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久遠の神話

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第二話 銀髪の美女その七


 目を丸くさせてだ。美女に返した。
「僕ですか?」
「貴方もまた剣を」
「剣をって」
「そうですか。また」
「ひょっとして」
 美女の話を聞いてだ。彼は言うのだった。
「剣道部に出入りしていますか?」
「剣道ですか」
「はい、実は僕高等部の剣道部なんです」
 このことを美女に話す。
「ぞれで大学にも出入りしてますけれど」
「大学の」
「それで御存知だったんでしょうか」
 こうだ。美女に怪訝な顔で尋ねるのである。
「そうなんですか?」
「それは」
「とりあえず今は」
 美女は言葉を止めた。その彼女にだ。 
 彼はだ。こう言うのだった。
「取材に付き合って来ました」
「はい、八条学園高等部新聞部です」
 樹里が明るい声で美女にまた声をかける。
「宜しく御願いしますね」
「こちらこそ」
 美女は樹里の言葉に微笑みだ。そうしてだった。
 頭を深々と、日本のお辞儀をした。それからだ。
 彼女にだ。こう話した。
「ギリシアから来ました」
「留学生の方ですね」
 樹里はこのことも名前も既に知っているがだ。あえて言わずに彼女の話を受けて話した。
「ギリシアからの」
「名前は」
 美女は様式美の如くだ。今度はこう話した。
「銀月聡美といいます」
「日本のお名前ですね」
「父が日本人ですから」
「それで日本のお名前なんですか」
「そうです。ですが国籍はギリシアです」 
 この辺りはやや複雑だった。名前は日本のもので家族の一方も日本人であるがだ。国籍はギリシアにあるというのである。それにだった。
「ずっとあの国で育ってきました」
「ギリシア生まれのギリシア育ちでした」
 美女、銀月聡美はまた話した。
「そうなんです」
「そうですか。ハーフで」
「それで」
「そうなります。日本に来たのは」
「それはどうしてですか?」
「勉強の為ですよね」
「いえ」
 ところがだった。
 聡美は急に顔を曇らせてだ。こう答えたのである。
「止める為です」
「止める!?」
「止めるといいますと」
「あの方がこれ以上過ちを犯されるのを止める為に」
 そうだというのである。
「それで日本に」
「過ち!?」
「過ちっていいますと」
 二人は彼女のその言葉に首を捻ってだ。
 あらためてだ。こう彼女に尋ねたのだった。
「何ですか、それ」
「妙な感じがしますけれど」
「あっ、いえ」
 己の言葉を遮ってだ。聡美はこう二人に話した。 
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