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万華鏡

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第一話 五人その五


「何時でも私のお家、神社に来ればね」
「ひょっとして?」
「そう、そのひょっとして」
「巫女さんの服着られるの?」
「巫女さんのお仕事もできるわよ」
 それもできるというのだ。
「お仕事っていっても普段は雑用だけれどね」
「あれっ、巫女さんのお仕事ってどんjなのなの?」
「神主さんのお手伝いよ。もっともね」
「お家で神社やってるってことは」
「そう。お父さんが今の神主さんで」
 それでだというのだ。
「お兄ちゃんが跡継ぎなのよ」
「お兄さんもいたの」
「そうなの。これはじめて話したかしら」
「うん。今はじめて聞いたわ」
 実際にだ。そうだというのだ。
「そういう話ってね」
「そうなの。で、お兄ちゃんは今うちの神社と」
「他にも掛け持ちしてるの?」
「八条神社にも勤めてるの。お父さんもだけれど」
「あの大きな神社に」
「そう。うちの神社って八条神社の子供みたいな神社でね」
 こうした事情もだ。景子は話す。
「その関係でね」
「八条神社にも勤めてるの」
「そうしてるの。お金は八条神社はお給料制で」
「そっちの方が安定してるとか?」
「ええ、そうなの」
 そうなっているというのだ。
「だからお家は結構楽わよ」
「それはいいわね」
「まあね。で、私はアルバイトも兼ねてお家で巫女もしてるの」
 そうしているというのだ。
「結構面白いわよ、巫女さんって」
「ううん。それじゃあ」
 その話を聞いてだ。琴乃は己の視線をやや上にやってハンバーガーを食べる手も止めてだ。こう景子に答えた。
「よかったらね」
「私のお家に来てみる?」
「そうしようかしら」
 こう言うのだった。
「今度」
「琴乃ちゃんはそれでいいとして」
 景子は琴乃の言葉を受けてだ。そのうえでだ。
 里香達も見てだ。こう尋ねた。
「皆はどうかしら」
「私もなの」
「あんたの家に行ってか」
「それで」
「そう。巫女さんになってみる?」
 こう言ってだ。他の三人も誘ったのである。
「私の方はいいから」
「どうしようかね」
 美優は里香と彩夏、それぞれフィッシュバーガーとチキンナゲットを食べる二人に尋ねた。ここはどうするべきかとだ。
「行く?あたしはそうしようって思ってるけれど」
「私も。巫女さんに興味があるし」
「私もね」
 あまりはっきりとしない口調だがだ。里香と彩夏も答える。
「それじゃあね」
「景子ちゃんがいいっていうのなら」
「お願いできるかしら」
「今度のお休みにでも」
「いいわよ」
 景子は笑顔で快諾した。
「それじゃあ今度ね」
「うん、今度のお休みにね」
「五人皆でな」
「景子ちゃんのお家の神社でね」
 三人が笑顔で言う。そしてだった。
 琴乃もだ。こう言ったのだった。
「五人全員で巫女さんになるのね」
「ええ、そうよ」
 そうだとだ。景子はまた答える。 
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