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久遠の神話

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第十一話 意外な素顔その八


「神も家族や恋人の為にです」
「俺やあいつみたいにかよ」
「はい。何かをするものです」
 これが聡美が今言うことだった。
「そうなのです」
「じゃあれか。神様っていっても」
「心があります」
 聡美はこのことについて話すのだった。
「人と同じ心が」
「そういえばそうか」
 言われてだ。中田も気付いてだった。このことを話したのだった。
「ギリシア神話でも日本神話でもな」
「神も人の為にですね」
「魔法を使ったり戦ったりするよな」
「神にも心があります」
 聡美はまたこのことについて言及する。
「神と人の違いは」
「それ色々言われてるけれどどういったものなんだ?」
「力と。生きる時間です」
 その二つがだ。神と人を分けるものだというのだ。聡美の話ではそうなる。
「力は。それぞれを司ります。例えば」
「例えば?」
「ギリシア神話の神々の父ゼウスは天空を司ります」
 ゼウスは天空の神なのだ。兄弟と世界を分け合ってそうなったのだ。
「そして雷もです」
「ああ、ゼウスって確か雷神でもあったよな」
「天空の神ですから」
 天空から落ちるだ。その雷も司っているのである。
「そうなります」
「その他の神様もだったよな」
「アテナは戦いに知恵、技術を司ります」
 聡美は今度はこの女神の話をした。そうしてだ。
 ふとだ。こんなことも言ったのだった。
「素晴らしい方です」
「そうだよな。アテナって格好いい女神だよな」
 中田は聡美の言葉の中身に今は気付かずに述べた。
「強くて奇麗でな」
「はい、とても」
「そうした女神様なんだよな」
 また言う中田だった。
「いたら一度会ってみたいよな」
「ギリシアに行けば御会いできます」
 聡美はここでも気付かない。
「あの方にも」
「確かアテネの守護神だったよな」
 中田は聡美の言葉の中に含まれているものに気付かずにパルテノン神殿を思い浮かべて述べる。聡美も自分の言葉に気付かずにそのまま話をしていく。
「そうです。あの方はあの町におられます」
「ギリシアな。何か遠い国だよな」
「そうですね。日本から見ればですね」
「あんたの祖国だよな」
「日本に来るまでに時間がかかりました」
 聡美の言葉はこれは普通の言葉だった。中に含むもののない。
「ですが来てみると」
「いい国だろ」
「落ち着いて奇麗な国ですね」
 聡美もこう返す。
「それに食べ物も」
「美味いだろ」
「この国には様々な美味しいものがありますね」
「日本人ってあれなんだよ」
 どうかというのだ。その日本人が。
「食い意地が張ってんだよ」
「そうなんですか?」
「意外かな。それは」
「私が見たところ」
 どうかというのだ。聡美から見た日本人は。
「少食に思えますけれど」
「俺は食うけれど全体的に食う量はだよな」
「はい、少なめですよね」
 こう言う聡美だった。 
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