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久遠の神話

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第十話 偶発戦その十一


「どんな闘いでもな」
「じゃあ」
「俺はよくてもこいつはどうだろうな」
 言いながらだ。右の刀を広瀬を指し示して言うのだった。
「それが問題だけれどな」
「広瀬友則だ」
 広瀬は上城にもだ。己の名前を名乗った。
「八条大学の乗馬部にいる」
「乗馬部の人ですか」
「そうだ。そして君は」
「はい、上城です」
 そしてだ。彼の名乗りを受けて上城も名乗るのだった。
「上城大樹です」
「そうか。上城君は」
「八条学園高等部の二年です」
 そしてだ。広瀬にこのことも話したのである。
「力は水です」
「君が水なんだな」
「はい、そうです」
「俺は木だ」
 広瀬もだ。上城の名乗りを受けて自分のことをさらに話した。
「木の力を使う」
「木、ですか」
「覚えておくといい。それにだ」
「それに?」
「生き残るのは俺だ」
 ここでだ。広瀬は目を鋭くさせてこう言ったのである。
「このことも言っておこう」
「では貴方は」
「今ここで君達を二人共倒してもいい」
 戦意を見せる。しかしだった。
 その広瀬にだ。今度は聡美が来てだった。
 そのうえでだ。こう彼に言ったのである。
「あの、今はです」
「君は確か」
「はい、八条大学の学生です」
「留学生だったかな。ギリシアからの」
「銀月聡美といいます」
 自分からだ。聡美は名乗ったのだった。
「宜しく御願いします」
「名前はわかった」
 それはだとだ。広瀬も返す。
「だが。何故ここに来た」
「俺の友達なんだよ」
 中田は笑って聡美について話した。
「友達を心配して来てくれたってことかな」
「僕と一緒に来ました」
 上城がその中田と広瀬に話す。
「銀月さんが中田さんがそちらの人と一緒に何処かに行くのを御覧になられたらしく」
「おいおい、バイクだったんだぜ俺達」
 中田は笑ってこのビルまで来た事情について話す。
「それで追いついたってのかよ」
「車か」
 広瀬はこう推察した。
「それを使ったか」
「はい」
 聡美はここでは真実を話した。
「そうです」
「銀月さん車も持っていまして」
「それで君を連れてか」
「たまたま僕女友達と一緒に下校してました」
「丁度行く途中にいました」
 そうだったとだ。また話す聡美だった。
「運がよかったです」
「本当に運なのかな」
 ふとだ。広瀬はこんなことを口にした。
「それは」
「そうですよ」
 だが、だ。広瀬に比べてまだ若い上城は彼の言葉の意味にあるものに気付かずにだ。そのまま素直に言葉を返したのだった。 
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