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万華鏡

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第一話 五人その十


「あの名前はね」
「だよな。あのバンドって小学生でもな」
「凄く上手よね」
「笛っていうかサックスとかフルートもあってな」
「六人組でね。かなり凄いじゃない」
 小学生であってもだというのだ。アマチュアバンドでもだ。
「あやかるっていうかコピーみたいでね」
「止めたんだな」
「そうしたの。正解だと思うけれど」
「ああ、そう思うよ」
 実際にそうだとだ。美優も答える。
「ちょっとな。クラウンはな」
「私もどうかって思ってね」
「プラネッツにして正解だったな」
「うん。お月様に」
 琴乃は今度はその星達の話もした。
「火星に水星、木星に金星」
「土星とお日様はなしだよな」
「あっ、そうね」
 美優に言われてだ。琴乃も気付いた。
「そうなるわね」
「五人だからね。けれどね」
 里香もここで言う。
「それでも。この五人ならね」
「問題ないわよね」
「楽器も揃ってるから」
 また言う里香だった。
「いけると思うわ」
「後は技術を磨くだけね」
 景子は微笑んで述べた。
「演奏に歌のね」
「そうよね。バンドも」
「練習よ」
 それが「第一だというのだ。
「歌だって歌えばね」
「上手になるから」
「だからいいわね。この部活でも練習するけれど」
「うん、景子ちゃんのお家でもね」
「練習しましょう。五人でね」
 稽古はこう琴乃に言ってだ。そうしてだった。
 美優がだ。コーラのカップを手にして笑顔で言った。
「じゃあ結成式するかい?プラネッツの」
「今ここでなのね」
「ああ。丁度集まってるしな」 
 それでだとだ。美優は里香に話す。
「そうするか」
「そうね。じゃあ」
「酒はないけれどな」 
 美優は笑ってこのことについても言及した。
「まあそれはいいか」
「お酒ならうちに一杯あるわよ」
 景子が酒についても言ってきた。
「日本酒がね」
「ああ、神社だからな」
「お供えも来るし。お神酒でね」
 それでだ。酒はいつもかなりあるというのだ。
「幾ら飲んでも飲みきれない位あるから」
「おい、そんなにあるのかよ」
「だから。お供えで人が持って来てくれるし」
 それに加えてだった。景子は美優に話していく。
「あと八条神社からもね」
「貰えるのかよ」
「しょっちゅうね。お酒にお菓子はね」
「何か下手したら糖尿病になりそうだな」
「実際にお父さんもそう言ってるわ」
「だろうな。糖尿はなったら怖いからな」
 美優は腕を組んでしみじみとした口調で述べた。
「親父さんには気をつけてもらえよ」
「お兄ちゃんにも言ってるから」
「酒とお菓子って美味んだけれどな」
 しかしそれでもだとだ。美優は首を捻りながら言う。
「飲み過ぎたり食べ過ぎたりしたら怖いからな」
「そうなのよね。まあ何はともあれ」
「ああ、じゃあ乾杯な」
 美優が最初にコーラのカップを杯に掲げるとだ。それからだった。 
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