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魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者

作者:blueocean
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第83話 文化祭(なのは)

「あっ、フェイトちゃん!!」

文化祭2日目。
フェイトちゃんと受付をしていた時に不意にフェイトちゃんが質問してきた。

『なのはは誰か好きな人いる?』

いきなりで本当にビックリしたけど、私なりに答えを言ったんだ。
そうしたら………

ピクッ
零治君の名前でフェイトちゃんが反応したんだ。

「あれ?もしかしてフェイトちゃん………」
「交代だよ2人共」

私がフェイトちゃんに聞こうと思ったらタイミング悪くすずかちゃんがやって来ました。
フェイトちゃんは即座にすずかちゃんに後を任せ、私の静止を聞かず行ってしまいました。

「フェイトちゃん!!」

私も慌ててその後を追った。








「はぁはぁ………足速いよ………」

フェイトちゃんの足は速い。
階段を降り始めた所を見て、完全に見失ってしまいました。

「一体どこに行っちゃったんだろ………」

私は取り敢えず、校内を探してみる事にしたんだけど………

「いないなぁ………」

って言うよりは人が多くてフェイトちゃんを探しづらい。
そんな事を思って探してると………

「うわっ!?」

廊下の先を見ていたので下には目がいかなかったみたいで私の足下で誰かとぶつかっちゃった。

「ごめんね、大丈夫?」

ぶつかったのは4歳位の男の子だと思う。
近くにはアイスが落ちていて、ぶつかった拍子に落ちちゃったんだと思う。

「アイスが………それにお母さん………」
「えっ、お母さん!?」

アイスは私のせいだけどお母さんは………
この子もしかして迷子?

「ふぇ………」

「ま、待って!お姉さんも一緒に探してあげるから泣かないで!!」

「本当………?」

「うん!お姉ちゃんが約束するよ!!」

何とか宥めたけどフェイトちゃんの事は取り敢えず諦めよう………

「それじゃあはぐれない様に手を繋ごうか?」
「うん!」

こうして私は迷子の子の面倒を見ることになった。








さて、お母さんどんな人?って男の子に聞いたら「綺麗な人!!」って言われた。
改めて特徴を教えてって聞いたら「お姉ちゃん位の長い髪!!」って言われた。

ううっ、情報が少ないよ………

新しいアイスを満足そうに食べる男の子を見て、聞こえないように溜め息を吐く。
そして私も買った棒アイスを食べた。
うん、冷たくて美味しい!

「なのは、末っ子だから弟が欲しいって思っても誘拐は良くないぞ………」

聞き覚えのある声が聞こえたので、声の方を向いてみると、ドレス姿で身構えてる零治君がいた。
腕には生徒会の腕章がある。

「………何の事かな?」
「今なら不問にする。だからその子を解放しろ!!」
「………オハナシ」






暫くお待ちください………





「冗談だったのに………」

「お姉ちゃん強いね!!」

「えへっ、でもこれでも20%位だよ」

「気を付けろ、美人にはトゲがあるとか言うが、このお姉さんは広辞苑が頭に落ちてくるぞ」

「広辞苑?」

「ものすごく重い本の事」

「零治君!」
「お姉さん、凄いね!!」

目をキラキラさせて私を見る男の子。
この子の考えてることがいまいち分からないなぁ………

「………それで、どうして男の子の面倒を見てるんだ?」
「実は………」

私は前の出来事を話した………





「はぁ………なのはって本当に抜けてるよな………」

そう言って大きく溜め息を吐く零治君。

「何で?そんなに呆れられること?」

「お前はさ、何のためにこうやって俺や生徒会の人達が見回りしてると思ってんだよ?」

「学校の秩序と平和を守るため」

「どこの熱血学園だよ………まああながち間違いでも無いんだけど………」

後半何を言ったかよく聞こえなかったけど………

「………まあそれはともかく、見回りでトラブルの対処が主な仕事だ。だから当然迷子の事も考えてあるので………」

「あっ!生徒会室に連れて行けば良かったんだ!!」

「はぁ………」

私の答えに再び溜め息を吐く零治君。
そんなに可哀想な子を見るような目で見ないでくれないかな?

「ともかく放送してもらって、生徒会室に連れていくぞ」

零治君に言われ、私と男の子もそれにしたがった。





「あら、結婚報告?」

「ち、違います!!」

「お兄ちゃんとお姉ちゃん夫婦なの?」

「修、日本の法律じゃ18歳未満は結婚出来ないんだよ」

「そうなの?」

「そ、そうなの!!だから私と零治君は何にも………」

「そんなに慌てるなよ………」

「だって………」

まさか水無月会長ってこんな人だったなんて思わなかったんだもん………





あの後、修君(名前を教えてもらった、フルネームは的場修)と手を繋ぎ、生徒会室を目指していました。
零治君と修君も反対側で手を繋ぎ、何だか楽しそうにゲームの話をしています。
フェイトちゃんも言ってたけどエリオ君とも直ぐに打ち解けられたみたいだし、零治君は小さい子に懐かれやすいのかも。
そんな事を思いながら生徒会室に向かいました。

生徒会室の前に着いた時には私はとっても緊張してました。
何て言ったって相手は会長。零治君は縁あって何度も出入りしてるけど私には縁が無いし、何だか高嶺の花って感じがするし………

ともかく私には縁が無い人なのです。
面と向かって話すのは初めてなのでどんな人かと期待していたのに………

「仲がいいわね〜お姉ちゃん妬いちゃうな」
「分かりましたから放送の準備を」
「んもう、いけず………」

何だかはやてちゃんみたいな人でした………









放送も無事流してもらって、零治君はその場でまた見回りに行ってしまいました。
暫く私は修君と水無月会長と一緒に生徒会室にあったトランプで遊んでいます。

「う〜」

「お姉ちゃん、怖いよ………」

「なのはちゃん、大人げないわよ………」

「うっ、じゃあ………」

「あっ、揃った!」

「ああ!?」

ババ抜きをしていたんだけど負けちゃった………

「失礼します………放送を聞いて………」

「ママ!」

良かった、修君のお母さんが来てくれたみたいだ。

「ご迷惑をおかけして済みませんでした………」

「いえ、直ぐに来てもらえて良かったです」

「ほら、修もお礼を………」

「ありがとうなのはお姉ちゃん、会長さん!!」

「うん、もうはぐれちゃ駄目だよ」

「まあ何かあったらまたいらっしゃい」

「うん!本当にありがとう!!」

そう言って修君はお母さんと一緒に行ってしまった。

「………それじゃあ片付けしますか」

その後、私は水無月会長と片付けを始めました。






「ねえ、なのはちゃん」
「はい?」
「なのはちゃんは零治君が会長出来ると思う?」
「零治君が会長ですか?」

うーん、零治君は気が利くし、お節介だし、優しいし………


やっても問題無さそうだけど………

「零治君逃げそうですね………」
「そうよね………零治君には会長にさせるって言ってたけど、流石に本人の意思を無視して決めることは出来ないから………それじゃあ今度は違う質問。零治君、はやてちゃん、桐谷君の3人の中だったら誰が適任だと思う?」
「3人の中で………?」

桐谷君は真面目だから良い生徒会長になりそう。だけど水無月会長とは真逆の感じなりそうだな………
はやてちゃんは水無月会長と同じ様になると思う。だけど管理局で結構学校に来れなくなりそうだしな………

となると………

「私はやっぱり零治君かなぁ………」

「そう………やっぱり」

「けれど何で私にこんな質問を?」

「別に他意は無いわよ。ただ単にちょうど誰かの意見を貰いたいと思ってて、そこにちょうどなのはちゃんがいただけよ」

「そうなんですか?」

「ええ。………それじゃあ無駄話はこれくらいでなのはちゃんはまた文化祭に行って良いわよ。友達とも回りたいだろうし。せっかくの文化祭なんだから」

「でも………」

「私の事は気にしなくて良いわよ。これでも会長は仕事が多いのよ」

「………分かりました、それでは………」

「ええ、楽しんでらっしゃい」

私は水無月会長のご好意に甘える事にしました………











「フェイトちゃんは何処にいるのかな………?」

水無月会長に言われ、生徒会室を出ていった私は再びフェイトちゃんを探しに校内を探し回っていた。

だけど相変わらずフェイトちゃんの姿はない。
校舎の中にはいないのかな?
そんなことを思ってると………

「きゃ!?」

また誰かとぶつかってしまった。
あれ?このパターンって………

「ううっ………」

ああっ………





その後も私が歩けば迷子の子と遭遇する変な事が連続で起きた。
そのたびに水無月会長の所へ行くので会長も呆れ気味で………

放送で迷子にはお気をつけてって流れてるのに………


そうして疲れた体で校舎の外へ出た私。
思わず視界に入った零治君に泣きついたのも仕方がないよね?






「な、なのは!?」

「零治君〜!私、私ぃ………」

「いいから涙を拭け!ドレスに擦り付けるなよ!」

「何や〜?私が要るのになのはちゃんの相手をするとは何考えとるねん?二股〜?」

「違うだろ!!………あとなのははそんなに強く腕を掴むな!!結構………イタタタ!!」

「ううっ………大変だったんだよ………」

「知・ら・な・い!!そもそも何で俺にくっついてくるんだよ!!」

「………はやてちゃんと楽しそうだったから」

「完全なる八つ当たりじゃないか!!」

「何で他の女の子ばっか気にしとるんや………?彼女ほったらかしていい度胸やな?」

「俺は彼氏じゃないし………」

それにしてもはやてちゃんはどうしてこんな感じになってるのかな?
何だか顔がほんのり赤いような………?

って何ではやてちゃん零治君と居るんだろう………

「なのはちゃん!!」

「は、はい!!」

「こうなったら私が正妻でなのはちゃんが側室ね!!」

「ええっ!?」

「………いい加減にしろこのアホんだら!!」

今気がついたけど、ここ、普通に人が歩いてるよね………









あの後、慌てて来た星ちゃんと夜美ちゃんに零治君が説教されてから慌てて何処かへ行ってしまいました。
何でもライちゃんが何処かへ行ったとか………

そしてまたしても一人でフラフラしてたんだけど………

「ふぇ………」

「大丈夫だって………零治くーん!!」

まさか話に聞いていたユーリちゃんが迷子になってたなんて………
相手は私が高町なのはだって見て分かったらしく話かけてきたみたいなんだけど………

ディアちゃん達は見かけないし、零治君は何処に行ったか分からないし………

「ディア、シュテル、レヴィ………アミタ、キリエ、レイ………」

「ほら、りんご飴買ってあげるから泣かないで………」

う〜ん、やっぱり可哀想だな………
早く見つけてあげたいけど………

「いたぞ!!貴様、ユーリを返せ!!」

そんな事を思ってると後ろから大きな声が。
振り向くとそこには小さな夜美ちゃん、小さい星ちゃん、小さいライちゃんがいました。

やだ、3人共可愛い………

「みんなもりんご飴舐める?」

「舐めるー!」
「私もいただきます」

「我が先だ!!って違う!!」

地団駄を踏むディアちゃん。

「ディアー!!」
「おふっ!?」

嬉しさの余り抱きついてきたユーリちゃんを支えきれず倒れてちゃった、ディアちゃん。

「ああー!?我のりんご飴がー!!」

その反動で私が渡したりんご飴が落ちてしまった。

「ディア、ごめんね………」

「りんご飴………」

「美味しー!!」
「美味です」

そんなディアちゃんお構いなしにりんご飴を舐める2人。そんな2人をディアちゃんが羨ましそうに睨んでる。

「………また買って上げる?」

「おお、頼む!!」

私はディアちゃんの為にもう一個りんご飴を買って上げた………










「ありがとねー!!」

あの後、4人は更に別れた2人を探しに、手をつないで行ってしまった。
迷子にならなきゃいいけど………

「申し訳ない、少し良いかな?」

「はい?」

声をかけてきたのは紫の髪の女性をおんぶしてるメガネをかけた男性だ。
彼も紫の髪をしてる所から見ると兄妹かな?

「休憩所は何処か分かるかな?彼女が肝試しで気絶してしまって………」

「ああ………」

それ、確実に私のクラスですね………

「一階の下駄箱から入って左に真っ直ぐ進んだら保健室があるので、そこに行けば………」

「そうか、ありがとう。助かったよ………」

そう言って男の人は行ってしまった。

「何だかごめんなさい………」

聞こえないように私は呟いたのだった。










「あ〜あ、何だか疲れちゃったな………」

後夜祭も始まり、みんなそれぞれ楽しんでいる中、私ははやてちゃんと一緒にベンチに座ってます。
疲れたし、踊る元気が無かった私ですが、はやてちゃんは頭を抑えながらベンチに座ってます。

さっきまですずかちゃんもいたのですが、疲れた私達に飲み物を買いに行ってもらってます。

「楽しめたんか?」

「う〜ん、まあ楽しかったけど忙しくて疲れちゃったの………で、何ではやてちゃん頭抑えてるの?」

「何か頭痛い………途中から記憶も曖昧やし………」

「?」

何だかはやてちゃんに何かあったみたいです。
その後も私達はすずかちゃんを含めてその場でのんびりしていました……… 
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