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魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者

作者:blueocean
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第84話 文化祭(零治)

さて、悩みもスッキリした所で翌日。

今日はラグナルを持参し、チビッ子達の面倒はアミタとキリエが大丈夫だと言い張るので任せることにしたんだけど………

「………大丈夫でしょうか?」

「だよな………」

『大丈夫だよ、私とアミタがいるんだから』

というキリエの言葉を信じ、任せることにしたのだが………

「やっぱ心配だな………」

アギトは学校に着いたらキャロ達と共に行動するって言ってたし、キリエ達はこの辺りの地理を知らない。
キリエの言葉を信じたのだが、心配が絶えない………

特にユーリと優理はまだ出てきてから対して時間が経っていないので余計に心配だ。
………まあチビッ子達も常識は無いだろうけど。

「まあ見廻りで見てくればいいか」

昨日会長から見廻りの時間を増やしてもらえないか?とメールが来た。
何やら嫌な情報があったらしく、全体的に人員を増やすみたいだ。

「せめてトラブルだけは避けないとな………」

ここは金持ち学校でお嬢様が多い。言っちゃえば妬む奴らが多いのだ。
なのでトラブルは必ず起こったりするらしい。

去年も何とか生徒会と先生達の尽力により大きな事は起こらなかったみたいだけど、その分生徒会のメンバー文化祭を楽しむ時間が無かったみたいだ。

そして今回は去年よりも更に混乱しそう。
俺はさっき会長から送られたメールについているサイトにアクセスした。

『お嬢様を拉致ってXXXする!!』
『教室を荒らして壊してバラバラにする』

など、掲示板に大量の書き込みがあった。

どこまで本気か分からないが、実際にあったとしたら大変な事になる。

ラグナルは自衛に。
セットアップしなくても魔力強化位は出きるからな。

それに………

「星達3人が楽しみにしてるんだ、問題が起きて、来年から中止なんて事態にしてたまるか」

俺の思いはこれ一本だった。










さて、そんな事を思っていても先に起きている問題をどうにかしないことには始まらない。
まあ何が言いたいかと言うと………

チラッ

「………はぁ」

さっきからアリサがチラチラこっちを見てくるよ………

「レイ?何だかアリサこっち見てない?」

「何か用があるのではないのか?」

「ああ、まあ心当たりはある」

それを聞くと途端に顔が険しくなる3人。
昨日の俺の様子を見てるので感づいていると思う。

まあそれはともかく、あのままじゃ流石に不味いよな………
後でと思ったけど、先に済ませちゃうか。

「アリサ、ちょっといいか?」

俺はアリサを昨日の屋上に連れていく事にした………







さて、アリサに声を掛け、屋上に連れてきた。
屋上までの道、アリサは一言も話さず静かに俺の後ろを付いてきた。

「な、何の用………?」

「アリサ、昨日の事だけど………」

「あ、あれは………」

「お礼みたいなもんだろ?」

「は?」

「いやだからお礼だろ?アリサってお嬢様だし、そういうの当たり前だろ?」

「は、あ、う、うん!!そう、その通りよ!!あれはお礼、お礼よ!!」

少し慌てた様子で言っているが、まあそれが本心だろう。

「だよな〜いきなりされたからビックリしたぞ。俺以外の相手だったら絶対に勘違いしてるぞ………」

「そうね、ごめんなさい………これからは気を付けるわ」

「話はそれだけだ。それじゃあ教室に戻ろうぜ」

「ええ、そうね」

返事を聞いた俺は屋上を出た。

「………バカ零治」

そんな零治に対して、アリサが小さく呟いたのだった………












さて、文化祭がスタートし、見回りを始めた俺。
ドレス姿で歩くので、やっぱり色んな人に見られる事………

しかし、意外と羞恥心が無かった。
慣れって恐ろしいね………

あれ?あれは………

「すずかと高町家か?」

校門近くに行ってみるとそこにはすずかと高町家の面々が。
ちなみに高町家の人達は士郎さん、桃子さん、美由希さん、恭也さん、忍さんだ。

「こんにちは」

「こんにちはレイカちゃん」

「やだ!!実物の方がとっても可愛いじゃない!!」

桃子さん、何故レイカの事知ってるんだ?
確かライにしか名乗って無い筈だけど………

そして忍さん、何だか恐いです。

「しかし零治君は女装も似合ってるね。今度手伝ってもらう時は女装してもらうってのはどうかな?」

「いいですね、あなた」

「勘弁してください………あっ、恭也さん、興味があったら恭也さんも………」
「断固拒否する」

直ぐ様拒否された………

「でも結構恭也さんも似合いそうですね」

「すずかまで止めてくれ………忍、お前も………」

「零治君、その衣装何処に行けば借りられる?」

「多分、生徒会室に言って会長に言えば、かなり良い服を借りられると思います。俺の名前を出せば問題も無いと思います」

「分かったわ、早速行くわよ恭也………って居ない」

「恭也さんなら走って校舎の方へ逃げていったよ」

「そう、なら仕方が無いわね………この際、零治君に色んな衣装を着せて………って居ない」

「零治君もダッシュでどっか行っちゃったよ」

「………残念」

「お姉ちゃん………」

そんな姉の様子を見て妹は溜め息を吐いた。










「ふう………危なかった」

嫌な予感を感じた俺は恭也さんが逃げた後、直ぐに校舎内に逃げた。
多分あのままあそこにいたら忍さんの魔の手が俺に………
しかも桃子さんと美由希さんまでいたし、確実に悪ノリして酷い目に合わされる事になっていただろう………

こういう経験をして、人はニューOイプになっていくんだと思う。









違うか。

「さて、この後どうするかな………」

先ずは見回りしながらチビッ子達の様子を見に行くのが先決かな。
あのメンツが何も起こさない方が不思議だし………

「零治………?」

俺の名前を呼ぶ声が聞こえたので振り返るとそこにはアイスを食べているヴィータが。
いやぁ、何だか違和感を全く感じ無いな………

「何で頭を撫でんだよ………?」

「いや、何だかやらなくちゃいけない気が………嫌か?」

「アイスが食いづらい………」

そう言われたら止めなくちゃな。

「ヴィータ、一人か?」

「いや、リインも一緒だけど………」

そう言ってアイス屋の方を指差すヴィータ。
その先にはアイスを貰ってご満悦のリインが。

ああ、そんなにがっつくと………

「あっ、零治さんですぅ〜こんにちは!」

「こんにちは………じゃなくてリイン、ちょっとこっちに………」

取り敢えずリインをこっちまで呼び寄せ、アイスで汚れた口周りはハンカチで拭いて上げた。

「ありがとです!」

「ちゃんと綺麗にして食べろよ」

そんなやり取りをじっと見ていたヴィータ。
何故かアイスとリインを順番に見ていた。

「どうした?」

「な、何でもねえよ!!」

「?」

暫く俺は2人と喋っていた。







「零治先輩!!校庭でトラブルがあって、それに八神先輩が1人で対応してて、だけど相手は近くの有名な不良高校の人で………」

ヴィータとリインと話して再び見回りを始めた直後、俺の元に1年の女子生徒がやって来た。
涙目で慌てていて取り敢えず緊急事態なのは見て分かった。

「取り敢えずはやては何処にいるんだ?」

「駐輪所です」

「悪いけど先生を呼んでもらっていいか?俺は先にはやての所に向かう」

「は、はい!」

俺は急いではやての所へ向かった。













はやては見回り中に5人の男の集団に人気の無い場所に連れて行かれる女子生徒を見かけた。
それを不審に思ったはやてはその集団について行った。

後に反省するならば応援を呼ばずにノコノコついて行ったのが反省点だったのだろう。

「何だ?俺達が悪いのか?俺達はただ単に祭りを回ってただけだぜ?むしろ被害者だ。少し話をするために連れていっても悪きゃ無いだろ?」
「相手は謝ってたやないか!」
「そんなんで許されたらこの世は犯罪者だらけだよな、なあそうだろ?」

そう言って男は後ろにいるがらの悪い男達に声をかけた。
後ろにいる男達はゲラゲラと笑っている。

何故このような事態に陥っているかと言うと、原因は2人の女子生徒がこの男達の集団とすれ違った事が原因だ。
肩と肩がぶつかり口論に、それに対していちゃもんを付けてきた男達に逃げられなくなり連れて行かれた。

それを見たはやては咄嗟に庇い、女の子達を逃がしたが、はやて自身もテンパっており、助けを呼んでもらうことをすっかり忘れていた。
そして現在、はやて一人で男達の相手をしていたのだった。

「そんなの屁理屈や!このまま大人しく引かないんやったら追い出すで!!」

そんな男達にはやては負けじと強気で相手する。

「このくそアマ………」

リーダー格の男が一歩はやてに近づく。

「俺は族に所属してるんだぜ?あんまりなめた態度とってると犯すぞガキ………」

そう更に近づく男。

「や、来るな!!」

ビンタしようとはやてが手を振るうが、簡単に受け止められた。

「ふん、結構可愛いじゃないか」
「そうっすね、これは楽しめそうだ………」
「ぐひひひ………」

「は、離せ………」
「いいぜ、気の強い女を力づくってのも俺は好きだぜ………」

いやらしい笑みを浮かべる男共にはやては怯え、体が震える。

「おい、こいつ怯えてるぞ!」

「いいからコイツを連れて早く移動しないか?いつまでもここにいたら誰かにバレるぞ」

「確かにマッポの相手は面倒だな、それじゃあ移動するか………」

「や、やめ………」

「うるさいんだよ黙れ!!」

そう怒鳴られ、頬をひっぱたかれるはやて。

「ううっ………」
「静かにしてた方が楽なのにな」

ゲラゲラと笑う男達にはやては何も言えなくなる。

(こ、怖い………)

魔法で戦闘している時とは全く違う恐怖がはやてを襲い、はやては声にも出せなくなるほどの恐怖に襲われる。

(誰か助けて………!!)

心の中で祈る事しか出来ないはやて。
しかしそんなはやての願いも無駄に終わる事は無かった。

「しかしまさか学校の中で堂々と拉致紛いな事をする奴がいるなんてな………」

男達の向かう先には肩で息をしている零治がいた。











「何だテメェ?中坊は良い子にママのおっぱいでも吸ってな。しかしいい具合に似合ってるな女装。俺達が初めての相手になってやろうか?」

そう言って下品に笑う男達。

「悪いが母親は居なくてね、それでもお前逹みたいに犯罪に手を染めずに生きてるんだ。お前逹こそママともう一度やり直した方が良いんじゃないか?それにお前逹は男を相手する趣味があったのか?だったら俺がムキムキマッチョなおじさんを紹介してやるよ」
「ほう、言うじゃねえか………」

後ろの男達にはやてをあずけて俺に近づいて来るリーダー格の男
そして、俺のすぐそばまで来た所で………

思いっきり殴りかかってきた。

「うぉ!?」
「ちっ」

だけどそんな事は容易に予想できた。
こういう柄の悪い男達は堂々と何かしてくる事は無い。

なので、不意に殴られても容易に反応出来た。

「中々すばしっこいじゃねえか」

「まあお前逹みたいな根の腐りきった奴らの相手は初めてじゃないからな」

「………おい、あんまり調子に乗ってるんじゃねえぞ?」

そう言って懐からナイフを取り出すリーダー格の男。
何か武器を持っているかもとは思ってたけどまさかナイフを持っていたか。

「そんなもの取り出してる時点で小物だって言ってるみたいなもんだけどな」

俺がそう言うと顔を真っ赤にして俺を睨め付ける。

「なめやがって、ぶっ殺してやる!!」

そのまま怒りに任せて俺にナイフを突きつけてきた。
俺は相手の突きつけてきたナイフを持つ手の手首を掴み、捻り上げた。

相手は痛みに耐え切れず、直ぐ様手からナイフが落ちた。

「い、いててててて………」
「はぁ………」

「こ、この野郎………おい、お前らやっちまえ!!」

腕を捻り上げられた状態で残りの男達に命令する。
はやてを側に捨て去り、さっきのリーダー格と同じ様にナイフを取り出した。

「全く、状況が分かってないな………」

「それはお前だろ!!」
「舐めやがって!!」
「ぶっ殺す!!」
「八つ裂きだ!!」

4人が一斉に俺に向かってくる。
だけどコイツらアホだろ………

「盾」

「「「「いっ!?」」」」

突き刺す直前に俺はリーダー格の男を盾にした。
4人もギリギリで何とか止まる。

「あ、あぶねえだろ!!気をつけろ!!」

「いや、普通に考えてそうするだろ………」

「ぐっ………」

「だ、だったらこれでどうだ!!」

一人の男が慌ててはやての所に向かい、ナイフを突きつけた。

「これなら手を出せないだろ!!さあ、その手を離せ!!」

そんな様子に俺は溜め息を吐く。

「………はやて、いつまでそうしてるつもりだ?」

その俺の言葉を聞いたはやてはすごい速さで相手の腕を掴み、そのまま一本背負いの様に相手を投げた。

「ぐぇ!?」

「女を甘く見てると痛い目みるで!!」

「なっ、くそ………こうなったらやけ!?」

そう言って男は俺の方を向いて愕然とした。
その男の仲間(リーダー含む)は全員気絶していた。

「いつまでもお前らに付き合ってやる道理は無いんでな。警察が来るまで気絶してもらおうか」

「いや、待て、俺が悪かった………そいつらはどうなってもいいから俺だけは見逃してくれ………」

「はあ………分かったよ」

俺はそう言って近づく。
男は半信半疑が疑った目で俺を見てるが、まあどうでもいい。

「反省したからってした事は無くなったりしないんだからちゃんと償え」

俺はそう言ってさっきの男達にやったように首に手刀を落とし、最後の男を気絶させた………










あの後、気絶した5人を先生達に預け、はやてを保健室に連れていった。
幸い、痣になったりはしないみたいで、今は赤くなってるが、直ぐに元に戻ると言われた。

そして手当が終わった俺とはやては再び見回りを始めた。

「しかしはやてらしく無かったな、アイツらなんかお前一人で何とか出来ただろ?」
「そりゃ管理局で暴漢相手の訓練はやったけどあれは魔法があってやで。流石のはやてちゃんも魔法が無くなったらか弱い乙女なんよ」

「………乙女………ぷっ」

「流石にムカッとくるでその反応。………だけど助かったわ、あのままだったらあの男達に私の大切な………」
「近くに小さい子供がいるから止めろ」

ちょうど買い物をしている子供が近くにいた。
まあ何より場所を選ぶべきだよな。

「何や………つまらへん」

そう言って俺の前を歩くはやて。
実際助けに行った時のはやては恐怖に怯えていた。

「けれど間に合って本当に良かった」

「そうやなぁ………私にも王子様がいたってことやな………」

「王子様は止めろ」

「だけど謎多き王子様やな………いくら魔法を使えるからって一般人の生活をしている筈の零治君が何であんなに場馴れしてるかも気になるしなぁ………」

「………」

「まあええわ、私はフェイトちゃんみたく執務官って訳や無いし、友達を疑うのは良くないしなぁ………まあ取り敢えず………」

そう言ってはやては俺の方を向き、

「ありがとう、零治君」

笑顔で俺に言った。









そんな感じだったのに………

「歩くの早い〜ちゃんとエスコートせんとアカンよ〜」

俺の腕を掴み、ズルズルと引きずられるように歩くはやて。
正直邪魔だ。

「何でこうなった………」











あの後はやてと別れた俺はなのはと共に迷子を生徒会室に送ってから、校庭に出ると気落ちしてるフェイトを見つけ少し話していた。
そして、それも終わって再び見回りに付いた時だった。

「れ〜いじ!!」

いきなり誰かに腕に抱きつかれた。しかもこんな公衆の面々の前で。
しかもこの声は………

「何をするんだはやて?」

顔を真っ赤にして、でろんでろんになってるはやてだった。

「お前酔ってるのか?」
「酔ってる………?何つまらん冗談を言ってるんや〜?私はいつもと同じ、魔法少女はやてちゃんやで!」

懐かしの美少女戦士みたいな決めポーズをするはやてを見て、

「………駄目だこりゃ」

直ぐに確信したのだった。








そんでもって今度はなのはが俺に泣きついてきてとはたまたトラブルが俺の周りに巻き起こる。
殴って黙らせようかと思ったがそれは何とか踏みとどまり、耐えて助けを待っていると。

「レイ、ここにいましたか!!」

慌てた様子でやって来た星と夜美がいた。

「ライがどこにも居ないのだ、レイは見てないか………って何をしているのだ?」

「夜美、睨むのは筋違いだ。俺は何にも悪くない」

「全く説得力が無いです。ライが大変な目に合ってるかもしれないって言うのに、お気楽ですね」

「ライが危険………?それどういう事だ?」

「言葉通りの意味だ、はぐれてからどこにも見当たらないのだ。携帯に連絡しても駄目。もしかして何かのトラブルに巻き込まれたのかもしれない………」

マジかよ………はやての前例があるから余計に心配になる………
しかもライって何処か抜けてるからどうしても不安だ………

「分かった、俺も探す!!悪いがお前逹の相手をしてる暇が無くなった」

「「あっ」」

俺は両腕に捕まっているなのはとはやてをどかし、星と夜美と共にライを探しに行った。









取り敢えず3人でそれぞれ別れ、探しているのだがライの姿はどこにも無い。

「くそっ、やっぱり出ない………」

電話もかけるが、やっぱり繋がらない。
一体何処に居るんだライ………

「………もしかして」

俺はふと思い浮かんだ場所へ向かった………











「あれ?零治君?」
「おっ、すずか」

自分のクラスに来るとすずかと圭が受付をやっていた。

「やっぱりライはいないのか………」

「うん………ライちゃん当番なんだけど何処に行ったか知らない?」

「それがどこにも居なくてさ、今探してる所だ。」

「!?それって不味くないか?」

圭も文化祭の問題を知っている。去年もはやてと似たような事件があり、それを圭が発見し、何とか事なきを得られたらしい。

「まあそうなんだけど………」

そう呟いて俺は扉を見る。

「どうしたの?」

「なあすずか、中に何人いる?」

「えっ、えっと………」

数珠は元々20個用意してある。そして現在13個無い。
ということは13人は中に居るということになる。

「もしかしてこの中ってこと?」

「ああ、ライの知り合いが多いからな」

「妖怪の知り合い多いってそれってどうよ………?」

俺に聞くな圭。

「取り敢えず中に入ってみるよ、数珠貸してくれ」
「うん、分かった」

俺はすずかから数珠を受け取り、中へ一人で入った。











で、結論から言うと………

「ごめんなさい………」

ライは中に居た。ぬらさんの屋敷に遊びに来ていたらしく、屋敷前で見つけたので怒鳴りつけた。

「せめて何処に行くか位連絡しておけよ………」
「うん、心配かけてごめんね」

?やけに素直だな………

「何か企んでる?」

「な、何で!!」

「何で慌てる………」

「いや、本当に何も無いよぉ………」

「………まあいいけど」

取り敢えず無事でいてくれて何よりだ。

「レイ」

「ん?」

「探してくれてありがとう、嬉しかったよ!」

「あんまり心配かけるなよ」

「うん。………本当にありがと………」

俺達は肝試しから抜けて星達と合流した。
当然星と夜美も怒っていたが、ライの無事を知って喜んだ。

そして俺は再び見回りを始めた。











「あっ、いたいた………」
「っていうか………ぷっ!」
「ふははははははは」
「似合ってます」
「あははははははは」
「可愛いですよレイ」

「アミタ以外、俺の心にダメージを負わせてそんなに嬉しいか?」

心配していた面子、平行世界のメンバーを見つけたので声をかけたのだが、アミタ、シュテル、ユーリ以外の4人に笑われた。
しかもキリエの笑いを堪えてる姿が一番腹立つ………

「で、何してるのよ?」

「見回りだよ見回り。結構タチの悪い奴らがいたりするからな」

「ご苦労な事だな」

「そう思うなら問題事を起こすなよディア」

「我を誰と思っておるのだ!!我は夜天の王ディアーチェぞ!!」

「だからその名乗りはやめろっての!!」

「これを無くなってしまえばディアを王と思う人は無くなってしまいます」

「ディアも結構子供だもんね〜」

「レヴィにだけは言われとうないわ!!」

「まあそれは同感」
「私も」
「私もですね」

「レイ、アミタ、キリエ〜」

まあ事実だからな。

「そう言えばユーリの声がしないんだけど………」

「えっ、ユーリなら………」

レヴィは自分の後ろを見るがそこにはユーリの姿が無かった。

「………あれ?」

「ユーリなら人ごみに飲まれて何処かへ行ってしまいました」

「いや、何でそんなに落ち着いているのよシュテル」

「大丈夫、私には考えがありますので直ぐにユーリは見つかりますよキリエ。………ディアの王の力を使えばユーリを見つける事も容易く………」
「そんな力は我には無いぞ」

「「「「………」」」」

ああ、不味ったなシュテル………

「いえ、何を言っているのですか、王には不可能は無いはずです!」

「いや、我にも不可能な事位はある」

「い、いえ王なら出来ます!いや、ディアなら確実に!!」

もはや涙目で訴えるシュテル。
何故にそこまで意固地になってるのやら………

「そ、そうだな、そう言われるとそんな気がしてきたぞ!!」

ディアもそんなシュテルに不憫に思ったのか、シュテルの言葉を肯定した。

「それならば行きましょうディア、レヴィ!我らの盟主を見つけ出すために!!」

「あ、ああ………」

「う、うん。………レイ、アミタ、キリエ、シュテるんが壊れた………」

「何かストレスでも溜まってたのでしょうか………?」
「今日は帰ったらシュテルの好きなものを作るように星に言っとく」
「それが良いわね………」

俺とアミタとキリエはそんな事を言いながら探しに行く3人見ていた。

「だけど3人だけで行かせちゃったら3人も迷子になるんじゃない?」

「「あ」」

アミタに言われ、事の重大さに気がついたときは既に3人の姿は無かった………











さてそんな事があった平行世界のマテ娘達は桐谷の電話のおかげで無事に見つける事が出来た。
まさかあっちが俺達を迷子だと思ってたとは………

途中はやてに会って協力してもらったりして再びはやてと一緒に居る。
あの後なのはの看護もあり、無事正気を取り戻したはやては少し休憩してから再び見回りを開始したらしい。

あんな思いをしながらも見回りをやるはやてに感嘆したが、それ以上に心配でもある。
………まあ口に出したら調子に乗りそうだから言わないけど。

そして無事残りの時間も何事も無く過ごしたのだった………











そして………

「ねえ兄さん、ちょっと良い?」

後夜祭の準備が終わりそうな時だった。
加奈が険しい顔で俺に声をかけて来た。

「ああ、構わないけど………」

俺はそう返事をし、加奈と共に校舎裏へと向かった………







「ねえ兄さん、兄さんは今日何してたの?」

「何って………はやてと見回りしたり、なのはと迷子を生徒会室に連れていったり、フェイトとベンチで話してたり、行方不明になったライを探したり、迷子になったチビッ子達を探したり………後見回りか」

「そう………」

う〜ん、加奈が何を考えてるか分からないな………
仕方がない、こっちから切り出すか。

「で、そんな事を話す為にこんな所に連れ出したんじゃないんだろ?」
「ええ、そうよ………私は回りくどく聞いたりすることが苦手だから直球で聞くわね」

そう言って深呼吸する加奈。
何だか自然と身構えてしまう………

嫌な予感がしてならない………

「………兄さんは私の事どう思ってる………?」

加奈の聞いてきた言葉はある意味、俺の嫌な予感を裏切らなかった………








「加奈の事………?」
「そう私の事………」

真剣な顔で俺の事を見る加奈。
その顔を見れば冗談を言う場面で無い事位分かる。

「手の掛かる妹………」
「ごまかさないで、私は真面目に聞いているの………」

やっぱり誤魔化せないみたいだ。
俺は加奈の事をどう思っているかか………

ごく当たり前の様に妹だと思っていたから考えてもいなかった。
………いや、俺は加奈の事を羨ましく思っていた。

前世の時から勉強も運動も出来、ルックスも良い。そんな加奈を妹に持てて兄としては嬉しかったのと同時に妬ましく思っていた時もある。

何で妹はこんなに恵まれているのに俺はこんなにも普通なのか。
まあ普通でも気にしなかったからそこまで思わなかったけど………

それでも妬ましく思った事はあった。

「俺は………」

そしていつの間にか俺は………

ブルルルルルルルル。
突然俺のポケットにある携帯が震えた。

助かった、誰だか分からないけどこれで誤魔化せる。
そう思って俺は携帯に出た。

「もしもし」

『零治?私よ』

「シャイデ?一体どうした?」

『………最後にお別れと思ってね』

「お別れ………?お前何言ってんだ?」

『準備が整ったの。あの時止まった時間を再び動かすためのね………』

「シャイデ?お前一体何を考えてんだ?」

『楽しかったわ。星がいてライがいて夜美がいて皆がいて………あの人が死んでからも楽しい時間だったわ。だけど………』

「おい、お前………」

『足りないのよ、物足りない………あの人がいた時間が無いのよ、どこにも無いのよ………』

「シャイデ………」

『だから私はあの時の時間を取り返す。止まった時間を再び動かす』

「そんな事しても先輩は帰って来ないぞ」

『分かってるわ、だけどその報いは受けてもらうわ』

「止めろ、先輩はそんな事望んでなんか………!!」

『大丈夫よあなた逹には迷惑をかけない。心配しないで』

「ふざけんなよ!!お前だってもう家族何だよ!!間違った道に進もうとしてるお前を止めるのも家族の役目だ!!」

『………家族ね。黒の亡霊と呼ばれた頃の貴方には考えられない言葉ね』

「うるさい、昔は昔だ。時どんな事があっても進んでいく。だから昔を見るのはもう止めてくれ」

『………いいえ、止めないわ。もう後戻りは出来ない。“この子”もその為に動いてるのだから………』

「“この子”?」

『………もう終わりよ、これ以上喋っていたら余計な事まで言っちゃいそう』

「おい、シャイデ!!」

『あなたは幸せになりなさい、自分の家族達と共に………』

「シャイデ、シャイデ!!」

だがそこで電話は切れ、何度かけ直しても電話に出ることは無かった。

「くそっ!?何で出ないんだよ!!」

あの口調、あいつは絶対奴に対して………

「悪い加奈、急いでシャイデを探さないと!!アイツ、一体何を考えてんだ!!」

俺は返事を待たずに星達を探しに走った………














星達と合流した俺は直ぐ様事情を説明し、取り敢えずスカさんに連絡することにした。

『………事情は分かった、私の方からも調べてみよう。ドゥーエにも調べさせてみる』

「ごめんスカさん、俺もミッドに行ってシャイデの居そうな場所を片っ端から探してみる」

『何やら嫌な予感がする、充分に気を付けてくれ』

「ああ、ありがとう」

俺は直ぐ様スカさんに連絡し、協力を求めた。
何が起きるか分からない今、スカさんの協力無しではやっていけないだろう………

「けれどどういう事なのですか?私達には何が何だか分かりませんよ………」

「そうだよ、シャイデが言ってたあの人って誰?それにレイが言ってる先輩も………」

「………そうだな、こうなった以上説明する必要があるよな………」

あんまり話したく無い内容でもあるが、星達も家族だ、知る権利はある。

「先ずは家に帰ろう。キャロ、フェリア、アギト、優理にも聞く権利がある」

後夜祭が終わっていないがフェリアに連絡し、俺達は急いで家へ帰った……… 
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