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久遠の神話

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第十一話 意外な素顔その九


「日本人の食事は」
「何かよく言われるんだよな」
「他の国の人からですか」
「ああ。八条学園って留学生も多いけれどな」
 各国から受け入れているのだ。そうした交流等にも力を入れているのだ。
「それで言われるんだよ」
「日本人は少食だと」
「実際にそうだしな」
 中田はその彼等の食事を思いだしながら述べた。
 そしてだ。実際にこんなことを話した。
「アメリカ人って朝からハンバーグとパンケーキとスクランブルエッグ、マッシュポテトだろ」
「大体そんな感じですね」
「中国人だってな」
 続いては彼等だった。
「普通に朝からラーメンに饅頭だしな」
「どちらも脂っこいというか」
「カロリーあるよな」
「そうですよね。かなり」
「そういうのは日本にはないんだよ」
 こう言うのである。
「朝飯に軽いおかずに味噌汁だな」
「それとお漬物ですよね」
「量だって少しだよ」
 中田は実際に日本の和食を思い出しながら話す。
「そんなにないからな」
「確かに。私も朝は」
「ああ、あんたそういえば」
「はい。何でしょうか」
「アパートか?それとも寮か?」
 何処で暮らしているかというのだ。留学生なのでそこが少し気になったのだ。
「何処で暮らしてるんだ?」
「マンションです」
 そこで暮らしているとだ。聡美は義正の問いに答えた。
「それでいつも自分で食事を作ってますが朝は時々」
「外で食べたりするんだな」
「吉野家ですけれど」
 言わずと知れた牛丼の大手チェーン店である。最早老舗と言っていい。
「あのお店の朝の定食の量を見て驚きました」
「あれ結構多い方なんだぜ」
「そうみたいですね」
「実際朝はお茶漬け一杯って奴もいるしな」
「御飯一杯だけですか」
「ああ、それだけだよ」
 本当にそれだけでだ。食べ終えるというのである。
「それで昼までなんだよ」
「それでもつんですか」
「もつさ。少食だからな」
 それ故にだというのだ。
「そこにも日本人の少食が出てるんだな」
「そうなりますね」
「まあそれでな。俺は食う方だけれどな」
「全体としてはですね」
「日本人はあまり食わない方だよな」
 世界的に見てだ。そうだというのだ。
 そうした話をしてだった。中田はあらためてこんなことをだ。聡美に話した。
「で、俺はな」
「中田さんは」
「あまり大したことはしないまでもな」
 こう前置きしてからの言葉だった。
「自分で作ってるんだよ」
「中田さん御自身で」
「家族がいなくなったからな」
 それ故にだというのだ。自分で作っているというのだ。 
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