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万華鏡

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第三話 部活その一


                    第三話  部活
 軽音楽部の活動は演奏だけではなかった。普段から色々と勉強や練習が行われるが第一にはだ。これがあった。
 全員それぞれのジャージに着替えて校庭に出て走る。勿論準備体操やサーキットトレーニングも行う。校庭を走りながらだ。
 先輩達は琴乃達一年と一緒に走りながらだ。こう言ってきた。
「いい?校庭を走ったらね」
「それから水分を補給してね」
 そうしてからだというのだ。
「発声練習をするからね」
「頑張ってね」
 こう一年生達に言うのである。
「まずは体力と基礎」
「それからだから」
「ううん、演奏ばかりって思ったのに」
「そうじゃないんですね」
「運動部と一緒で走るんですね」
「軽音楽部も」
「この学校の軽音楽部はそうよ」
 そうだというのだった。
「こうしてね。身体をちゃんと整えるのよ」
「本当にまずは体力だからね」
「体力ないと何もできないでしょ」
「それに基礎も」
 発声練習もそうだった。それにだった。
「明日もトレーニングをしてね」
「それから楽譜の勉強するから」
「楽器の勉強もするわよ」
「そうするからね」
「ええとですね」
 後輩の一人が走りながら先輩達に尋ねる。額には爽やかな汗がある。それが奇麗な輝きを見せている。
「部室で楽しくお茶やお菓子を飲みながらっていうのは」
「それで部活やるっていうのね」
「そういう部活じゃないんですか」
「まあ。何を言っているかはわかるけれど」
 先輩の一人、赤い奇麗なジャージの先輩が笑って応える。
「うちは違うから」
「トレーニングありですか」
「体力、基礎が第一だから」
 それでだというのだ。
「お茶やお菓子は料理部から貰ってきてね」
「わかりました」
「自分でティーパック買って部活中に飲むのはいいわ」
 それはいいというのだ。
「そういうのはね」
「そうなんですか」
「そう。そういうのはいいけれどね」
「あっ、それはいいんですか」
「そういうのはいいわよ」
 赤いジャージの先輩は笑って話す。
「うちの部活はこうしたトレーニングもするけれどそうしたことはいいのよ」
「じゃあ」
「水分補給もしっかりしないとね」
 まずはそれが第一だというのだ。
「演奏もやれないから」
「そうですか。じゃあ明日早速ですね」
「とはいっても。うちの部活って」
 先輩は走りながら苦笑いになってこうも述べた。
「そうしたところおおらかなせいかティーパックとかインスタントコーヒーとかココアとかそういうのがもう一杯あって」
「そういえば部室何か」
「凄いでしょ」
「はい、凄いですね」
「多過ぎて困る位になってるのよね」
「じゃあ買ってもですか」
「大変になってるの。だから気をつけてね」
 買うにしてもだ。それでもだというのだ。
「誰が誰のかわからなくなるから」
「じゃあマジックで名前書いておきます」
「そうしてね。あとポットの取り合いには気をつけて」
 その紅茶やコーヒーの為に使うことは言うまでもない。
「幾つもあるけれどね」
「わかりました」
「水分補給はしっかりとね」
 これもだった。 
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