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遊戯王GX ~水と氷の交響曲~

作者:久本誠一
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ターン10 激突!襲い来る門番の魔手!

 
前書き
今回からちょっぴり書き方が変わります。ご了承ください。 

 
 昨日寝て朝起きたら日付が一つ進んでました。

『………何を言っとるんだお前は』
「いやほらだってアレじゃん、個人的にはもう昨日の時点で今日という日が来なくても別に文句なかったんだよ?やだよ退学とか」
『もう負け試合前提かい。いーから起きた起きた、さっさと着替えてメシ食って来い』

 ぶつくさ言いながら体を起こし、布団をはねのけてベッドから降りる。とはいえ、別に僕だって本気で言ってるわけじゃない。一つの冗談、軽口のようなもの。…………半分はね!まあそれはそれとして今は、メザシと白米と味噌汁とたくあんでも食べに行こう。



「お、起きてきたか」
「おはようッス、清明君」
「おはようなんだな、清明」
「うん、おはよー」

 もう食事中だったいつもの三人に軽く挨拶して席に着くと、後ろから声をかけられた。

「おはようなんだニャ、清明君。今日は先生も見に行くから、頑張って欲しいのニャ」
「びっくりさせないでくださいよ先生………でも、頑張りますよ。そういや先生、今日の相手って一体誰なんですか?」
「申し訳ないですが、それはまだ教えるわけにはいけないのニャ。クロノス先生から釘を刺されているのニャ」

 む、またクロノス先生か…………あの人ホントにレッド嫌いだなあ。まあ、どんなところにも一人くらいは合わない人っているもんだよね。



「よし、それじゃあ行こうか。大丈夫?緊張してない?だってさ」
「うん、こっちはへーき。でもさ」
「どうかしたの?だって」

 所変わってデュエルちょっと前の控え室。ついさっきまで応援にいろんな知り合いが来てくれてたけど、今は僕ら以外誰もいない。もう出番まで10分もないからのんびり駄弁ってる暇はないんだけど、どうしても先に一言だけ、彼女には言っておきたいことがあった。

「………今更だけどさ。ごめん夢想、わざわざこんなことに付きあわせて」
 
 今更この話題を持ち出したところで意味がないのはわかってる。第一お礼だったら昨日のうちに何回も繰り返したし。でも、しつこいって思われてるかもしれないけど、こっちのけじめとしてもう一回だけ言っておきたかったんだよね。空気読んで部屋の外で待機してるユーノには感謝してます。

「ううん、大丈夫だよ。全然気にしないで、だってさ」

 ちょっと笑いながらこっちを振り向き、安心させるように返事を返す夢想の姿は、なんだか僕には眩しく感じられて。

「う、うん………」

 まともに目を合わすこともできずに赤くなった顔を伏せて、ちょっぴり気弱な返事を返すことしかできなかった。情けないよね、自分から話振っといて。

「あ、そろそろ時間だ。行こ?だって」
「そう、だね…………ありがとう」

 こんな所でも気を遣わせちゃったんだろうか。でもおかげで、いいタイミングで気持ちを切り替えることができた。今回のデュエルは人生懸かってるんだ、メンタルが弱くっちゃ話にならない。だから今は、これでいい………んだろう、多分。



「それでは、準備はよろしいのーネ?」
「僕はいつでも!」
「私もいいよ、だってさ」
「ドロップアウトボーイ、あなたには聞いてないのーネ!」
「………あ、さいですか」
「私もいいぞ」
「こちらもだ」

 最後の二つは僕らの対戦相手、迷宮兄弟のもの。あのデュエルキング武藤遊戯と、その最高の友たる凄腕ギャンブルデュエリスト城乃内克也のコンビを苦戦させたというその実力………まあ並みのものではないんだろう。でなきゃわざわざ呼び出すとは思えない。そんなことを考えながら悶々としていると、あちらの方から挨拶をしてきた。

「遊野清明、といったか。本日はよろしく頼む」
「あ、はい」
「われわれとしてもお前個人に恨みはないがこれも仕事のうち、すまないが全力で行かせてもらう」
「………ええ、こちらこそよろしくお願いします」

 なんだろう、第一印象は絶対関わり合いになりたくない感じだったのに。なんか思ったよりいい人だった。手加減なんてできないし、できたとしてもする気はないけど。

「それでは、ルールを確認しますーノ。フィールド及び墓地は共有、ライフポイントは共同で4000。以上ですーノ!それでは、デュエル開始ナノーネ!」

「「「「デュエル!!!」」」」

 デュエルディスクのランダム機能が示した先攻は………僕だ!

「僕のターン、ドロー!」
『よし、このカードだ。何が来ても対応できるようにしとけよ』
「わかってるって!フィールド魔法、伝説の都 アトランティスを発動!さらに氷弾使いレイスを守備表示で召喚、カードを一枚伏せてターンエンド」

 氷弾使いレイス 守800→1000 攻800→1000 ☆2→1

 フィールドが水属性モンスターのレベルを1下げる、海底に沈んだ都に変わる。そしてそこにレベル4以上とのモンスター相手の戦闘では破壊されない安定の壁役、レイスが陣取る。更にセットカードもあるから守りはだいぶ固まったはずだけど………さあ、一体どんな手を使ってくるかな?

「私のターン、ドロー」

 次のターンプレイヤーは、迷の字がある兄の方らしい。正直頭の文字がなかったら全然見分け付かないけど、言ったら怒られそうだからやめとこう。

「相手の場にモンスターが存在して自分の場に存在しない時、バイス・ドラゴンは攻守を半分にして特殊召喚できる!」
『今だ、モンスター効果発動!』
「うん!バイス・ドラゴンの特殊召喚により、手札のドラゴン・アイスを捨ててそのまま墓地から特殊召喚!」

 バイス・ドラゴン 攻2000→1000 守2400→1200

 ドラゴン・アイス
効果モンスター
星5/水属性/ドラゴン族/攻1800/守2200
相手がモンスターの特殊召喚に成功した時、
自分の手札を1枚捨てる事で、このカードを手札または墓地から特殊召喚する。
「ドラゴン・アイス」はフィールド上に1枚しか表側表示で存在できない。

 ドラゴン・アイス 守2200→2400 攻1800→2000 ☆5→4

「くっ、さらに壁が増えたか………まあいい、バイス・ドラゴンをリリースしてアトランティスの効果でレベルが1下がった水魔神-スーガを召喚!」
「しまった、アトランティスのせいで!」

 水の文字が書かれた青い魔神が、激流の中から顔を覗かせる。

 水魔神-スーガ
効果モンスター
星7/水属性/水族/攻2500/守2400
このカードが相手のターンで攻撃された場合、
そのダメージ計算時に発動する事ができる。
その攻撃モンスター1体の攻撃力を0にする。
この効果はこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り1度しか使用できない。

 水魔神-スーガ 攻2500→2700 守2400→2600 ☆7→6

「そしてフィールド魔法、死皇帝の陵墓を発動!アトランティスを上書きする!」

 みるみるうちに海の水が干上がっていき、残った遺跡も地面から生えてきた巨大な陵墓に塗り替えられてしまう。毎回思うけど、フィールド魔法のソリッドビジョンって妙に気合入ってるよね。

 死皇帝の陵墓
フィールド魔法
お互いのプレイヤーは、アドバンス召喚に必要な
モンスターの数×1000ライフポイントを払う事で、
リリースなしでそのモンスターを通常召喚できる。

 氷弾使いレイス 守1000→800 攻1000→800 ☆1→2
 ドラゴン・アイス 守2400→2200 攻2000→1800 ☆4→5
 水魔神-スーガ 攻2700→2500 守2600→2400 ☆6→7

「そして魔法カード、二重召喚を発動………このカードで私はもう一回の通常召喚が可能となる。そして陵墓の効果により、2000のライフを払うことで陵墓のはにわを使い、手札の風魔神-ヒューガを召喚!」

 いきなりフィールドに竜巻が巻き起こり、その風の中から現れる風の字を持つ緑の魔神。これで………

『これで、二体目か』
「だ、大丈夫かな?」
『お前の相方を信じてやれ。こっちができることはこのセットカードぐらいしか特にないんだ』

 風魔神-ヒューガ
効果モンスター
星7/風属性/魔法使い族/攻2400/守2200
このカードが相手のターンで攻撃された場合、
そのダメージ計算時に発動する事ができる。
その攻撃モンスター1体の攻撃力を0にする。
この効果はこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り1度しか使用できない。

 迷宮兄弟 LP4000→2000
 風魔神-ヒューガ 攻2400

「そして、ヒューガでドラゴン・アイスを攻撃!魔風衝撃波!」

 風魔神-ヒューガ 攻2400→ドラゴン・アイス 守2200(破壊)

「くっ………!」
「他にすることはない。カードを一枚セットして、ターンエンドだ」

 清明&夢想 LP4000 手札:清明×2、夢想×5 モンスター:氷弾使いレイス(守) 魔法・罠:1(伏せ)
 迷宮兄弟 LP2000 手札:兄×0、弟×5 モンスター:水魔神-スーガ(攻)、風魔神-ヒューガ(攻) 魔法・罠:1(伏せ) 場:死皇帝の陵墓
 場:死皇帝の陵墓

「私のターン、ドローだね。氷弾使いレイスをリリースして、龍骨鬼をアドバンス召喚!」

 龍骨鬼 攻2400

「龍骨鬼で、風魔神-ヒューガを攻撃!」
「相打ち狙いだと!?だが無駄だ、ヒューガの効果発動!龍骨鬼の攻撃力を0にする、リフレクト・ストーム・バリケード!」
「………計画通り、だってさ」
「何!?」

 龍骨鬼 攻2400→0
 龍骨鬼 攻0(破壊)→風魔神-ヒューガ 攻2400
 清明&夢想 LP4000→1600

「教えてあげる、なんで私が死皇帝の陵墓の効果を使わずに龍骨鬼を出したのか。龍骨鬼の効果によって、戦闘を行った魔法使い族…………つまりヒューガを破壊するよ!」
「なんだと!?」
「そうか、アドバンスで龍骨鬼を出せばライフの差は400で済むけど陵墓の効果を使えば1400、その差を嫌ったから」
『はいはい説明お疲れさん』

龍骨鬼の投げつけた骨はヒューガの息によって弾かれ龍骨鬼に突き刺さってしまうが、その直後に口から火の玉を吐き出してヒューガを火だるまにする。2体のモンスターが倒れるのは、ほぼ同時だった。

「カードを三枚セットして、ターンエンドだってさ」
「私のターン、ドローだ!」

 次のターンプレイヤーは宮の字が書かれた弟の方。兄の方が一ターンで三魔神のうち2体を出してくるタクティクスの持ち主だから、多分こっちも同じくらい強いんだろう。

「魔法カード、死者蘇生を発動!対象はもちろん風魔神-ヒューガだ」
『まさか、このターン中に奴を出す気か!?まあ、原作考えりゃありえん話でもないか』

 再び巻き起こる竜巻から姿を見せる緑の魔神。また帰ってきちゃったか………。

 風魔神-ヒューガ 攻2400

「そしてメインフェイズ、手札からマツボックル一体を捨てることにより、コロボックリを特殊召喚する。さらにマツボックルがコロボックリの効果で捨てられたため、マツボックルも特殊召喚だ」

 コロボックリ 攻200
 マツボックル 攻400

『来るぞ!』
「そして私は、この二体をリリースすることで手札の雷魔神-サンガを召喚する!」

 どこからともなく数本の稲妻が飛んできて、その落下地点にそびえ立つ雷の名を持った魔神シリーズ最後の一体。まさかこんな早くに出してくるなんて!

 雷魔神-サンガ
効果モンスター
星7/光属性/雷族/攻2600/守2200
このカードが相手のターンで攻撃された場合、
そのダメージ計算時に発動する事ができる。
その攻撃モンスター1体の攻撃力を0にする。
この効果はこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り1度しか使用できない。

「………っ、ならここで私のトラップを発動!サンガの攻撃力は1500以上、奈落の落とし穴で破壊からの除外だってさ!」
「甘い!速攻魔法、収縮を発動!サンガの攻撃力を元々の攻撃力の半分………つまり1300にすることで、奈落の対象範囲外にする!」
「そんな、夢想のトラップがかわされた!?」
『カウンターの一つや二つでわめくな!落ち着いて深呼吸して、もう一回周りの状況を見ろ!お前の伏せたリバースは一体何のためにあるってんだ!』
「そうか、僕の伏せたカードはメタル・リフレクト・スライム………あの三体じゃ、越えられない守備力だ」
『ああ。ふつうこんな状況なら、合体せずにバトルフェイズにいくはずだ。その方が確実だしな。だからこのターンは耐え切れる………はずだ』

 メタル・リフレクト・スライム
永続罠
このカードは発動後モンスターカード(水族・水・星10・攻0/守3000)となり、
自分のモンスターカードゾーンに守備表示で特殊召喚する。
このカードは攻撃する事ができない。(このカードは罠カードとしても扱う)

「ふっ…………俺は、フィールド上にいる三魔神をリリースする!出でよ、ゲート・ガーディアン!」
『何ぃ!?』
「う、うそつきー!!」

 三体の魔神が上下に積み重なり、最強の門番たる巨人が誕生する。いいかそこ、乗っただけとか言うなよ!絶対に言うなよ!!

 ゲート・ガーディアン
効果モンスター
星11/闇属性/戦士族/攻3750/守3400
このカードは通常召喚できない。
自分フィールド上に存在する「雷魔神-サンガ」「風魔神-ヒューガ」
「水魔神-スーガ」をそれぞれ1体ずつリリースした場合に特殊召喚する事ができる。

 ゲート・ガーディアン 攻3750

「う、嘘でしょ……?」
『まだだ!墓地からドラゴン・アイスの効果発動!』
「そっか!手札のハリマンボウを捨てて、墓地のドラゴン・アイスを特殊召喚!さらにハリマンボウの効果で、ゲート・ガーディアンの攻撃力を下げる!!」

 ハリマンボウ
効果モンスター
星3/水属性/魚族/攻1500/守 100
このカードが墓地へ送られた時、
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。
選択した相手モンスターの攻撃力は500ポイントダウンする。

 ドラゴン・アイス 守2200
 ゲート・ガーディアン 攻3750→3250

「ゆけ、ゲート・ガーディアンでドラゴン・アイスに攻撃だ!」
「夢想、僕のカードを!」
「ごめんね清明、トラップ発動!メタル・リフレクト・スライム!」
「む?守備力3000か。だがゲート・ガーディアンの敵ではないわ!ゲート・デストラクション!!」

 メタル・リフレクト・スライム 守3000
 ゲート・ガーディアン 攻3250→メタル・リフレクト・スライム 守3000(破壊)

「いいだろう、私はこれでターンエンドだ」
「待って、エンドフェイズにトラップカード発動、針虫の巣窟!自分のデッキの上からカードを5枚墓地に送るんだってさ」

 今落ちたカードはワイトが二枚にワイト夫人が一枚、永続魔法のつまづきにタスケルトンか。相変わらずいい落ちしてるなぁ。 

 清明&夢想 LP1600 手札:清明×1、夢想×2 モンスター:ドラゴン・アイス(守) 魔法・罠:1(伏せ)
 迷宮兄弟 LP2000 手札:兄×0、弟×0 モンスター:ゲート・ガーディアン(攻) 魔法・罠:1(伏せ) 場:死皇帝の陵墓
 場:死皇帝の陵墓

「僕のターン、ドロー!………クッ!」
『まだだ!諦めたらそこで試合終了なんだよ!だからお前は、そのカードをセットするんだ!』
「………カードを一枚セット、ターンエンド」
「私のターン!カードを一枚セットしてドラゴン・アイスに攻撃!ゲート・デストラクション!」
「夢想が墓地に送ったタスケルトンの効果発動!除外して、その攻撃を無効に!」

 ゲート・ガーディアンの拳の前に一匹の子豚が立ちふさがり、体を風船のように膨らませて攻撃をなんとか弾いてくれた。

 タスケルトン
効果モンスター
星2/闇属性/アンデット族/攻 700/守 600
モンスターが戦闘を行うバトルステップ時、
墓地のこのカードをゲームから除外して発動できる。
そのモンスターの攻撃を無効にする。
この効果は相手ターンでも発動できる。
「タスケルトン」の効果はデュエル中に1度しか使用できない。

「ちっ、まあいい。私はターンエンドだ」

 清明&夢想 LP1600 手札:清明×1、夢想×2 モンスター:ドラゴン・アイス(守) 魔法・罠:2(伏せ)
 迷宮兄弟 LP2000 手札:兄×0、弟×0 モンスター:ゲート・ガーディアン(攻) 魔法・罠:2(伏せ) 場:死皇帝の陵墓
 場:死皇帝の陵墓

「私のターン、ドロー!魔法カード、暗黒界の取引を発動!全員カードを一枚ドローして、そのあと手札を一枚捨てるんだって。さらに魔法カード、おろかな埋葬を発動!デッキにいるモンスター一体を墓地に………この効果で私は、ワイトを墓地に送るんだってさ」
『ぼちぼちワイトがたまってきたな………まあタイミング的にもそろそろだろうな』
「だね」
「もう準備は整ったかな?これが私の、無敵の切り札!ワイトキング、召喚!」

 ワイトキング
効果モンスター
星1/闇属性/アンデット族/攻 ?/守 0
このカードの元々の攻撃力は、自分の墓地に存在する「ワイトキング」
「ワイト」の数×1000ポイントの数値になる。
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、
自分の墓地の「ワイトキング」または「ワイト」1体を
ゲームから除外する事で、このカードを特殊召喚する。

「今の私の墓地には針虫の巣窟で送ったワイトモンスターが三体、暗黒界の取引で送ったぶんが一体、おろかな埋葬で送ったぶんが一体…………攻撃力は、5000になるんだってさ」
「レベル1で攻撃力5000のモンスターだと!?」
『うし、やっぱ期待を裏切らねえな』

 ワイトキング 攻0→5000

「ワイトキング、お願い!トワイライトダンシング!」
「よし、これで大ダメージを!」
『…………いや、まだまだっぽいな』
「え?」
「まだまだ勝負はこれからだ!我らは負けぬ、決して負けぬ!この瞬間、トラップカードを二枚発動だ!一枚目、攻撃の無敵化!この一つ目の効果により、ゲート・ガーディアンは破壊されない!」

 ゲート・ガーディアンの巨大な拳とワイトキングの拳が激突する直前、不思議なオーラがゲート・ガーディアンの全身を包み込んだ。そして次の瞬間、両方のパンチのあまりの威力に衝撃波が巻き起こる。

 攻撃の無敵化
通常罠
バトルフェイズ時にのみ、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターはこのバトルフェイズ中、
戦闘及びカードの効果では破壊されない。
●このバトルフェイズ中、自分への戦闘ダメージは0になる。

「でも、そのカードならダメージは受ける!やっぱり大ダメージだ!」
「ふっ、聞いていなかったのか?私はトラップを『二枚』発動するといったんだぞ?」
「じゃあ、もう一枚!?」
「そうだ!二枚目、聖なる鎧-ミラーメール!ゲート・ガーディアンよ!ワイトキングのその力を、お前のものにするのだ!」

 拳をぶつかり合わせたまま膠着状態に陥っていたゲート・ガーディアンの全身がまばゆい光に包まれ、ワイトキングをついに力技で殴り飛ばしてしまった。そんな、あのワイトキングが………。

 聖なる鎧-ミラーメール
通常罠
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスターが
攻撃対象に選択された時に発動する事ができる。
攻撃対象モンスターの攻撃力は、
攻撃モンスターの攻撃力と同じになる。

 ゲート・ガーディアン 攻3250→5000
 ワイトキング 攻5000(破壊)→ゲート・ガーディアン 攻5000

『…………やるじゃねえか』
「ワイトキングは自身の効果で、戦闘破壊された時に墓地のワイトを除外して特殊召喚できるよ。戻ってきて、ワイトキング………」

 ワイトキング 攻0→4000

「私はこれでターンエンド、だって」
『攻撃表示、か。まあ実際どうしようもないし、ああするしかないのかね』
「私のターン、ドロー。ふむ………あの伏せカードがいい加減目障りだな。魔法カード、大嵐を発動!場の全ての魔法・罠カードを破壊する!」
「!?」

 夢想の伏せていた最後のカードは………自分フィールドのモンスターが攻撃された時に、攻撃をするモンスターの攻撃力の半分の数値分攻撃対象モンスターの攻撃力をアップさせるトラップ、ハーフ・カウンター。これまでゲート・ガーディアンの攻撃が守備表示モンスターだけにしかなかったために発動されなかった、攻撃反応型のカードだ。そして、僕の伏せていたカードも破壊される。これでバックはがら空きになり、残ったのはワイトキングとなかなか狙われなかったドラゴン・アイスの二体だけ。とすれば当然、攻撃対象は。

「ゲート・ガーディアンで、ワイトキングを攻撃!ゲート・デストラクション!」

 ゲート・ガーディアン 攻5000→ワイトキング 攻4000(破壊)
 清明&夢想 LP1600→600

「くっ………ごめんね清明、だってさ。………清明?」
「ふむ、もう絶望で声を出すこともできんか。だが恨んでくれるな、これでターンエンドだ」
「………対象の指定だ」
「何?」
「対象を指定するんだよ」
「もう一度言え、どういう意味だ」

 わからない?ならもう一回言おうじゃないの!ニヤリと笑ってからもう一度、今言ったことを大声で繰り返す。

「対象を指定!ゲート・ガーディアンだ!!」
「一体何の話をしているんだ!?」
「わからないんなら見てみなよっ!」

 恐る恐るといった風に、迷宮兄弟が仁王立ちするゲート・ガーディアンの方に目をやると。
 パン、パン、パァン!!と、いきなり数発の銃声が響き、銃弾をまともに喰らったゲート・ガーディアンが、その攻撃力がうそみたいにあっけなく倒れてきた。
 
「そんな、我らのゲート・ガーディアンが」
「だが一体なぜ………む、なんだそのモンスターは!?」

 そう言って迷宮兄が指差したのは、腕を組んで防御姿勢をとるドラゴン・アイスの隣でまだ煙を上げる銀色のライフルを肩に担ぎ、雪のたくさんついた防寒具を身にまとった一人の男。今回の逆転のキーになったカードだ。

「エンドフェイズ時に、さっきの大嵐で破壊された白銀のスナイパーの効果によってゲート・ガーディアンを破壊、さらにスナイパーを特殊召喚したのさ!」
『やれやれ、大嵐してくれてよかったぜ。あれがなかったら正直どうしようかと思った』
「そ、そんな馬鹿な………私のせいで負けとなってしまうのか……」

 白銀のスナイパー
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1500/守1300
このカードは魔法カード扱いとして
手札から魔法&罠カードゾーンにセットできる。
魔法&罠カードゾーンにセットされたこのカードが
相手のカードの効果によって破壊され墓地へ送られたターンのエンドフェイズ時、
このカードを墓地から特殊召喚し、
相手フィールド上のカード1枚を選択して破壊する。

 白銀のスナイパー 攻1500

「それじゃあ僕のターン………ゲート・ガーディアンがそっちのエースなら、こっちもエースカードで行くよ!ドラゴン・アイスと白銀のスナイパーをリリースして………こいつが僕の切り札だ!霧の王を召喚!」

 霧の王
効果モンスター
星7/水属性/魔法使い族/攻 0/守 0
このカードを召喚する場合、生け贄1体
または生け贄なしで召喚する事ができる。
このカードの攻撃力は、生け贄召喚時に生け贄に捧げた
モンスターの元々の攻撃力を合計した数値になる。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
いかなる場合による生け贄も行う事ができなくなる。

 霧の王 攻0→3300

「後は任せたよ、霧の王でダイレクトアタック!ミスト・ストラングル!!!」

「「うおぉぉぉぉっ!!」」

 霧の王 攻3300→迷宮兄弟(直接攻撃)
 迷宮兄弟 LP2000→0



「「いいデュエルだった、礼を言おう」」
「いえ、こちらこそ。ありがとうございました、迷宮兄弟さん」
「いい経験になりました、だってさ」

 無事にデュエルも終わり、退学の話もなかったことに。いやー、よかったよかった。そして迷宮兄弟が帰っていく船をユーノに夢想と一緒に見送って………ってアレ?ユーノがいない?どこ行ったんだ一体。しょうがない、探しに……。

「ねえ、清明」
「うん、なーに?」

 探しに行くのは後でいいか。どうせ迷子になるような奴じゃないし。

「今朝、言ってたよね。私に、ありがとうって」
「うん、まあ言ったけど?」
「あの時は別に気にしないでって言ったけど、本当はすごく嬉しかったんだ。なんだって」
「嬉しかった?なんで?」

 どうもよくわからない。何かしてもらったらお礼を言うなんて、当たり前の行為じゃないんだろうか。それを言うと彼女は、ちょっぴり困ったような、でも嬉しそうな顔をして。

「まったく、もう少しデュエル以外のことに鋭くなってもいいんじゃないの?だってさ。じゃあ私はもう寮に帰るからね」

 そう言って、素早い身のこなしで歩き出してしまった。なんだか話が急展開過ぎてついていけなかったので、慌てて後を追いかける。もうちょっとわかりやすい説明をお願いしたいんだけどなぁ………。

「あ、そうだ」

 ピタリと歩みを止めて、くるりと振り返る夢想。その顔がちょっぴり赤く染まって見えたのは、夕日のせいだろうか。

「なに?」
「えーっと、その………またいつか、一緒にタッグ組もうね。だって」
 
 ちょっぴりあった溜めが若干気になったけど、まあどうでもいいか。もしもまたタッグを組む機会があるんなら、僕にとってはもちろん大歓迎だ。だから、この返事は胸を張って言うことができる。

「…………うん!そのときもまた、よろしく頼むよ!」 
 

 
後書き
この二人の関係をどうやって深めてくか、それが問題だ。今のところ、夢想にとって清明は親友以上かどうか、っていうギリギリのライン。絡みが少ない?ほらあれだよ、書いてないシーンとかでちょいちょい会ってるんだよ………多分。 
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