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俺が魔王の息子ってマジですか!?

作者:ユウスケ
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4話 どうやら子育ては相当なストレスのようです。(前編)

ー紅蓮視点ー

どうも、紅蓮です。
弟の件で報告に来た4人。
ヒルダはとてもいい笑顔だったのだが、残りの三人はどこかの公園にいる無職の
おじさんのような哀愁のただよう表情だった。
一体何があった?
とても気になったが、聞いてはいけないと思ったので聞くのはやめた。
正直聞くのがとても怖い。

そんな出来事から、早5年。
俺は15才になった。
正直この年齢は好きじゃない。
だって前世で死んだ年齢だよ、めっちゃ不吉じゃん。
何もなければいいが・・・。
何も無い事を祈りつつ、自室の窓からよどんだ魔界の空を見る。

バタン!

「兄上!余と勝負じゃ!!」

「焔王坊ちゃま!!?」

「さすがにまずいッスよ!!」

「紅蓮様に怒られますよ!!」

空を眺めていると、扉が力強く開いて聞き覚えのある声が聞こえた。
そう、俺の弟である焔王とイザベラ、サテュラ、ヨルダの声だ。
俺は、ため息をつきながら顔を扉の方に向ける。

「兄上!余と勝負じゃーー!!」

「坊ちゃま!勝負なら、このイザベラがいたしますから!!」

「そうですよ!なんなら私でも・・・!」

「紅蓮様、申し訳ございません!!すぐに出て行きますので!!
さあ、坊ちゃま。ヨルダ達とお部屋に戻りましょう!!」


イザベラ、サテュラ、ヨルダが、わがままプーに育ってしまった弟を、なんとか退出させようとする。
どうしてこんな風に育ってしまったのだろうか?
今の弟を見ていると、どうしてもそう思ってしまう。
赤ん坊だった時は、あんなにかわいかったのに・・・。
そう、弟は赤ん坊だった頃は今と違って俺に懐いていたのだ。
弟が泣きそうになった時も、俺が傍に居ればすぐに泣き止んだ。
ハイハイ、した時だって真っ直ぐ俺に向かってきたし・・・。
それに、2歳頃になると俺の事を舌足らずな口で「にーちゃ」と呼んでいたのに・・・。
・・・どうしてこうなった?
敵意むき出しの焔王を見つつ、なんともいえない気持ちになっているとピンク色の何かが
焔王の後ろに迫って来て・・・。

どか!

「ギャピ!!?」

「紅蓮様に何してんのよ!!!」

「「「坊ちゃまーーー!!!?」」」

謎のピンクに見事なドロップキックをくらった焔王は1メートルほど吹っ飛んだ。
そして、その様子を見ていたイザベラ達は吹っ飛んだ焔王の状態を見て絶叫。
さっきは謎のピンクと言ったがこんな事をする人間は一人しか思い当たらない。
謎のピンクの正体。
それは・・・。

「大丈夫ですか、紅蓮様!!?このバカに変な事されませんでしたか!?」

「いや、別にされていないのだが・・・」

弟の初恋相手で、同い年の幼馴染であるラミアちゃんである。
ラミアちゃんはベヘモット34柱師団の副団長を務めるレイミアさんの娘。
レイミアさんが忙しいとき、ヒルダと二人でよく世話などをしていた。
だから、俺とヒルダにとっては妹のような存在だ。
現にヒルダは『ヒルダ姉さま』と呼ばれ慕われている。
俺も慕われているのだが・・・、俺の場合は『紅蓮様』と呼ばれている。
王族だからしょうがないと自分に言い聞かせているが・・・、俺も『紅蓮兄さま』と
呼ばれたい。
まあ、そんな妹のような存在であるラミアと実の弟である焔王には兄として仲良くして欲しい
と思うのだが・・・・。
チラリとドロップキックをくらった、焔王を見る。

「坊ちゃま!?坊ちゃまーーー!!」

「フォルカス先生を呼べーーーー!!」

「ラミア!あなたは何て事を!!」

視線の先には、ドロップキックの当たり所が悪かったのか、気絶した焔王と
焔王を解放するイザベラに医者のフォルカス先生を呼ぶように叫ぶサテュラ、
そして、ドロップキックをかましたラミアを怒るヨルダ。
正直、今の弟とラミアの関係を見る限り、とてもじゃないが仲良くなんて出来ないだろう。

「ふん!紅蓮様に無礼な事ばかりする、そこのバカが悪いんでしょうが!!」

焔王を指差し、名前ではなくバカと呼んで、ヨルダに反論するラミア。
これは手厳しい。

「小娘。いい加減に・・・「いい加減にするのは、貴様だ」!?」

ヨルダがラミアの言葉に怒りを表し、モップを次元の裂け目から取り出したが、
ヒルダが現れ、ヨルダの首の近くに剣を突き出す。
首と剣までの距離は数センチ。
おいおい、やばいよこれ!
どーなんの!?
表面上は冷静なフリをしつつ、心の中では相当なパニックを起こしている俺。
決して、他人にはパニックになっている事を悟らせない!!
5年間色々あったお陰で、冷静なフリは完璧さ!!

「ヒルダ姉さま!!」

いつの間にか、冷静なフリをしている俺の近くに居たラミアが、ヒルダの登場に
歓喜な声をあげる。

頼むぞ、ヒルダ!早まらないでくれよ!!
心の中で必死に、祈りまくる俺。


「ヒルダ、貴女・・・。」

「ヨルダ、ラミアの言う通りだ。今回は焔王様が悪い。
それに、紅蓮様の御前で我を忘れるなど・・・どう責任を取るつもりだ?」


始めは、ヒルダを睨みつけるヨルダだが、ヒルダの言葉を聞いて、
モップを消し、どんどん青ざめていく。
そんなヨルダの様子を見た、ヒルダも自分の剣をしまう。
あれ?何言ったの?(祈るのに必死すぎて、聞こえなかった)
っていうか、二人とも武器を下ろしてるし、空気的にもう終わりか?
もしくは終わりそうなのか?
俺が何か言えば、終わるのか?
とりあえず、終わりっぽい感じで話しかけてみよう。

「イザベラ。」

「は、はい!」

いきなり、ヒルダとヨルダに話しかけるのは怖いので、イザベラに話しかける事にした。
突然、自分の名前を呼ばれたイザベラはビクッ!っと肩を震わせ、返事をする。
まあ、あんな事が起こった後だし、しょうがないか・・・。
とりあえず、イザベラの反応は気にしない方向で話を進める事にした。

「気絶した、焔王をサテュラとフォルカスの所に運び治療をさせろ」

「は、はい!了解しました!!」

俺の言葉を聞いて、サテュラと二人で、焔王を運びながら退出したイザベラ。
これでいいよね?間違ってないよね?
そんな事を思いつつ、起きたら面倒になりそうな、弟の排除に成功した。
後はこの二人だ・・・。

「・・・」

「・・・」

二人を見るとかなりの温度差があった。
ヒルダは普段どおりな感じだが、ヨルダの顔色は青から白へと変化を遂げていた。
一体何があったの!?
とりあえず、このままだとマズイ事だけはわかった。
ヨルダが倒れないうちに早く終わらせよう。

「ヨルダ。」

「は、はい・・・」

俺がヨルダの名前を呼ぶと、ヨルダはガタガタと震えながら返事をした。
俺はそんなヨルダの様子を見て、理解した。
きっと、彼女は焔王の世話でかなりのストレスを抱えていたのだ!←(大ハズレ)
それはそうだ!彼女はまだピチピチの十代で遊びたい事や、やりたいことが沢山ある。
それなのに、俺は彼女に子育てという年中無休の労働をさせてしまうなんて・・・。
なんてクズなんだ、俺は!!
いや、落ち着け。
今は後悔するときではない。
そんなものは、後回しだ!!
今はヨルダに休暇を与えて、やりたい事をやらせてあげる時だ!!

「一週間の休みをとれ」

「「「は?」」」

俺が休暇命令を出すと、俺以外の三人が声を漏らす。

「ぐ、紅蓮様?そ、それだけですか?」

戸惑った感じで俺に聞くヨルダ。
あれ?もしかして足りなかったか?
一週間あれば、旅行とかいけると思うんだけど・・・。
まあ、彼女は年頃の女の子だからな、色々とあるのだろう。
一ヶ月で足りるか?

「では一ヶ月間だ」

「りょ、了解しました」

そう言って、ヨルダは俺の部屋を出て行った。
ふう、なんとかなった。
後はヒルダとラミアだな。

「ヒルダ」

「はい」

「護衛をつれてラミアを送ってやれ」

「かしこまりました。紅蓮様」

こうして、この出来事は無事に終了した。
この後、俺はいつものごとく体育座りをし、海の底まで反省する事になる。


しかし、この出来事から一ヵ月後のある日、今まで以上に張り切るヨルダが居た。

おそらく、一ヶ月の間に何かいいことがあったのだろう。

彼氏でも出来たのか?←(バカ)
 
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