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八条学園怪異譚

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第二話 嫉妬その七


「だからね」
「そういえば目に埃とか塵が入ったら痛いっていうわね」
「あとは。目への負担も眼鏡よりも大きいっていうし」
「コンタクトにはそういうデメリットがあるのね」
「私は眼鏡とかはかけないからよく知らないけれど」
 だが、だ。それでも話すのだった。
「気をつけてね。目はね」
「そうよね。目って大事だからね」
「本当に気をつけてね。視力だけじゃないから」
「ううん、だから」
「そう。それにしても聖花ちゃん視力落ちたのね」
「うん、そうなの」
「目は大事にしてね」
 くれぐれもだとだ。愛実は聖花に話す。その表情は頼む様なものになっていた。
「聖花ちゃんが大切にしないと駄目だから」
「そうなのよね。ついついね」
「ついついって?」
「目を近付けて本とか漫画読んでたら」
 それでだというのだ。
「視力落ちたのよ」
「それも暗いところで読んだとか?」
「結構。そうかも」
「本とかは明るい場所で読まないと駄目よ」
 何処かお姉さんめいてだ。愛実は聖花に対して言う。
「それ以上目が悪くなったら。っていうか視力幾つなの?」
「右目が〇・七で左目が〇・六なの」
「左目の方が悪いのね」
「そうなの。本当に急に悪くなって」
「明るい場所で読んでね」
 それでだとだ。愛実はそのままお姉さんらしい口調で話していく。
「後は夜とかにね」
「夜に?」
「お星様を見たり。お昼でも山の方、遠くから見て」
 そしてだというのだ。
「後は緑が目にいいのよ」
「目にいい色ってあるのね」
「緑に。あと青もいいと思うわ」
「そうなのね。じゃあ緑見ていくわね」
「そうしてね。くれぐれもね」
「目は大事になの」
「そうしてね」
 こう話す愛実だった。そしてだった。
 聖花は眼鏡をかけようとするがここでだった。眼鏡はかけたが。
 ケースを落としそうになる。愛実はそのケースを。
 空中で受け取ってだ。それで聖花に言うのだった。
「はい、これ」
「あっ、有り難う」
「落し物にも気をつけてね」
「御免、目だけじゃなくてよね」
「落し物にも気をつけないとね」
「そうね。高校生になったんだし」
 こうした話をしながらだ。二人は校舎、これから三年間通うその校舎の中に入った。そうしてだったのだ。
 校庭に貼られていた、合格発表の様にあるそれを見てだ。聖花が笑顔で言った。
「一緒のクラスになったよ」
「そうね。同じね」
「じゃあね。これから一年間ね」
 聖花はその一緒のクラスになった愛実に笑顔で言う。
「宜しくね」
「うん。こちらこそ」
「じゃあクラスに入ろう」
 聖花は愛実に笑顔を向けて話す。
「それじゃあね」
「一組なのね。聖花ちゃんの成績なら」
「この学校って成績でクラス編成してるの?」
「そうじゃないかしら」
 愛実は首を少し捻って聖花に話した。
「そうした学校も多いし」
「それはそうだけれどね」
「だから。そうじゃないかしらって」
 思うとだ。愛実は話す。
「思ったけれど」
「だったら愛実ちゃんもね」
「成績いいっていうの?」
「そうじゃないの?」
「私はそんな」
 まただ。愛実の自信のなさが出た。 
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