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真剣に紅狼に恋しなさい・・・・?

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揉め事処理屋

~???side~


ガタ・・・ガシャンッ!!


「オラァ! 金払えや!! 松永の旦那!!」
「ちょっと、今月は払ったじゃないですか!?」
「うるせぇ!! さっさと払え!!」


お父は「奥に隠れてなさい」と言ったけど、このままじゃお父が危ない!
だから、私は表に出た。


「お父から、離れなさい!!」
「んだぁ? このガキは?」
「燕!? 奥にいなさいと言っただろう!!?」
「あぁ~、アンタの娘さんか。ちょうどいいや、金が払えないなら娘さんを貰って行くよ」
「む、娘には手を出さないでくれ!! 頼む!!」
「なら、金を払え。今すぐ200万払いな」
「もう少し、もう少しだけ待ってくれ!!」
「期限は今日だ。じゃあ、貰っていくぞ」


私よりも大きい男が迫って来た。
こんな男、私の腕ならすぐに倒せるけど…………、倒したら向こう側に居るお父がどんな目に遭うか分からないから、手を出すことが出来なかった。
そして、男が私の前に来て腕を乱暴に掴もうとした時に、知らない男の声がした。


「あ~、はいはい。その男待ってくれる?」


そこに居たのは、黒いコートを着て黒い手袋を付け、両腰に黒白の長銃を携えていた。
~燕side out~


~真紅狼side~
俺は今、京都に来ている。
依頼で揉め事を処理に行く所だ。


「依頼主は“松永 久信”。松永納豆を売ってる店主」
「………みたいですね。あ、着きましたよ、真紅狼さん」


今声を掛けた少女は『柔沢 紅香』という。
一応俺の弟子という形になっている。
俺はタクシーを降りて、依頼人が待っている場所に辿り着いた時には、もうすでに極道の連中が大勢でやってきていた。
取り敢えず場の空気も読まずに突入し、声を出した。


「あ~、はいはい。その男待ってくれる?」
「………アンタ、何者だ?」
「………揉め事処理屋」
『!!』


依頼人と極道の連中は驚いた表情をし、少女は首を傾げていた。


「すみません、松永 久信さん。パパッと終わらすんでちょっと待っていてください」
「あ、ああ」
「で、その揉め事処理屋さんが私達になんの様ですか?」
「いやね? おたくらはさっきまで松永さんから借金を取り立てていたみたいだけどさ、借金はもう支払い済みなのに超過払いはいかんでしょ?」
「な、何を言っているのやら………」
「知らないフリはダメだぜ、『竜極会』の若頭 榊原さん? アンタが中心にとりたてた金額は本来の借金の額は一千万。だが、そこからさらに千五百万取り立ててるよな? ということで、千五百万返して貰おうか」
「『はい、そうですか』って言うわけねぇだろ! クソ野郎!! 表出ろや!!」


榊原は部下を連れて外に出た後、いきなり部下たちが襲ってきた。


「………いきなりかよ」
「はっ! 極道を舐めてんじゃねぇぞ、ガキが!!」


ドゴッ!
バキッ!
ブシューーーー!!


榊原はこの時分からなかった。
一体部下達に何が起こったのかが………。
十人近く居た部下たちは、四肢のどこかの骨が折れている。
酷い奴なんか、顎の骨が折れてそこから血を吐きだしてる者もいた。


「………さて、本家で話し合おうか?」
「………(コクコク!!」


あーらら、ビビっちゃって腰が抜けてるし。
極道ならこれぐらいでビビるなよ。


移動中・・・


俺達は竜極会の本家で組長の腹心の部下である人に案内された。


「今、オヤジを呼びますので少々お待ちを」
「ああ」


パタン・・・


紅香は隣で静かになっていた。


「怖いか?」
「……少しだけですが」
「俺と同じ舞台に立ちたいなら、これぐらいは堂々としてないと舐められるぞ」
「はい」


その時、戸が開き入ってきたのは白髪でオールバックの老人だった。


「………待たせて済まないな、儂が竜極会の組長『後藤 竜璽』だ」
「揉め事処理屋の蒼騎 真紅狼です。こちらは弟子の柔沢 紅香です」
「………ふむ。これから話し合いになる。おめぇらは下がってろ」
「何か御用があれば、お呼びください」
「おぅ。………さて、久しぶりだな、真紅狼よ」
「お久しぶりです、竜璽さん」
「………え、知り合いなんですか?」
「ああ、俺がそれなりに名声が広まった時に京都で依頼があったんだが、その時に助けたのが、竜璽さんでな。それ以降、ちょくちょく会ってたんだよ。確か、紅香が弟子入りする三か月前だったかな?」
「そうなんですか………」
「あの時は世話になったな。で、今回はウチの若頭がやっちまったみたいだな」
「竜璽さんはこのことは?」
「いや、知らん。信頼してアイツに任せたんだがな……」
「取り敢えず、取り立てた千五百万返してもらえます?」
「それが道理だからな。………おい! あのバカと金を持ってこい!!」


その後、榊原とアタッシュケース二つが持って来られた。


「オ、オヤジ………!!」
「オマエの処分は後だ。先に返しておくぞ、真紅狼」
「確認してもいいですか?」
「ああ、構わない」


俺はアタッシュケースの中身を確認し、千五百万入ってるのを確認した後、閉じた。


「確かに……受け取りました。で、そいつの処理なんですが、任せていいですか?」
「いいのか?」
「竜璽さんを信じてますんで………」
「度々すまねぇな。恩にきる」
「では、失礼します」
「おぅ。また来い。飯ぐらい奢ってやるよ」


俺達は竜極会を後にした。
その後、悲鳴が聞こえたが俺達は関係ないね。


依頼人が待つ松永納豆店に帰り、店主である松永 久信に取り立てられた金を返してやった。


「有難うございます、有難うございます!!」
「今回の依頼料ですが、最初は五百万でしたが遅れた分を差し引いて、三百万で結構です」
「あ、はい」
「もう予めアタッシュケースから引き抜いてありますので構いませんよ」
「そうですか………」


この人、株で失敗して借金が出来たのにまた株をやろうとしてやがる。
言っておくか………


「松永さん。貴方、株で失敗して借金が出来てしまい今まで苦労して来たんですよね? 貴方の奥さんや娘さんにも迷惑を掛けて来たんですから、その取り戻したお金で今まで迷惑を掛けた分のお返しでもしたらどうですか? それにその莫大な金があればお店の再建も出来るでしょう。そういうことをまず先にするべきじゃないんですか。では、失礼します」


俺は言いたいことをいい、店を出た。
中から、松永さんが娘さんに謝っていた。


『………燕、今まですまんかった』
『いいよ、お父。これから頑張ればいいんだから!』


俺達は三百万が入ったバックを担ぎながら、京都の道を歩いていた。
後ろで松永さんの娘さんが声を出した。


「……あの!!」
「まだ何か?」
「助けてくれて有難うございました! 最後にお名前伺ってもよろしいですか?」
「あまり俺には関わらない方が良いので、名前を教えることはちょっと………」
「それでも! 知りたいんです!!」
「………揉め事処理屋の蒼騎 真紅狼だ」
「私はその弟子の柔沢 紅香だ」
「私は『松永 燕』です! じゃ、さよなら」


なんというか、ソツが無い生き方をしそうだなぁ。
今度こそ、帰路に着いた時紅香が一言言ってきた。


「……真紅狼さんにしては優しい言葉でしたね」
「あのオッサン、また株をやりそうな目をしてたからな。それでまた呼び出されてもたまったもんじゃないだろう? 揉め事処理屋を“便利屋”と勘違いされても困るしな。あくまでも“揉め事”を処理するんだよ」


そうして、俺達は川神に帰っていった。
~真紅狼side out~


やれやれ、次の依頼は…………っと。 
 

 
後書き
あの柔沢 紅香を出しました。
まだ、彼女が大成する前の感じです。 
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