| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

万華鏡

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二話 はじめての演奏その二


「それでお願いね」
「わかったよ。で、あたしはな」
「いるの?いないの?」
「いないんだよな。これが」
 苦笑いになってだ。美優は彩夏に答えた。
「生まれてこのかたな」
「その顔で?」
「ああ、ちょっとな」
 そうだというのだ。美優の苦笑いはそんままだった。
「残念だけれどな。募集中だけどな」
「実は私も」
「私も。そうした経験ないけれど」
 琴乃と里香も言ってくる。二人はもう巫女の服に着替え終えている。
「彼氏とかそういうのってね」
「興味あるから」
「誰だって興味あるわよ。そういうのはね」
 彩夏も着替えていた。既に上は着終えていて下の袴を着けている。紐を締めながら二人に応えていた。
「私だってそうだし」
「彩夏ちゃんはね。凄く可愛いから」
「そうした話もあるけれど」
「そう言うけれど二人も」
 彩夏は今度は琴乃と里香に対して言った。
「かなり可愛いじゃない」
「だよな。琴乃ちゃんと里香ちゃんもな」
 美優もこの話題に乗ってきた。二人を見ながら。
「かなり可愛いよな」
「ティーンズ雑誌のモデルやれる位にね」
「里香ちゃんそういう話きたことないか?」
 美優はとりわけ里香を見て言った。
「そんな感じだけれどな」
「あるっていったらあるけれど」
「やっぱりそうなんだな」
「うん。八条グループの出版社の」
「八条書店かよ」
「そこのティーンズファッションの雑誌に声かけられたことはあるわ」
「ああ、アップルだよな」
 八条グループは出版も行っているのだ。無論日本屈指の出版社だ。しかし殆どの出版社が東京に本社があるがこの会社の本社は神戸、八条グループの本拠地にある。
「それにか」
「うん。スカウトされたことあるけれど」
 モデルにだというのだ。
「けれど。そう言うの恥ずかしいから」
「断ったのかよ」
「うん、そうなの」
 それでだというのだ。
「断ったの」
「何か勿体ない話だよな」
「いいの。そういう話好きじゃないから」
「モデルには興味なかったんだな」
「今でもね」
 高校生になっただ。今もだというのだ。
「好きじゃないから」
「じゃあ仕方ないな」
「うん。後悔はしてないから」
「だといいけれどな。里香ちゃんがそれでいいんならな」
 美優も納得した。そしてだった。
 ここで景子が戻って来た。景子はまだ私服、下は黒いズボンで上はラフなシャツという格好である。その彼女が来て美優に言ってきた。
「袴、持って来たわよ」
「ああ、悪いな」
「ええ。私も着替えてないから」
「だよな。一緒に着替えるか」
「巫女の服の着方は」
「大体だけれどわかるさ」
 にこりと笑ってだ。美優は景子に答えた。
「琴乃ちゃん達も大体だけれどな」
「これでいいよね」
「間違ってないわよね」
 琴乃と里香が巫女の服の上、白い和服のそれの袖の先を持って蝶の様に広げて景子に見せて尋ねた。
「はじめて着たから心配だけれど」
「これでいいわよね」
「ええ、それでいいわ」
 巫女の景子からの太鼓判だった。
「それでね」
「私も?」
 彩夏も二人と同じ様にして自分の巫女姿を景子に見せて尋ねた。
「これでいいわよね」
「いいわよ。三人共はじめて着た筈なのに」
 それでもだとだ。景子は言うのだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧