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スーパー戦隊総決戦

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第十六話 最後の戦士その二

「しかしまずはそこに行ってもらう」
「あっ、それいいじゃない」
「そうよね。破格の条件よ」
 フラビージョとウェンディーヌは彼の言葉をここまで聞いて顔を見合わせた。
「神戸まで連れて行ってくれるんだから」
「凄くいい話じゃない」
「そうだよな、言われてみればな」
「電車やバスを使わなくてもいい」
 番と宝児も確かな顔で頷いている。
「やっぱりかなりいい話だよな」
「確実に神戸まで辿り着けるからな」
「どうかしたのか?」
 だがパルジファルはそうした事情を知らない。彼等のそんな話を聞いても気付いてはいない。しかしあることには気付いていたのである。
「それはそうと諸君等は何故この地にいるのだ」
「それですか」
「そうだ。それは何故だ」
 介さんに対して問うた。
「何故この地にいる。それは何故だ」
「ええと、まあ何ていいますか」
「それはその」
「ちょっとした事情がありまして」
 戦隊の面々も敵達もそれぞれ言ってだ。また話す。
「俺達和歌山にいまして」
「我等は三重に」
「それぞれ来ちゃいまして」
「そして今はここに」
「どういった事情なのか」
 パルジファルはいぶかしむ顔になっていた。
「それがわからないが。しかしだ」
「ええ、それで何処に」
「何処に連れて行ってくれるんですか?」
「湖のある場所だ」
 そこだというのだ。
「そこに来てもらう」
「湖って何処にでもあるよな」
「そうよね」
「それこそ何処にも」
 皆それぞれ話す。確かに湖と一口に言っても多い。何処の湖かというとそこだとはあまり断定できなかった。だがパルジファルはここでまた言ったのだ。
「この国で最も大きな湖だ」
「ああ、琵琶湖」
「そこね」
「そこか」
 皆今のパルジファルの言葉でわかった。
「琵琶湖か」
「そこでなんだ」
「そこに連れて行ってくれるんですか」
「そこに来てもらう」
 また言うパルジファルだった。
「今からだ。それでいいな」
「それは我等もですか」
 アクマロがここでパルジファルに問うた。
「我等もその琵琶湖に」
「そうだ」
 その通りだというのである。
「今から来てもらう」
「何か言った側から」
「滋賀かあ」
「本当に鮒寿司食えるかな」
「鯉は食べられるんじゃ?」
「じゃあ期待していいか」
 ここでも話は食べ物だった。
「今から行って、っていうか連れて行ってもらって」
「それで鯉食べて」
「他には琵琶湖遊覧して?」
「結構楽しめるよな」
 こんなことを言っていた。そしてパルジファルはだ。
「では行こう」
 一人だけ真面目である。
「いいな、今からだ」
「我等まで案内してくれるとは」
 アクマロはその彼に対して恭しく述べた。
「有り難いことです」
「諸君等も聖杯を手に入れたいのならばだ」
 パルジファルはそのアクマロ達にも応えた。
「私にそれに相応しいものを見せることだ」
「ただ欲しいと言って手に入れられるものではないか」
「そうだ」
 今度は十蔵に対して答えたのである。
 
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