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髑髏天使

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第五十五話 魔水その二十一


 その二つの炎の中でだ。神は言うのだった。
「貴様等の勝ちだ」
「それを認めるか」
「認めよう。しかしだ」
「しかし。何だ」
「その力は何だ」
 神が問うのはそのことだった。
「最高位の六枚の翼を持つ黄金の天使以上の力か」
「そうだな。それは」
「それはか」
「おそらく。俺は九つの階級を超えた」
 天使の全ての階級をだ。超えたというのだ。
「さらに上の位に至ったようだ」
「その位にか」
「その力だ」
 こう神に対して告げる。
「それで貴様を倒すことができた」
「そうか。それにか」
「そういうことだ。それではだ」
「わかっている。このままだ」
 神はだ。今は潔かった。
 二つの炎に囲まれながらだ。神は告げる。
「消えよう。ではな」
「これで四つの元素は全て倒した」
 地水火風の全てをだというのだ。
「残りは三柱か」
「さてな。それはどうか」
「どういうことだ、一体」
「確かに混沌の中心には三柱の神々がいる」
 クトゥルフとしてだ。こう語るのだった。
「しかしだ。その前にだ」
「まだいるというのか」
「それは言わぬ。そこまで言う程私は愚かではない」
 髑髏天使に対しての言葉だった。
「だが。三柱に辿り着く前にだ」
「まだ神がいるのか」
「それは自分で確かめることだ。それではだ」
「完全に滅びるか」
「そうなる。ではだ」
 最後にこう言ってだ。神は消えたのだった。
 神の滅びと共に世界は元に戻った。元のあの世界だった。
 そこに戻るとだ。魔神達も人の姿になっていた。無論髑髏天使達もだ。
 その彼等の前にだ。男が出て来た。そしてだ。
 牧村を見てだ。こう告げたのだった。
「まさかクトゥルフまで倒すとはな」
「思わなかったか」
「予想外だ」
 こう告げるのである。
「まさにな。だが」
「だが、か」
「そうだ。しかも新たな力を手に入れたか」
「この力が何かはまだわからないが」
「そうか。だが今の貴様ならばだ」
「どうだというのだ。今の俺だと」
「我々とも対せられるか」
 それがだ。可能ではというのだ。
「しかしその前にだ」
「もう一柱神がいるな」
「如何にも。私の忠実な腹心」
 その存在だとだ。男は話すのだった。
「それを差し向けるとしよう」
「そうか。まずはか」
「その神と相手をしてもらおう」
「勿体ぶっているのではないな」
 牧村が男に対して言う。
「そうではないな」
「何なら私が相手でもいい」
 それでもいいとさえ言う髪だった。
「しかしだ。それよりもだ」
「その神が戦いたいというのだな」
「そういうことだ。そしてだ」 
 さらに言う神だった。 
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