ならありそうだな』

『なるほど・・・。確かにその可能性は高い』

『そうね、確かにその方が紅蓮様らしいわ』

イザベラの意見に納得するサテュラ、私にヨルダ。
紅蓮様のお人柄を考えれば簡単な答えだった。
辿り着いた答えにすっかり安心した私は、ある事を閃いた。
三人を焔王様に押し付ければ・・・。



紅蓮様を一人で世話できる


私は三人の様子を伺う。
すると、奴らも私と同じ考えに至ったようで、魔力を漏らして
私達は全員の目を見る。

『どうやら考えている事は一緒のようだな』

『そのようね』

『では・・・・』


『『『『紅蓮様を説得した後で決着をつける!!』』』』


こうして紅蓮様の傍仕えの権利を掛けた戦いを決めた後、私は代表して紅蓮様説得を
始めた。


ー数分後ー


「ですから、紅蓮様。ここは、我々のうち三人が弟君であらせられる焔王様に仮で
お仕えし、一人は今まで通りに紅蓮様にお仕えすれば問題はありません」

数分の時間を掛けて、話を終えた私。
紅蓮様は私の目を見て、最後まで話を聞いていた。
後は紅蓮様の決定しだい・・・。









「わかった、そのようにするといい」

じっくり数秒が経った時、紅蓮様のお許しの言葉が出た。
そして、それと同時に私達のすぐにすべきことが決まった。

「では、紅蓮様。我々は少々席をはずします
これから、弟君に仕える三人を決めますので・・・」

「わかった。ケンカなどせず、じっくり話し合うといい」

!?

私が退室の言葉を述べた後、紅蓮様の言葉に驚愕した。
何故なら、紅蓮様は私達に釘をさしたからだ。

『暴れず、別の方法で決めろ』

少なくとも私はそう聞こえた気がした。
どうやら、紅蓮様は私達の考えている事などお見通しのようだ。
さすが、紅蓮様!!



「「「「はっ!」」」」


私達は紅蓮様のお言葉を受け止め部屋を退出する。

「ジャンケンです・・・」

「「「ジャンケン・・・。」」」

廊下に出て、私達の部屋に向かって歩き始めた時、イザベラがジャンケンと言い出した。
たしか人間界の単純なゲームだったか?


「おいおい、ゲームで決めるのかよ・・・。」

「じゃあ、サテュラは何か思いつくの?」

ジャンケンの事を思い出していると、サテュラとヨルダの会話が聞こえてきた。
サテュラの意見のようにゲームで決めるのはどうかと思うが、ジャンケンはすぐに結果が出る。
紅蓮様をあまり待たせたくない私達にとってはとてもいい提案だと思った。
私達はアイコンタクトでイザベラの意見に同意し、ジャンケンの構えを取る。
負ければ紅蓮様の弟君に仮とはいえ仕える事になる。
だが、勝てば・・・。
全員が己の思いを拳に乗せる。

『ジャン!』

いざ!

『ケン!!』

尋常に!!

『ポン!!!』

勝負!!!




全員が全員の出した手を見つめる。
そして、勝負の行方は・・・・。


 
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