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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜

作者:カエサル
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BFO編ーダブルファイター編ー
  32.前兆

 
前書き
第32話投稿!!!

直葉に呼ばれ行った学校で新たなる戦いが!?

新章突入!! 

 


この日もいつもと変わらない何の変哲もない金曜日だった。
........ある一つの事件を除いては...........




「ぜぇ.......ぜぇ.......死ぬ.......これ死ぬぞ」

息を切らしながら全力でロードを走らせ二時間ちょっとようやく俺が目指す場所が見えてきた、高い塀に囲まれた学校。
学校の外周を周りながら校門も目指す。校門が見えてき、そこには剣道着姿の少女がキョロキョロと辺りを見渡している。

「す、スグぅぅ!!」

死にかけの喉で精一杯出した声は、剣道着姿の少女に聞こえたのか、少女は、驚いた顔をした後に呆れ顔をする。

「ぜぇ....ぜぇ......死ぬかと思ったぜ。距離にして二十キロ........時間にして........ぜぇ.....ぜぇ.....」

息が上がり過ぎてもはや口を動かすのさえ辛い次元だ。

「集也くんって...........まぁ、とりあえずお疲れ様」

何かを言いかけるがやめ、笑顔で俺に微笑みかける剣道着姿の少女、桐ヶ谷直葉が死にそうな俺の背中をさする。

なぜ俺がこんな遠い所、正確には、スグの通う学校まで来たかと言うと........俺はほぼ毎朝スグとALOでの動きを確かめるために剣道をやっている。それでスグが俺のことを部活で話したらしく、そしたら剣道部の部員たちが疑ったらしい。確かにスグの実力は、一年生ながらインターハイと玉竜旗のレギュラー選手に抜擢されたほど、それと同等の人がいるわけないと、言われスグが、今度呼んできたあげる!、と言ってしまい今に至る。

自転車を駐輪場に置き、スグに腕を引っ張られどこかへ連れてかれる。

スグに連れられるがままに行くとそこには、かなり大きく年期が入った道場が見えてくる。

「.......でか.....」

思わず声が漏れる。このデカさは、大きな大会が開かれてもおかしくないレベルのデカさだ。

「ささ、入って」

道場の扉をスグが開けるとそこには、男子と女子を含めた約三十人の生徒が一斉にこちらに向く。

試合場がなんと4面もある。ってデカすぎだろ。

「みんな、紹介するね!この人が集也くん」

とりあえず頭を下げる。

(てか、何だ。この男子からの痛い視線は.......)

「とりあえず集也くん、向こうで着替えてきて。.......はい、着替え」

スグに案内されるまま更衣室に向かい、剣道着に着替え再び試合場に。

「で、スグ。俺は何をすればいいんだ?」

スグが少し困った表情をすると一人の男が俺の前に現れる。

「桐ヶ谷が強いという男ならかなり強いのだろうな。.......俺と一試合してくれないか」

「別にいいけど.......」

スグの耳元まで顔を近づけ小さな声で、

「........これって本気でやっていいのか?」

「うん。でも、大貴先輩は強いよ。あたしと同じくらい」

「なるほどね」

今一度、俺はこの男、大貴に眼をやる。すると自然と笑みがこぼれてしまう。

防具を付け、竹刀を持ち試合場の一歩手前まで行く。相手も同様に位置につく。

互いに一礼。
白線のラインに足を踏み入れ互いに竹刀を構える。

(こいつヤベぇな。多分、スグ以上の実力だ)

こいつから感じられる気迫は、攻略組のトッププレイヤーとデュエルで対人したときと同じような感覚だ。

(だからこそ......燃える!!)

俺は竹刀を下向きに構える下段の構えで構える。

そして審判をやる部員の声を待つ。沈黙の空間がその場に広がる。緊張が走り、今一度竹刀を強く握る。

「それでは.......試合始め!!」

刹那!!
その声とともに俺は速攻をかける。一瞬の内に俺の竹刀と相手の竹刀がぶつかり合う。相手は上から振り下ろされ、俺は下から振り上げる。明らかに俺の方が不利だ。

(それなら!!)

振り上げる力をさらにいれ、竹刀を払いのけ相手から距離をとる。
そして、竹刀の先をやや下に向け後ろに引く。この状態では面がガラ空きの状態だが、相手も察したようだ。
.......このまま飛び込めば打たれると。

(だがな......俺の剣道はカウンターってわけじゃねぇよ!!)

俺は強く床を踏み込み、相手に突撃!!
カウンターが来ると思っていた相手は、俺の行動に驚いたのか、慌てて俺に面を放つ。

「..........遅ぇよ」

竹刀が振り下ろされる前に相手の懐に侵入、そのまま相手の胴に竹刀を叩き込む。

片手剣突進技《スライドウォール》

「どぅぅぅ!!」

全ての審判が旗を上げ、一本。

残り時間は、三分。
あと一本決めれば俺の勝ち。

互いに再び竹刀を構える。再び俺は下段の構えで構える。

「始め!!」

審判の声が響く瞬間、同時に動く。俺は竹刀を下から振り上げ、相手は竹刀を振り下ろす。
さっきと同じ展開だが、さっきのようにはさせない。先ほどよりもかなり強い力で竹刀を振り上げ、相手の振り下ろされる竹刀を上へと弾く。そしてガラ空きとなった面に竹刀を叩き込む。

片手剣縦下二連撃技《バーチカル・フォール》

「めぇぇぇん!!」

再び審判が旗を一斉に上げる。
試合終了。互いに礼をする。

「ふぅ〜、疲れた」

面を取るとスグが駆け寄ってくる。

「お疲れ様。はい、これ」

そう言って水を俺に渡してくれる。

「ありがとな、スグ」

水を受け取り、一気に水を飲み干す。

「ホントに強いな、お前」

さっき戦った男が俺に歩み寄ってくる。

「あんたもな」




結局その日は、午後二時くらいまでスグの学校の皆と剣道をやり続けた。

「ふぅ〜、疲れた」

「お疲れ様。今日は、ありがとね、集也くん」

「別にいいよ。スグの頼みなら」

道場を後にし、自転車置き場に向かう時に変な気配を感じた。

「お前が直葉の彼氏か」

その低い声に少々驚いた。俺とスグの前に学生服を着た少し大柄の男が俺の脚を止める。

「だったらどうだってんだよ」

するとそいつは急に拳を握り、俺に振り下ろす。とっさに俺は両腕をクロスし、ガード。

「ほぅ、中々の反応速度だ」

「そりゃどうも。あんたこそ、中々のいかれぐわいだぜ」

男は、拳を引きこちらを見、笑う。そして口を開く。

「決闘だ」

「.....はっ?」

「お前が勝てば、俺は貴様にも直葉にも手を出さん。.......だが、もし貴様が負ければ直葉はもらうぞ」

「なにいってんだ、テメェ!!」

「言ったままだ。怖いのか、逃げるのか」

(何だこのふざけた野郎は!?)

すると男は俺に四角い何かを投げてくる。それをキャッチする。

「これは、ゲーム?」

四角い何かはVRMMOゲーム。
そのパッケージには、《Battlefight Online》と書かれている。

「そのゲームで勝負だ。決戦は明後日の日曜、中央街の《コロッセオ》で待つ。戦う気があるなら来い。逃げるなら好きにするがよい。.....が、逃げれば直葉は......」

「行くに決まってんだろ!テメェが何であれ、スグは誰にも渡さねぇよ!!」

男は、少し笑みを浮かべ俺たちの前から消える。

「あいつは.......いったい?」

すると後ろから肩を叩かれる。するとスグが恐ろしく恐い顔で俺を見ている。

「ア・ツ・ヤ・く・ん!」

「な、何でしょう......直葉様」

「バカぁ!!何であんなこというの!?」

スグが俺の勝手な言動にかなり怒っている。

「いや.......売り言葉に買い言葉で......」

「全く.......」

するとスグは俺に抱きつきながら小さな声で言う。

「勝てるよね.......絶対」

その声から伝わってくるスグの恐怖心を消し去らせるように俺は、スグを抱きしめる。

「当然だ!」

俺は平然を装うが内心は、勝てる気がしていない。その理由は、あいつが渡してきたゲーム。
.......そのゲームを見る限り、その世界には...........




............剣が存在しないのだ。 
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