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戦国異伝

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第二十三話 上洛その七


「そのうえで三人で殿にお話しようぞ」
「では今より」
「殿の下に」
 こうしてであった。三人でその刺客のことと自分達の名乗り出を信長に話した。信長は馬を進ませながら三人の話を黙って聞いていた。 
 そして聞き終わってからだ。こう彼等に話すのであった。
「それではじゃ」
「はい、それでは」
「どうされますか、ここは」
「情報は常にわしに知らせよ」
 二人にまずはこう述べるのだった。
「よいな、そうせよ」
「奴等に動きがあればですね」
「常にですね」
「そうじゃ。それは必ずじゃ」
 忘れるなとさえいうのである。それは絶対にという口調であった。
 しかしここでだ。彼はこうも言うのだった。
「だが、じゃ」
「だがとは?」
「何をされるというのですか」
「奴等は暫く泳がせよ」
 次にはこう言うのであった。
「よいな、そうせよ」
「泳がせるとは」
「ではまずはですか」
「何もしないと」
「そう仰るのですか」
「すぐに討っては面白くとも何ともない」
 滝川と蜂須賀にだ。また話した信長だった。
「泳がせてそれでじゃ」
「それからですか」
「仕掛けるのは」
「そうする。まあ見ておれ」 
 信長は笑顔のまま二人に話してだ。ここで、であった。
 丹羽を呼んだ。彼もであった。
 丹羽が来るとだ。彼はすぐに話した。
「そなたも二人と共にじゃ」
「刺客の情報を細かくですね」
「そうじゃ、逐一わしに報告せよ」
 丹羽にも告げるのだった。
「よいな、そなたと三人でじゃ」
「わかりました。それでは」
「我等三人で」
「そうしましょう」
「こうしたことにおいては」
 信長は柴田の顔も見た。そうして彼にも話すのだった。
「権六よりも五郎左じゃ」
「わしでは駄目でござるか」
「情報を集めることはそなたより久助でじゃ」
 まずは滝川だった。
「小六もよいがな」
「忍の者である故にでござるな」
「そういうことじゃ。そしてその情報を調べてまとめるのは五郎左じゃ」
 それは丹羽だというのである。
「権六はのう。今一つ」
「わしは戦が何より好きな故」
「これで政ができんかったらここまで用いてはおらんぞ」
 信長はその柴田に笑いながら話す。
「まあ権六も情報を集めることはできるがのう」
「やれることはやれるでござる」
 それは柴田も言う。
「ですが。やはり」
「そうであろう。今は完璧でなければな」
 流石にだった。刺客が相手ならばだ。信長も遊んでいてもそれでもそれは完璧でなければならなかった。そういうことであった。
 それでだ。今は柴田はというのであった。
「まあそなたはまたな」
「余裕のある時にでござるな」
「そうせよ」
 こう柴田に告げた。
「よいな」
「わかり申した。それでは」
「さて、この道中」
 信長は話を一段落終えたところでまた述べた。 
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