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遊戯王GX ~水と氷の交響曲~

作者:久本誠一
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ターン11 知略!水でなくなる鉄砲水!

 
前書き
もうタイトルが自分でもわけわからん。なお、万丈目の逃走は一日遅れる模様。 

 
~遊野清明の日記より、抜粋~
 〇月△日
 今日で、あの退学がかかった制裁デュエルから4日が経った。考えてみれば早いものだ。迷宮兄弟の二人は今どうしているんだろう?思ったより悪い人たちじゃなかったから、元気にしてるといいんだけど。そういえばあの制裁デュエルも、もとはといえば廃寮に忍び込んだことが原因なんだっけ。タイタンはまだインチキ闇のデュエルを続けてるんだろうか。なんとなーくあの人にはまた会いそうな予感がする。
 と、日記なんだから今日の事も書かなきゃだめか。今日は、イエロー対レッドで野球をした。途中までは十代無双だったけど、途中までいなかった三沢が入ってきてからガラリと流れが変わってボッコボコにやられてしまった。………悔しい。18対8とかバスケやってんじゃないんだからさ。
 そのあとは三沢の部屋に行って簡単なバイト、人の部屋にペンキ塗りたくるのって楽しいね。終わったらイエロー寮のごはんをご馳走になったけど、日ごろからあんな贅沢なもん食ってんだろうか。だとしたら思う所がないわけでもない。いやメザシ美味しいけど。
 そして、万丈目と三沢の退学及び進級を賭けたデュエル。ダメージこそ結構食らってたもののあの万丈目相手に………なんかこう、全部計算づくって感じのデュエル展開だった。夢想には勝ててなかったけど、やっぱり学年トップだけのことはある。そう言ったらなぜかユーノが憐みの混じったすごく微妙な顔でこっち見てたけど。
 さて、今日はもうこれぐらいで寝よう。なにしろ明日は、授業が終わったら三沢とデュエルする約束を取り付けたんだ。一体何属性のデッキを使ってくるんだろうか。ウォーター・ドラゴンは炎のメタカードだから残り5属性のどれかだろうけど、どんな手を見せてくれるのか楽しみだ。

『ふと読んでみて思った。あれ、これ最後の一文フラグなんじゃねえの?』





「いよっしゃあ、今日も授業終了っ!」

 さあ、ここからはデュエルの時間。ここ最近、偽物だったとはいえ闇のゲームに学園最強と言われるカイザーとのタッグデュエル、こっちの退学が懸かった迷宮兄弟戦………純粋に楽しいだけじゃない、ある程度の緊張が混じったデュエルばっかりやってたからね。もっとも、その緊張感があったからこそ楽しい、なんて思ってる自分がいることも否定できないけど。ただ今日みたいな、難しいことを考えずにできる………いや、別に普段も考えてないかな?まあとにかく、デュエルはやっぱり楽しみだ。

「おお清明、今日はお前と三沢のデュエルだったな!早く見たいぜ!!」

 全く十代は…………これ、僕のデュエルなんだよ?って言ってやろうかとも思ったけど、まあデュエルならなんでもいいコイツにとってはそれこそ馬の耳になんとやらだろう。

「慌てなさんな十代、まずはイエロー寮まで行くよっ!」
「え、なんで僕らがイエローまで行くんスか?」
「なんだ翔、お前聞いてなかったのか?」

 意外そうに聞く翔と、それに説明する十代。まあ理由といっても、昨日三沢の部屋に塗ったペンキが乾いただろうからってんで荷物を中に入れなおすのを手伝うだけなんだけど。ついでにまたご飯奢ってもらえればなおよし。

『というか、十代はちゃんと聞いてたんだな。授業態度はアレなのに』
「いや、アレって………確かにほぼ毎時間寝てるけどさ」
『毎回起こそうとするお前も、こう、何というかお人よしだよなぁ』
「だって、ほっとくわけにもいかないでしょーが」

 いくらなんでも隣の席で寝てばっかいられたらこっちも困るし。ねえ?

「………ってわけだ。わかったならさっさと行こうぜ、翔!清明!ユーノ!」

 あ、終わったらしい。なら、返事はただ一つ。

「りょーかい!」
「アニキ、ちょっと待ってよ~」
『うし、行くか』





「お、来てくれたか。なら悪いけど、このタンスのそっち側を持ってくれないか?」
「よし三沢、任せろ!」

 そう言うが早いがわっせわっせと一人で荷物を部屋の中に運び入れる十代。さすがの三沢もこの働きっぷりは予想外だったのか、驚き半分呆れ半分といった感じでその様子を見ている。だから、なんで十代がこんなに熱くなってるんだろう。

『とかなんとか言いながらちゃぶ台を一人で持って平気な顔して動き回る清明であった』
「るっさい」





「さてと、三沢。準備はいい?」
「ああ、いつでもいいぞ。それじゃあ………」

「「デュエル!!」」
「先攻は………お、また僕か。なら僕は、グリズリーマザーを守備表示で召喚!」

 全身真っ青な毛に包まれた熊が、片膝をついて腕を組み、防御の構えをとる。

 グリズリーマザー
効果モンスター
星4/水属性/獣戦士族/攻1400/守1000
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、
デッキから攻撃力1500以下の水属性モンスター1体を
表側攻撃表示で特殊召喚できる。

「ほう、リクルーターか」
『守備表示でマザーか………ま、慎重にやるのは悪いことじゃないしな』
「カードを一枚セットして、ターンエンド」
「ならば俺のターン、ドロー!………そういえば、まだ俺が何属性のデッキを使うかは教えてなかったな」
「え?ああ、そうだね」
「ならば今、このカードで教えよう。来い、ハイドロゲドン!」
「んなっ!?ハ、ハイドロゲドン!?」
『あ、やっぱフラグだった』

 フラグ?何のことだろう。でも、ハイドロゲドンがいるってことはあのデッキは水のデッキ………ということは、エースモンスターはやっぱり昨日も見たウォーター・ドラゴンのはずだ。でもどうしてだろう、僕がいつもの【ポロロッカ】を使うことなんて誰でも予想できるだろうに……それとも、まだ何か考えがあるんだろうか。だとしたら、一体どんな?

 ハイドロゲドン
効果モンスター
星4/水属性/恐竜族/攻1600/守1000
このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、
自分のデッキから「ハイドロゲドン」1体を特殊召喚する事ができる。

「……………いや」
『ん、どした?』
「どうせ考えたってわかんないんだ!だったら迷うだけ馬鹿らしい、何が来ようと全力で行くまでさ!」
『はは、違いねえや。よし、俺は何も言わんようにするから全力でやって来い!』
「なら行くぞ!ハイドロゲドンでグリズリーマザーを攻撃、ハイドロ・ブレス!」

 ハイドロゲドンが口から吐き出した泥水が、グリズリーマザーを吹き飛ばす。

 ハイドロゲドン 攻1600→グリズリーマザー 守1000(破壊)

「グリズリーマザー、効果発動!僕は、二体目のグリズ………」

 そこまで言いかけて、はっとハイドロゲドンの特殊効果を思い出した。危ない危ない、ここで二体目を出してたら後続のハイドロゲドンにやられるところだった。なら攻撃表示だからダメージは痛いけど、これも必要経費!

「………いや、氷弾使いレイスを特殊召喚!」

 どこからともなくひらりと飛んでフィールドに立つ、相変わらず人間にしか見えないけど海竜族な僕のデッキにとって頼れる壁役のうち一人。今回も頼りにしてるよ、毎度毎度悪いけど。

 氷弾使いレイス
チューナー(効果モンスター)
星2/水属性/海竜族/攻 800/守 800
このカードはレベル4以上のモンスターとの戦闘では破壊されない。

「ふ、やはりレイスを出してきたか。清明、もし俺がこの展開を予想していたとしたらどうする?」
「え………?そんな、僕がレイスを出すことを読んでたって?」
『いや、別におかしな話じゃねえぞ。俺らのデッキの中では、この状況ではレイスを出すのが最善手…………逆に言えば、出すモンスターはほぼ100パーセントでレイスになる。読むことだってできない話じゃない』

 な、なるほど。でも、この展開が読めていたとしても、レベル4のハイドロゲドンじゃあ突破はできないはず。少なくともこのターンは耐え切れる!

「まずハイドロゲドンの効果で、デッキから二体目のハイドロゲドンを特殊召喚する。そしてこのハイドロゲドンで、氷弾使いレイスを攻撃!ハイドロ・ブレス!」
「残念、氷弾使いレイスはレベル4以上のモンスターとの戦闘では破壊されないよ」
「そんなことはわかっているさ、速攻魔法スター・チェンジャーを発動!二つ目の効果により、このハイドロゲドンのレベルを3にする!」
「そんな………!」

 スター・チェンジャー
速攻魔法
フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、
以下の効果から1つを選択して発動できる。
●そのモンスターのレベルを1つ上げる。
●そのモンスターのレベルを1つ下げる。

 ハイドロゲドン ☆4→3
 ハイドロゲドン 攻1600→氷弾使いレイス 攻800(破壊)
 清明 LP4000→3200

「く………!」
「そしてレイスを戦闘破壊したことで、このハイドロゲドンも効果発動する。三体目のハイドロゲドンでダイレクトアタックだ!ハイドロ・ブレス!」

 ハイドロゲドン 攻1600→清明(直接攻撃)
 清明 LP3200→1600

「俺はカードを3枚伏せて、ターンエンドだ」

 清明 LP1600 手札:4 モンスター:0 魔法・罠:1(伏せ)
 三沢 LP4000 手札:1 モンスター:ハイドロゲドン×3 魔法・罠:3(伏せ)

「僕のターン、ドロー!」

 三沢の場にいるのは、もう後続を呼ぶことのできないハイドロゲドンが三体。そして、全員攻撃力は1600…………何とかなりそうではあるんだけど、そうすると気になるのがあの伏せ2枚。ええい、気にしてたって仕方ない!って言いたいところなんだけど、あいにく今は守るしかないか。

「僕は、モンスターを一体セット。さらに永続魔法、強者の苦痛を発動してターンエンド」

 強者の苦痛
永続魔法
相手フィールド上のモンスターの攻撃力は、
そのモンスターのレベル×100ポイントダウンする。

 ハイドロゲドン×2 攻1600→1200
 ハイドロゲドン 攻1600→1300

「ふむ………ということは、多分こいつらではあのセットモンスターを突破できないな。ならば俺は、オキシゲドンを召喚!」

 オキシゲドン
効果モンスター
星4/風属性/恐竜族/攻1800/守 800
このカードが炎族モンスターとの戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、
お互いのライフに800ポイントダメージを与える。

 オキシゲドン 攻1800→1400

「そして魔法カード、ボンディング-H2Oを発動!自分の場にいる水素と酸素を化学反応させ、水の生成を行う!来い、ウォーター・ドラゴン!!」
「出た、三沢の水デッキの切り札………」

 でも、一体何を考えているんだろう?僕のデッキに炎系のモンスターはいないから、実質バニラ同様のウォーター・ドラゴンを見上げながら、必死に考える。

 ウォーター・ドラゴン
効果モンスター
星8/水属性/海竜族/攻2800/守2600
このカードは通常召喚できない。
「ボンディング-H2O」の効果でのみ特殊召喚する事ができる。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
炎属性と炎族モンスターの攻撃力は0になる。
このカードが破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地に存在する
「ハイドロゲドン」2体と「オキシゲドン」1体を特殊召喚する事ができる。

 ウォーター・ドラゴン 攻2800→2000

「ウォーター・ドラゴンで、セットモンスターを攻撃!アクア・パニッシャー!」
「へへ、油断したね三沢!リバースモンスター、ペンギン・ナイトメアの効果発動!対象はもちろんウォーター・ドラゴン!!」

 ウォーター・ドラゴン 攻2000→???(破壊)

 ペンギン・ナイトメア
効果モンスター
星4/水属性/水族/攻 900/守1800
このカードがリバースした時、
相手フィールド上のカード1枚を選択して持ち主の手札に戻す。
また、このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
自分フィールド上の水属性モンスターの攻撃力は200ポイントアップする。

『これが通ればだいぶ有利にはなる………が』
「やはりそのカードか、だがそれも計算のうちだ!カウンタートラップ、リ・バウンドを発動して、ペンギンの効果を無効にする!」
『まあ、通しちゃくんねえだろうな』

 リ・バウンド
カウンター罠
フィールド上のカードを手札に戻す効果を相手が発動した時に発動できる。
その効果を無効にし、相手の手札・フィールド上からカードを1枚選んで墓地へ送る。
また、セットされたこのカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、
デッキからカードを1枚ドローする。

「さてと、それじゃあリ・バウンドの二つ目の効果だ。そのセットカードを墓地に送ってもらう」
「メタル化・魔法反射装甲まで………」
「そして、残ったレベル3のハイドロゲドンでダイレクトアタックだ。ハイドロ・ブレス!」

 ハイドロゲドン 攻1300→清明(直接攻撃) 
 清明 LP1600→300

「俺は、これでターンエンドだ」

 清明 LP300 手札:3 モンスター:0 魔法・罠:強者の苦痛、0
 三沢 LP4000 手札:1 モンスター:ウォーター・ドラゴン(攻)、ハイドロゲドン(攻) 魔法・罠:2(伏せ)

 うわ、完全に動きが読まれてる。これはかなりマズイな、こっちのライフがなくなる前に早く勝負を決めないと。

「ドロー、ブリザード・ドラゴンを攻撃表示で召喚!そして効果発動、パーフェクトフリーズッ!ウォーター・ドラゴンを氷漬けにしてやれ!」

 ブリザード・ドラゴン
効果モンスター
星4/水属性/ドラゴン族/攻1800/守1000
相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターは次の相手のエンドフェイズ時まで
攻撃宣言をする事ができず、表示形式を変更する事もできない。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 青いドラゴンが口から猛吹雪を吐き出すと、見る見るうちにウォーター・ドラゴンが氷に包まれていく。

「それからブリザード・ドラゴンで、ハイドロゲドンを攻撃!」

 ブリザード・ドラゴン 攻1800→ハイドロゲドン 攻1300(破壊)
 三沢 LP4000→3500

「よし、初ダメージだ!さらにカードを2枚セットして、ターンエンド」
「俺のターン、ドロー………特にすることもないか。カードを一枚セットして、カードカー・Dを召喚して効果を発動する。強制エンドフェイズでターンエンドだ」

 カードカー・D
効果モンスター
星2/地属性/機械族/攻 800/守 400
このカードは特殊召喚できない。
このカードが召喚に成功した自分のメインフェイズ1に
このカードをリリースして発動できる。
デッキからカードを2枚ドローし、このターンのエンドフェイズになる。
この効果を発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない。

 清明 LP300 手札:1 モンスター:ブリザード・ドラゴン(攻) 魔法・罠:強者の苦痛、2(伏せ)
 三沢 LP3500 手札:2 モンスター:ウォーター・ドラゴン(攻) 魔法・罠:3(伏せ)

 そして三沢のターンが終わると同時にウォーター・ドラゴンが氷を弾き飛ばして復活する………けど。

「僕のターン、ブリザード・ドラゴンの効果をまた発動!パーフェクトフリーズ!」

 結局また吹雪に包まれ、あっという間に氷漬けになるウォーター・ドラゴン。ふ、不憫だ。やってんの僕なんだけど。

「それから、ドリル・バーニカルを召喚、そしてこのモンスターは自分の効果でダイレクトアタックができる!ドイルミサイル、発射!」

 ドリル・バーニカル
効果モンスター
星3/水属性/水族/攻 300/守 0
このカードは相手プレイヤーに直接攻撃する事ができる。
このカードが直接攻撃によって相手ライフに戦闘ダメージを与える度に、
このカードの攻撃力は1000ポイントアップする。

 ドリル・バーニカル 攻300→三沢(直接攻撃)
 三沢 LP3500→3200
 ドリル・バーニカル 攻300→1300

「僕はこれで、ターンエンド」
「ならば俺のターン!まず俺は、黄泉ガエルを召喚。そして大嵐を発動する!」
「このタイミングで大嵐!?」

 黄泉ガエル
効果モンスター
星1/水属性/水族/攻 100/守 100
自分のスタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在し、
自分フィールド上に魔法・罠カードが存在しない場合、
このカードを自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。
この効果は自分フィールド上に「黄泉ガエル」が
表側表示で存在する場合は発動できない。

 大嵐………お互いの魔法・罠を問答無用で全破壊するわかりやすくてかつ強力な効果を持ったカード。でも、今は三沢だって伏せカードを三枚も伏せている。巻き込まれる自分のカードだって相当な量になるのに。ということは、あの黄泉ガエルには何か裏がある………?

『それくらい一発で気づけバカ。むしろなんで裏がないなんて思えるんだよ』
「うぅ………」
「そして俺は、この大嵐にチェーンして三枚のトラップを発動する。DNA改造手術、暴君の威圧、そして………宮廷のしきたりだ!」

 DNA改造手術
永続罠
種族を1つ宣言して発動する。
このカードがフィールド上に存在する限り、
フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターは宣言した種族になる。

 暴君の威圧
永続罠
自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースして発動する。
このカードがフィールド上に存在する限り、
フィールド上に表側表示で存在する元々の持ち主が自分となるモンスターは、
このカード以外の罠カードの効果を受けない。

 宮廷のしきたり
永続罠
このカードがフィールド上に存在する限り、
お互いのプレイヤーは「宮廷のしきたり」以外の
フィールド上に表側表示で存在する永続罠カードを破壊できない。
「宮廷のしきたり」は自分フィールド上に1枚しか表側表示で存在できない。

「まずDNA改造手術の効果で炎族を選択し、これでウォーター・ドラゴンの効果によりすべてのモンスターの攻撃力が0になる。だが黄泉ガエルをリリースして発動された暴君の威圧の効果で、俺のモンスターは炎族にならない。そして大嵐の効果で互いの魔法・罠が全破壊されるが、宮廷のしきたりの効果でこのカードが身代わりになる」
「う、うわぁ……って、ぼけっとしてる場合じゃないか!」

 ブリザード・ドラゴン 攻1800→0
 ドリル・バーニカル 攻1300→0
 ウォーター・ドラゴン 攻2000→2800

「生憎と、攻めの一手がないな。カードを一枚セットしてターンエンド」
『首の皮一枚残して繋がった、ってか?ギリギリ助かったな』

 清明 LP300 手札:1 モンスター:ブリザード・ドラゴン(攻)、ドリル・バーニカル(攻) 魔法・罠:0
 三沢 LP3200 手札:0 モンスター:ウォーター・ドラゴン(攻) 魔法・罠:DNA改造手術、暴君の威圧、1(伏せ)

「僕のターン、ドロー!」

 今のところ三沢の引きが絶妙に悪い(らしい)せいでぎりぎりライフは残ってる。残ってはいるけど、もう息も絶え絶えだ。おまけにウォーター・ドラゴンの特殊効果さえ強引に発動された。

「ブリザード・ドラゴンの効果で………」
「待った、その前にこのカードを発動しよう。速攻魔法、禁じられた聖杯!ブリザード・ドラゴンの攻撃力を400ポイントアップさせる代わりに、効果を無効にする!」

 吹雪を吐き出そうとしたブリザード・ドラゴンに、頭上にいきなり現れたコップの水が降りかかってしまう。その水が目に入ったのか、いったん吹雪をストップして前足で目をこすり始める。マズイ、止められた!

「なら、モンスター二体を守備表示に!さらにモンスターを…………セットで召喚、ターンエンド!」
「俺のターン。コアキメイル・アイスを召喚して、ドリル・バーニカルを攻撃!」

 コアキメイル・アイス
効果モンスター
星4/水属性/水族/攻1900/守1200
このカードのコントローラーは自分のエンドフェイズ毎に、
手札から「コアキメイルの鋼核」1枚を墓地へ送るか、
手札の永続魔法カード1枚を相手に見せる。
または、どちらも行わずにこのカードを破壊する。
また、自分のメインフェイズ時に手札を1枚墓地へ送って発動できる。
フィールド上の特殊召喚されたモンスター1体を選択して破壊する。

 コアキメイル・アイス 攻1900→ドリル・バーニカル 守0(破壊)

「追撃だ!ウォーター・ドラゴンで、ブリザード・ドラゴンを攻撃!アクア・パニッシャー!」

 ウォーター・ドラゴン 攻2800→ブリザード・ドラゴン 守1000(破壊)

「あと一回攻撃が通ればいいんだがな………。まあいい、ターンエンドだ。そしてこの時、コアキメイル・アイスのデメリット効果によりこのカードは自壊する」

 清明 LP300 手札:1 モンスター:??? 魔法・罠:0
 三沢 LP3200 手札:0 モンスター:ウォーター・ドラゴン(攻) 魔法・罠:DNA改造手術、暴君の威圧

「僕のターン、ドロー!!」

 場の状況から見れば、多分これがラストドローだろう。そして実は、もう勝ち筋は見えてきている。ただあと一枚、あのカードさえ来てくれれば………。

「頼むから来てくれ………よし!!三沢、こっからが僕の逆転劇だ!まず、夜叉を通常召喚!!」
「なに、夜叉だと!?」

 夜叉
スピリットモンスター
星4/水属性/天使族/攻1900/守1500
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
このカードが召喚・リバースした時、相手フィールド上に存在する
魔法・罠カード1枚を選択して持ち主の手札に戻すことができる。

「その様子だと、効果は知ってるみたいだね!夜叉の効果で、DNA改造手術をバウンスするよ!」
「くっ、やられたか」
「さらに、セットモンスターを反転召喚………このモンスターは、ニードル・ギルマンさ」

 ニードル・ギルマン
効果モンスター
星3/水属性/海竜族/攻1300/守 0
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
自分フィールド上の魚族・海竜族・水族モンスターの
攻撃力は400ポイントアップする。

 ニードル・ギルマン 攻1300→1700

「だが、そのモンスターではウォーター・ドラゴンを突破できないぞ?」
「もちろんわかってるさ。だから僕は、魔法の呪文を唱えるのさ」
『あいつまさか、魔法の呪文ってアレの事か?アレ出そうとしてんのか?』
「魔法の呪文、ボチミズゴタイ!墓地にグリズリーマザー、氷弾使いレイス、ペンギン・ナイトメア、ブリザード・ドラゴン、ドリル・バーニカルが存在することで、氷霊神ムーラングレイスを特殊召喚!!」
『あ、やっぱり。ボチヤミサンタイと同じノリで出てくる奴だ』

 氷霊神ムーラングレイス
効果モンスター
星8/水属性/海竜族/攻2800/守2200
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地の水属性モンスターが5体の場合のみ特殊召喚できる。
このカードが特殊召喚に成功した時、
相手の手札をランダムに2枚選んで捨てる。
「氷霊神ムーラングレイス」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。
このカードがフィールド上から離れた場合、
次の自分のターンのバトルフェイズをスキップする。

 氷霊神ムーラングレイス 攻2800→3200

「なに、俺のコンボを崩しただと!?」
「知らなくっても無理はないさ、なにしろこのムーラングレイスは、まだ三沢には見せてないカードだからね」

 覚えてる人はいるだろうか、僕が万丈目と戦った日、新パックの中でたった一つだけ買占めから逃れたものがあったことを。その中に入っていた進化する翼とハネクリボーLV10こそ十代が貰っていったものの、このムーラングレイスは僕のものになった。

「つまりは、そういうことさ」
「なるほど………俺もまだまだ、勉強不足だったってことか。この点には反省しないとな」
「いくよ!ムーラングレイスで、ウォーター・ドラゴンを攻撃!ムーンライトレーザー!」

 ムーラングレイスの額の角から発射された青いビームが、ウォーター・ドラゴンを打ち抜く。やった、これで残りのモンスターたちで直接攻撃すれば………!!

 氷霊神ムーラングレイス 攻3200→ウォーター・ドラゴン 攻2800(破壊)
 三沢 LP3200→2800

「清明、確かに君は強い。だが、今はまだ俺の方が一枚上手だ!ウォーター・ドラゴンの、もう一つの特殊効果!このカードが破壊された時、墓地のハイドロゲドン2体とオキシゲドン1体を特殊召喚する!」
「えっ………?」
『えっ、じゃねえよ…………いつからウォーター・ドラゴンの効果が一つだと勘違いしてたんだお前は。しかし、少しはタクティクスも上がってきたのかと思った瞬間にこんなボケかますんだもんなーお前は』
「う、うるさい!夜叉、オキシゲドンに攻撃!ニードル・ギルマン、ハイドロゲドンに攻撃!」
 
 夜叉 攻1900→オキシゲドン 守800(破壊)
 ニードル・ギルマン 攻1700→ハイドロゲドン 守1000(破壊)

「スピリットモンスターの夜叉は、ターンエンド時に手札に帰る……僕はこれで、ターンエンド」
「俺のターン、ドロー!!………貪欲な壺、この効果で墓地のハイドロゲドンとオキシゲドン、カードカー・Dにコアキメイル・アイス、そしてウォーター・ドラゴンをデッキに戻す。これで終わりだ清明、アビス・ソルジャーを召喚!」

 アビス・ソルジャー
効果モンスター
星4/水属性/水族/攻1800/守1300
1ターンに1度、手札から水属性モンスター1体を墓地へ捨て、
フィールド上のカード1枚を選択して発動できる。
選択したカードを持ち主の手札に戻す。

「ニードル・ギルマンの攻撃力を超えるアタッカーが………」
「アビス・ソルジャーの効果で手札のグリズリーマザーを捨ててムーラングレイスを手札に。そしてニードル・ギルマンを攻撃!」

 アビス・ソルジャー 攻1800→ニードル・ギルマン 攻1700(破壊)
 清明 LP300→200

「ハイドロゲドンでダイレクトアタック!ハイドロ・ブレス!!」
「うわあああっっ!!」

 ハイドロゲドン 攻1600→清明(直接攻撃)
 清明 LP200→0





「いやー、負けちゃったか」
「だが、いいデュエルだったと俺は思うぞ。ほら、一人で立てるか?」

 そう声をかけながら、へたり込んでる僕に手を差し出す三沢。素直にその手を掴んで立ち上がる。

「センキュ、三沢」
「この程度のこと、気にするな。それじゃあ皆、今日も手伝ってくれたお礼にメシぐらい奢ってやるよ」
「おお、ホントか三沢!やったな、翔!」
「やったッスね、アニキ!」

 そう言って、何とはなしにみんなで笑いあう。負けちゃったのは悔しいけど、まだまだ僕だって若いんだからこれから強くなれる、はず。とりあえず今は、ただ飯を美味しくいただくとしよう。 
 

 
後書き
次のパックだけど、シャークラーケンと激流蘇生にはマジ感謝。シャークの方のフォートレスも頑張って出したい。
 
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