| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

その答えを探すため(リリなの×デビサバ2)

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第15話 冥犬パスカル(2)

「あのバカ、あのバカ、あのバカ!」

 タッタッタ、と軽快に、けれどもどこか焦ったような音を立てて、金髪の少女が神社へと続く石段を駆け下りていた。

「何が『嬉しい』よ、『絶対守る』よ!!」

 そうやって、そこにはいない誰かへと悪態をつく彼女の顔は、耳の裏に至るまで真っ赤だ。
 確かに階段を急いで駆け降りるというのは小学3年生の少女にとってはいささかきつい運動だろうが、今はそれ以外の原因での顔の紅潮である。

「それに! いきなり名前呼ぶなんて!!」

 その言葉と共に、タンッ、と最後の段をジャンプして一気に降りる。トン、という軽い音をたてて着地。
 そして後ろを振り返り、今は見えない階段の頂上に向かって大声で言い放った。

「すぐになのはたち呼んでくるから、それまで負けるんじゃないわよ! このバカジュンゴ!!?」

 少女――アリサ・バニングスは自身が邪魔にならない所まで来たのを確認すると、急いで携帯を取り出し、仲間の少女へと連絡をするのだった。





「全く、次からは気をつけるのだぞサマナー。どんな相手と戦わねばならぬか、それは生死を左右する要ぞ」

「ん…。分かった、オーカス」

 ブフゥ、と豚の鼻から盛大な鼻息を洩らしつつオーカスの言った苦情に、純吾はすまなそうに眼を伏せ、謝罪をした。

 今、彼らから2,30メートル――それでも、数歩で踏破される距離だが――には回収するべきジュエルシードを宿した犬型のモンスターがおり、1人と1柱はソイツと対峙していた。

 ソイツは純吾とオーカスの隙を突こうと、こうして警戒しつつ話している最中にも視線の先でうろうろと巨体をさまよわせており、時折地獄の底から聞こえてくるのではないか、という低い声で威嚇をしていてきている。

ヴォーノ(よろしい)! では、目の前の躾のなっていないカーネ()に、少しお仕置きをするとしようかの!!」

 純吾の謝罪に気を良くしたか、そう巨体を揺るがして大笑し、オーカスは王笏を横に薙ぎ払った。

 それは、通常なら絶対に当たらない攻撃である。
 何故なら先にも言った通り、オーカスとモンスターの間には距離という絶対の防壁がある。魔法か、それとも近づいて王笏の殴打が当たるまで近づかなければならないはずだからだ。

 だが次の瞬間、モンスターの頭が何かに殴られたかのように激しくブレた。それにつられたたらを踏んだかのように四肢をよろめかせる。
 その巨体が揺さぶられる中、何が起こったのか分からないという顔をモンスターがする。

 だがそれも一瞬の事だった。
 キッ、とすぐに態勢を立て直しモンスターがこちらを睨み返してきたのだ。
 先程までより眉根に、鼻にもしわを寄せ、犬歯をむき出しにして唸ってくる。理解できない攻撃に疑問半分、怒り半分と言ったところだろう。

「ブッハハハハ! 間抜け面を晒しよって、ヴォーノ! ヴォォォーノ!!」

 しかしそんな威嚇に逆に自身の有利を確信したか、オーカスは狂ったかのように叫びながら、更に何度も王笏を振るった。

 決して届かない攻撃を当てた理由、それはオーカスの属する【邪神】の種族特有スキル【混沌の波動】によるものだ。素早さを犠牲にするなど大きなデメリットがあるが、このように距離的な隔たりに関係なく自身の攻撃を相手に当てる事が出来る。

 王笏を振るうたびにドゴンドゴンと鈍い音を立て、モンスターの様々な所に見えない打撃がぶち当たり、その巨体が左右にふらふらと揺さぶられる。
 顔を怒りによって更に歪めつつも2、3度はモンスターも衝撃に耐えていたが、とどめとばかりに繰り出された大振りの横薙ぎを見て、自ら横薙ぎに合わせる様にして神社の森の中に飛び込んで行った。

「ブフゥ…、何とも呆気ない奴よなぁ」

「オーカス、逃がしちゃ、ダメ」

 純吾は横で退屈そうにため息をつく巨体を非難するかのような視線を送る。
 彼の目的は「ジュエルシードの回収」であって、倒す事ではない。それなのにわざわざ逃げられやすい森の中に吹き飛ばしてしまうとあっては、流石に愚痴の一つも言いたくなるというものだ。

「……ふむ、こういう時人間は不便だのぅ。あ奴は逃げんよ、必ずな」

「?」

「まぁ、よい。それよりサマナー、あのカーネ()よりも、優先すべき事があるのではないか?」

 顎をしゃくったオーカスの示す方向は、神社の奥。
 そこには、先の悲鳴の原因であろう女性が倒れていた。



 小さい人間と、黄色い巨体が女に近づくのを、ソイツは怒り半分、嬉しさ半分で林の陰から見ていた。

 怒りとは、勿論先程まで受けていたあの攻撃に対してだ。
 こうも一方的に自分が近づく事も出来ずにただ殴られ、そして吹き飛ばされた事は、ソイツにとっては非常に大きな屈辱だったのだ。

 力を得たはずの自分が、どうしてこのような屈辱を受けねばならないのか?
 そう考えると、血が沸騰しそうになるほどの怒りが湧き上がる。

 そして嬉しさと言うのは、相手の有利が崩れたためだ。
 先程まで自分が相手に近づくには前進するしかなかった。それは相手が入口にいて、自分が奥の側にいたからである。今までは、近づくにはあの見えない攻撃を真正面から受けるほかなかった。

 しかし、相手は今自らその有利な地形を捨てた。
 あの女、所詮群れなければ弱い人間かと思っていたが、意外なところで役に立った。

 さぁ、これから反撃だ。あいつを倒してその肉を喰らえば、自分はもっと高みへ、もっと強い力を得る事ができる。

 もはや目的も忘れた力への渇望に身を焦がしながら林の中で犬歯をむき出しにし、ソイツは獰猛な笑みを浮かべた。



「オーカス!」

 女性のもとへ移動し、安否を確認していたら突然後ろで、車が激突したかのような音が響いた。

 その音に驚き振り返ると、先程のモンスターが前足を振り上げ立ち上がり、オーカスに圧し掛かろうとしていたのだ。
 オーカスはモンスターの不意打ちに前足を掴んでしのぐが、モンスターはグワッと喉の奥が見えんばかりに口を開け、オーカスの体を喰い破らんと噛みつこうとする。

「見え透いた罠に掛かるという事がかくも不快だとはな……、サマナー!」

 両腕で何とかモンスターと距離を開けつつ、豚顔一杯にしかめっ面をして、オーカスは純吾の方を見た。

「そ奴をこの場から遠ざけよ! 戦いの邪魔にしかならん!」

「……分かった、それまで耐えて!」

 純吾はコクンと頷くと、女性を抱えて入口の方へ走る。

「物分かりがよくてよろしい。……ブウゥ、ヴォーノ!!」

 そう満足げに言うと、雄たけびと共にモンスターを押し返し、王笏を振る。
 しかし先程までと違い、モンスターは横に大きく跳びそれを避ける。そして再び猛々しい雄たけびと共にオーカスに躍りかかっていく。

 ある時は攻撃を横っとびに避け、攻撃のこない横に或いは後ろに回り込もうとし、またある時は蛇のように蛇行しながらオーカスの狙いをブレさせるように。

 そう、モンスターは一方からだけでなく、前後左右360度から襲いかかってきたのだ。
 王笏をいくら素早く振り回しても、相手はそれ以上の素早さで攻撃を避け、攻撃する角度を変えその牙で、爪や尻尾を振り回し飛びかかってくる。

 その変幻自在な動きに、やがてオーカスの攻撃も対応しきれなくなり
「ヴぉ、ヴォーーーノ!」

 何度目かの攻撃を避けられ、腕が伸びきったところを腕とは反対側からタックルを受け、そのまま押し倒されてしまった。ズズゥゥン! と、勢いのまま組み付されたためあたりを揺るがす轟音を起こし、叩きつけられた石畳に大きなひびを入れる。

「これだから、脳筋の相手は嫌だったのだ!」

 腕を押さえこまれ、噛みつきをしかけてくるモンスターを、首を振って顔を逸らす事でなんとかオーカスは避ける。
 ガチン、ガチンとオーカスの顔のすぐ傍でモンスターが噛みつく不快な甲高い音が聞こえてきた。

「ッ! オーカス!」

 その時、女性を鳥居の後ろにもたれ掛かけさせた純吾が戦いに戻ってきた。
 しかし、そのままオーカスの所へ戻る、ということはしない。
 純吾はその場で両足を広げ、腰を落とす。右手を左腰のあたりに持っていき、居合のような姿勢を取った。腰にある右手が光り、真っ白で長大な剣のような光が出来上がっていく。

「【なぎ払い】!」

 声と共に今までためていた力を解放。手の中にある長大な光の剣を、体の重心移動に加えて腰のひねりを最大限に活かして思い切り振り抜いた。
 【ハーモナイザー】によってオーカスの【混沌の波動】の恩恵を受け、射程が延びた【なぎ払い】がオーカスに覆いかぶさっていたモンスターだけを見事ぶち抜いた。

 打撃をしたたかに受け、モンスターは宙へ放り投げられる。
 しかし、器用に一回転して体制を立て直すと、轟音と共に、足もとに砕け散った地面による土ぼこりを起こしながら着地をした。

 その隙にオーカスは起き上がり、態勢を整える。奇しくもそれは、両者はまた距離をとり対峙をする形となった。
 だがしかし、オーカスが負傷した今、最初よりも純吾に不利な状態での睨みあいになるかと思われたが

「ジュンゴ!」
「純吾君!」

 その時、バッサという羽ばたきの音と共にリリーとなのはが神社に到着した。
 抱きかかえられていたなのははともかく、リリーは玉のような汗を額ににじませて、必死の表情で純吾の名前を叫んだ。
 アリサからの連絡を受けて、全速力でこの場に駆け付けたのだ。

「あの形状から見て、現地生物を取り込んだものと見られます。封印魔法を確実に当てるために、まずは動きを止めてください!」

 なのはに抱えられていたユーノがそう声をあげた。それを聞いた純吾が携帯を取り出す。

「ん…。オーカスありがとう、戻って」

 そうオーカスを帰還させ、最も適当な仲魔を召喚するために再び携帯を操作し始める。
 先程まで戦っていたオーカスが消え、今が好機と見たモンスターが遮二無二躍りかかってくるが

「邪魔するんじゃないわよっ!!」

リリムが素早く両者の間に割って入り、電撃を浴びせかけてモンスターの進行を阻む。先程までとは全く違った攻撃にモンスターがたたらを踏んでいる中、召喚の準備が完了。純吾は決め手となる仲魔を呼びだした。

「召喚……モコイ!」

「ボクを選ぶとは、お目が高いねサマナーくん」

 少し場違いな気もする言葉と共に現れたのは、純吾の腰ほどの大きさの、粘土細工のような悪魔。全身が緑色で、白いビー玉のような目にふんどし、そして手にはオレンジ色を主体としたブーメランを持つ邪鬼、モコイが召喚された。

「モコイ、【呪縛】を!」

「ナイスだね、チミ」

 純吾がモコイに命令した瞬間、電撃によって弾かれたモンスターの動きが目に見えて遅くなった。邪鬼特有スキル【呪縛】が、モンスターの体全体を縛ったのだ。
 そこに追い打ちをかけるようにして、モコイがブーメランが投げつけた。

「今日のボク、ちょっぴりセンチメンタル」

 唸りをあげ、凄まじい回転と共にブーメランがモンスターの巨体に突き刺さる。電撃の影響で満足に動けない体に、鋭く急所にねじり込まれた一撃の与える効果は大きい。
 純吾の腰にも及ばないモコイの、30センチにも満たないだろう小さなブーメランはモンスターの体をくの字に持ちあげ、着地の姿勢を取らさぬまま地面に落した。

「レイジングハート!」

『All right. Sealing mode, set up』

 モンスターが膝をつき、動きが止まった一瞬のすきをついて、封印魔法をなのはが発動させた。先日見た時と同じような桜色の光の鎖が、モンスターの全身を拘束する。
 モンスターはくぐもった低いうなり声をあげ、滅茶苦茶に体を動かし戒めから逃れようとするが、拘束から逃れられず、怒りを込めた4対の目でなのは達を睨みつけることしかできない。

「リリカルマジカル! ジュエルシードシリアル16…封印!」

 そして、その声と共に、光がモンスターを覆い、その姿を消してしまった。



 桜色の光がソイツと力の源を引き剝がし、自分というものが希薄になり、再び作りかえられていくのを感じながら、ソイツは考えた。

――ドウシテ、ワレハチカラヲモトメタノデアッタロウカ?

 先程まで怒りに染まり、戦いの事しか考えられなかった思考が嘘のように凪いでいる。
 ジュエルシードから受けていた悪影響が、封印魔法を受けた事によって無くなったからであるが、それはソイツの知らぬところである。

 確か、人間の街の明るさをみて、そこに近づきたいが為ではなかったか? 人間は強い、だから、力さえあればそこにいてもいいのではないか、と考えたのが初めだったろうか。そう考え、森の中をふらついていたらあの石を見つけ、そして、力を得た。

――シカシ、ケッキョクワレノチカラハトドカナンダ

 だがしかし、ソイツは結局目の前の人間に負けてしまった。

 それは何故か、怒りから解放された今なら分かる。
 この目の前の人間たちは一人一人では自分よりも格段劣るだろうが、それでもお互いに自分の役目をこなし、自分を追い詰めていったのだ。今までずっと一匹で生きてきた自分には出来ない事、そして、居なかった仲間という存在によってもたらされた勝利。

 と、そこまで考えて、唐突に悟った。

――アァ、ソウカ。ワレモ、コノニンゲンタチノヨウニ……

 最後に自身が見つけた答えに満足しつつ、ソイツの意識は、光の中に溶けていった。



「はぁ…、結局この子どうするのよ」

 ジュエルシードを封印した後、神社にはこのようなメンバーが残っていた。すなわち、あきれ顔をするアリサと

「……、ふふっ、くすぐったい」

 シードにとりつかれた犬――青と白の毛並みが特徴的なハスキー犬――にじゃれつかれ少し嬉しいそうな顔をする純吾、そして

「妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい」

「ダメダメだね、チミ」

 純吾の顔を舐める犬に、血涙が出そうなほどの嫉妬に顔を歪め、呪い殺せそうなほどの視線を向けるリリーに、彼女を馬鹿にしたように呟くモコイ。
 そしてその光景に呆れてものも言えないと言った様子のすずかやなのは、ユーノである。

 気絶していた女性も去っていた今、彼らはその犬をどうするかについて相談していた。

「ま、この子首輪付けてないみたいだし、いいわ。私の家で飼いましょ」

 しかしその相談は呆気なく幕を閉じる。
 アリサがあっさり引き取ると宣言したのだ。彼女にしてみれば今まで何度もあったことであり、友人たちの家の事情を鑑みたら、自分が引き取るしかないと考えていた。

「いいの? ……アサリン」
 犬を顔から遠ざけ、純吾は期待を込めた目を向ける。それに胸を張ってアリサは答えるが

「えぇ、私の家って結構こんな子を…って! またアサリンって戻ってるし、あんたさっきは名前ちゃんと呼んでくれたのにどうしてまた元に戻ってるのよ!!」

 途中また自分の呼び名が戻っている事に気が付き激昂した。しかし

「アサリンの方が、かわいいよ?」

 ねぇ、と純吾は抱えている犬に確認。それに対してワンッ! とまるで同意するかのように犬が吠えて答える。
 お互いに頷き合った一人と一匹は、得意満面な顔を一緒にアリサへと向けた。

「犬に確認したって駄目に決まってるでしょ。……そ、それに。か、かかかかわいいって。そ、そんな言葉に騙されないんだから! ちゃんとこれからは名前で呼びなさい!!」

 一点の曇りのない眼で「かわいい」と言われ、アリサの顔が真っ赤になる。そのまま純吾にお説教をしようとしたが、これ以上話が脱線すると退くt……、時間の無駄だと思ったなのはが割って入った。

「ね、ねぇ。名前って言ったら、この子の名前をどうするの?」

「ん…。じゅんご、じゅんごがいい」

「ワンッ!」

 その問いに対して、純吾は嬉しそうに頬をほころばせて犬と顔を突き合わせる。犬の方もそれに答えるかのように、ひと際大きな声で返事をした。

「いや、その名前にすると絶対にあんたたち間違えるからやめなさい」

「そ、そうだよ純吾君。それに、アリサちゃんが飼うんだから、アリサちゃんに決めてもらおうよ」

 けれども、純吾の提案を苦笑いを通り越してひきつったような笑みをした2人が必死になってその提案を却下する。
「…残念」と、2人の言い分に従う純吾に、全員がほっとしたのは彼には秘密である。

「じゃあ、どうしようかしら。さっきから純吾の言葉に答えてるみたいだし。頭のよさそうな名前にしないとね。……パスカル、パスカルなんてどう?」

「うん。その子にぴったりだと思うよ」

 また変な名前をつけられたらたまらないと、すずかが真っ先に答えた。他の面々も、おおむね不満はなさそうな様子だ。

「じゃあ、これで決まりね。ほら純吾、その子をこっちに頂戴」

 満足そうにうん、と頷いたアリサはそのまま純吾に向き合う。純吾は抱えたままだった犬――パスカルをじっと見つめていたが、やがて意を決したように口を開いた。

「ん…。じゃあ、パスカルをお願い……アリサ」


 その純吾の言葉に、アリサは一瞬驚きの表情をする。
 しかし、すぐに

「まっかせなさい、純吾!」

 そう満面の笑みを作って答えるのだった。





その夜

From:Nicaea

Subject:フロストエースの合体解禁

『アリサ・バニングスとの縁が一定以上となりましたので、邪教の館にて新たな悪魔の合体が解禁になりました。

今回解禁されましたのは、
幻魔、フロストエースになります。

戦力の強化に、お役立てください』
 
 

 
後書き
おまけ

月村邸、風呂場
「ジュンゴとお風呂ジュンゴとお風呂ジュンゴとお風呂……
 お風呂に入る前から羞恥を感じるけど、責任も同時に感じいて顔を真っ赤にして入ってくる幼いジュンゴ。それを年上らしく優しく丁寧にリードする私――」

『リリー…。やっぱり、は、はずかしいよ……』

『いいえ、駄目よジュンゴ。何たって、これは私の“お願い”なんだからね』

『お願い、リリーの……。分かった、ジュンゴ、頑張るよ』

『ふふっ、そういうジュンゴの素直な所、お義姉さんとっても好きよ。
 さぁ、そんな無粋なものは脱ぎ捨てて。そんなもの、私達の間にはいらないわ……』

『あっ……』

『あら…
 ご立派ですわね…ふふ』

「うふ、うふふふふいい、いいわ! 最高よ!! さぁジュンゴ! はやくその幼いみずみずしい肢体を私の前に晒してちょうだい!
そしてお義姉さんと一緒に、……いっ、しょ…に………」



「リリーさ〜ん、湯加減どうですかぁ……って、湯けむり密室殺人事件!?」

 その後、風呂場を毎回鼻血で汚されてはたまらないと言う事で、純吾とリリーが一緒にお風呂に入る事は固く禁じられた。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧