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戦国異伝

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第十八話 道三の最期その十四


 そしてだった。可児もその槍を受けながら言葉を返す。
「それ程までか」
「御主、黒一色の服の男はどう思う」
「普通はそんな格好はせんだろう」
 可児もまた槍を振るいながら言い返す。
「有り得ないではないか」
「傾いておってもな」
「傾きといよりは坊主か」
 可児はそれではないかというのだった。
「しかし坊主でも白が入るぞ」
「だがそこに白も何もなく黒ばかりじゃ」
「そしてその顔もか」
「怪しいことこのうえない。妖気さえ漂っておる」
「妖気じゃと」
「そうした男が信行様の御傍におるのじゃ」
 それでだというのだった。それがわかっているのはだ。
「わし以外にも危惧しておる」
「そういえば柴田殿と林殿達が信行様につかれるらしいな」
「何故かわかるな」
「うむ、あえて兵を与え」
 それからだった。重要なのはだ。
「反乱を起こさせそうさせてだな」
「左様、その時に仕掛けてじゃ」
「終わらせるか」
「それが殿の御考えだ。そしてそのうえで」
「その津々木という者を成敗してじゃな」
「まあ信行様はあれじゃ」
 慶次は彼がどうなるかも話すのだった。
「少し謹慎されて終わりじゃ」
「それで終わりか」
「軽い処罰で終わるのは何もない」
「何かあっさりとしておるのう」
「信行様は尾張に、織田家にとって必要な方じゃなからな」
 だからだというのである。
「どうしてもな」
「そこまでの方は」
「わしにとっては困った方じゃ」
 慶次はここで苦笑いになってこう言うのだった。
「どうにもな」
「それは何故じゃ」
「真面目だからじゃ」
 それが理由だった。
「あの方は至極真面目な方なのじゃ。いつも服を正しておられる」
「殿と正反対じゃな」
「左様、性格もまるで違う」
「まさに水と油か」
「しかしだからこそ殿は信行様を必要とされておるのじゃ」
 全くの正反対であってもだというのだった。だからこそだとだ。
「ご自身と全くの正反対の方だからじゃ」
「あの殿の正反対とすると」
「うむ」
「支えることが得意な方じゃな」
 可児はそのことをすぐに察して述べた。
「主には向かぬが」
「そういう方じゃ。戦よりもまとめることや政の方が得意な方じゃ」
「平手殿もそうだというが」
「だからこそ信長様はお二人をお傍に置かれるのだ」
 信長はそうしたこともわかっているのだ。家臣を見る目が確かであることはこのことについても実によく出ているのである。
 それをだ。慶次も彼に話すのだった。
「あえてな」
「しかしその信行様がおられなければ」
「織田にとっては痛手よ」
 まさにそれだというのだった。
「かなりのな」
「しかもその信行様が操られていたならば」
「信行様を操っている者を討たねばな」
「何にもならぬな」
「無論信行様にも落ち度はあるが」
 それはわかっていてもだというのだった。この辺りが難しいところだった。
「それはな」
「何かと厄介なことになっておるのう」
「しかし何とかなる」
 慶次はこのことは楽観していた。言葉にも出ている。
「このことはな」
「しかしそれからだな」
「そうよ。駿河よ」
 国の名前での話しになっていた。 
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