| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園怪異譚

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

プレリュードその十一


「それもなの」
「ああ。他にも勉強ができたりできなかったりな」
「それもなの?」
「それぞれだからな」
 こうだ。お父さんは前を向きながら娘に話した。
「可愛いとか奇麗とかもな」
「それぞれなの」
「そうだ。そして人はその人にいいところがあればな」
 その時はどうするべきかもだ。お父さんは愛実、自分の末娘に話した。
「それを認めないといけないぞ」
「そうするべきなの」
「そうだぞ。ちゃんと認めてな」
 そしてだというのだった。
「そのことを妬んだりしたら駄目なんだ」
「羨んだりすることは?」
「それ位なら自分もそうなろうと思って努力するんだ」
「そうしてその人みたいになるのがいいのね」
「妬んでいるだけじゃな」
 どうなるかということもだ。お父さんは話した。
「駄目な人間になってしまうぞ」
「そうなるの?」
「妬んでそれで前に進まないでその人に嫌がらせなんかしたらな」
 まさにだ。そうすればだというのだ。
「悪い人間になってしまうからな」
「だから絶対にしたら駄目なのね」
「そうだ。妬んだら駄目だぞ」
「うん。羨ましいと思って」
「そこから悪くなったのが妬みなんだ」
 こう話すのだった。
「そしてそれは絶対に持ったら駄目なんだ」
「そうなの」
「人の心は奇麗にもなれば醜くもなるんだ」
 お父さんはあえてだった。愛実がまだわからない、小さいからそうなることを述べた。
「いい感情を持てば奇麗になるんだ」
「それで悪い心を持てば?」
「醜くなるんだ」
 こう愛実に言うのだった。
「そしてその中でもな」
「人を妬むと?」
「一番醜くなりやすいんだ」
 遠い、そして悲しい目になっての言葉だった。
「人間ってのはな」
「そうなの」
「他の人のいいことやよかったことを素直に喜べなくて」
 そしてだというのだ。
「自分が努力しないで悪く思うとな」
「それがよくないのね」
「ああ。そこで自分もよくなろうと思うのはいいんだ」
 その場合はだというのだ。
「けれど。そこから人を悪く言ったり悪いことをすると」
「悪い娘になるのね」
「愛実は悪い娘になりたいのかな」
「ううん」
 お父さんの問いにだ。愛実は首を横に振って答えた。
「そんなの絶対に嫌。私悪い娘になりたくないよ」
「そうだよな。絶対にな」
「うん。私絶対に嫌」
 愛実は目を曇らせてお父さんに答える。
「悪い娘になんかなりたくない」
「そうよな。じゃあ人を妬むんじゃないぞ」
「うん。そうするね」
「誰を妬んでもいけないけれど」
 お父さんは愛実が答えたのを聞いてからさらに言った、愛実の心に自分の言葉が残ったと思ってだ。理解できなくても今はそれでいいと思ったのだ。
 そのうえでだ。こうも言ったのである。
「特にお友達は妬んじゃいけないからな」
「お友達は?」
「そう、親しいお友達は妬んじゃいけないからな」
 やはり前を見て遠いものを見ながらだ。娘に告げる。
「愛実の一番親しい友達はあの娘だな」
「うん、聖花ちゃんだよ」
「聖花ちゃんはいい娘だな」
「優しくて頭が凄くよくて」
「そうだよな。その娘は特にな」
「妬んだらいけないのね」
「聖花ちゃんにいいことがあったら素直に喜ぶんだ」
 そうしろとだ。娘に言ったのである。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧