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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝

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第56話 洛陽帰還後の日常

私達が半年の旅を終え洛陽に戻ると榮奈、真希の出迎えを受けました。

榮奈が無事に逃げ仰せたか心配だった私は彼女の姿を見て安堵しました。

彼女の話によると臧戒殿は父上の処に身を寄せています。

泰山の大守は臧戒殿、父上、袁逢殿が協力して更迭に追い込まれ、現在はエン州刺史の元で厳しい取り調べを受けています。

袁逢殿を訪ねて榮奈の件の礼を言うと笑顔で「劉ヨウ殿、気にされるな」と言われました。

彼には本当に感謝しています。

彼が渡してくれた金や馬は旅の助けになりました。

袁逢殿に会ったついでに彼女の娘、袁術のことを聞きました。

袁術も自業自得とは言え、孫策の被害者です。

同じ被害者として彼女に親近感が湧きます。

袁逢殿は袁術を呼び、彼女に会わせてくれました。

袁術に会った時の感想はお人形さんみたいだなと思いました。

恋姫の袁術は知っていましたが、実物を見るとかわいらしいの一言でした。

張勲にも会うことが出来ました。

袁術とは一緒に遊んだら直ぐ仲良くなり、今では真名を交わしています。

彼女の真名は美羽です。

張勲は美羽が真名を交換したので、渋々私と真名を交換しました。

彼女の真名は七乃です。

その後、お土産タイムです。

私は憂鬱な気持ちで猪々子を訪ね土産を渡したとき、随分と恨み言を言われました。

お陰でいろいろと奢らせられる羽目になりました。

雑事を終えた私は旅の疲れを取るため自宅でのんびりと骨休めをしていました。

美羽が毎日、私の家に遊びに来る以外は特に変化はありません。

数日後、朝廷からの使者が来ました。

使者は私が茂才に推挙されたので試験を受けるように告げました。

推挙した人物は青州刺史だそうです。

試験を受けた私は無事に合格し、侍御史に任じられました。

お爺々様のスパルタ教育のお陰と、泰山での一件が評価されたようです。

まもなく私は御史中丞、司隷校尉に累進しました。

私の出世の背景には何進様、袁逢殿、司馬防殿の後押しがありました。

三人からは私が有能なので推挙しやすかったと言われました。

私だけでこの異例の出世は無理だったと思います。

何進様に会う前の私の彼のイメージはガタイの良い肉屋の親父という印象でした。

実際に会うと驚くことに男ではなく女で美人でした。

私は自分の属官である都官従事に揚羽を推挙しました。

麗羽は何進の掾になり、しばらくして侍御史になりました。

私の家臣の給金は未だ袁逢殿の支援でまかなっています。

私は現在の地位についてから、既に宦官と幾度と無く衝突しています。

最初、彼らとの衝突を極力控えようとしていました。

しかし、宦官絡みの汚職が多すぎて看過できないもだったので取り締まることになりました。

宦官達は私を排除しようといろいろ画策しているみたいですが、私は彼らと違い清廉過ぎて付け入る隙が無く困っているようです。

最近、彼らは何か企んでいるような気配があります。

十常侍の張譲がいつになく友好的だったような気がします。

普段、私を見ると露骨に嫌な顔をする彼がです。





朝議を終え自分の執務室に戻ると、意外な人物が居ました。

その人物は覇王様こと華琳です。

「正宗君、おひさしぶりね」

久しぶりに会う彼女は一物ある笑みを向けました。

彼女を相変わらず小柄で胸は・・・・・・、止めておきましょう。

「正宗君、何か失礼なことを考えていない?」

ジト目で華琳は私を凝視します。

鋭い……、女といのはこういった視線に敏感なんでしょうか?

「そ、そんなこと考えるわけないじゃないか?やあ、華琳さん・・・・・・。本当に久しぶりだね……」

何で彼女が私の執務室にいるのでしょうか?

「今日はどういった用事かな?」

「随分と他人行儀だわね。私達は友達ではなくて?まあ、いいわ」

華琳は言葉を一度切ると、話題を変えてきました。

「今度、尚書右丞の推挙で洛陽北部尉に任官されたの。それで、上司のあなたに挨拶に来たの。敬語にした方がいいかしら、司隷校尉様」

彼女の言葉には些か刺がありました。

私を敢えて『司隷校尉様』と呼ぶ理由がわかりません。

「華琳の直属の上司は河南尹じゃないのかい?」

私は素朴な疑問を言いました。

「河南尹には挨拶を済ませたわ。それとも司隷校尉様は格下の昔の友達と会いたくないのかしら?」

「別に・・・・・・」

「麗羽と許嫁になったそうね。彼女に会った時、戸惑ったわ。あれはあなたの仕業かしら」

華琳は私の返事を気にすることもなく話を続けました。

「彼女も頑張ったからね。でも、麗羽自身に元々備わったものだと思う」

麗羽が馬鹿だったのは袁逢殿が自由気ままにさせていたからです。

環境さえ整えて彼女が頑張りさえすれば平均レベルになると思います。

「麗羽はあなたが親身になって文武ともに教授してくれたと言っていたわ。そうそう、あなたが旅に出たとき、わざわざ私の住んでいる陳留を避けていたのはどういう了見なのか聞きたいわ。司隷校尉様、教えてくれないかしら?」

避けていたのは事実でしたが・・・・・・。

機嫌が悪いのは私が彼女を避けて旅をしていたためでしょうか?

・・・・・・。

どう言えば良いのか思い浮かびません。

「さ、避けていたというのは心外だな・・・・・・。麗羽と一緒の旅だったから、華琳を訪ねるのは気が引けたというか・・・・・・何と言うか・・・・・・」

気まずくなった私はしどろもどろに言いました。

「それを『避ける』というのではないのかしら?」

華琳は相変わらず淡々と済ました表情で言いました。

「アハハハ・・・・・・、そうだね」

場の空気が凄く悪いです。

彼女は相変わらず私を済ました顔で凝視しています。

「ああ、そうだ。茶でも淹れさせよう。おい、誰かいないか!」

私は部下を呼び、茶を頼みました。

「司隷校尉様、わざわざ気を付けてくださらなくて結構です」

「ごめん・・・・・・。別に・・・、否。そうだよ・・・・・・、私は華琳を避けて旅をしていた。華琳と麗羽の仲はあまり良くなさそうだったから余計ないざこざを起こしたくなかった」

彼女の無言のプレッシャーに負け本音を言いました。

もうどうにでもなれです。

「だから、陳留を避けたと?」

彼女は私の言葉を継ぎ、淡々と言いました。

「その通りだよ。華琳、本当にごめん・・・・・・」

「もう、いいわ。許してあげる」

彼女は嘆息して言いました。

「ありがとう。流石、華琳。懐が深いね!」

「調子に乗らないで頂戴」

彼女は少し怒った表情になりました。

「私は別にいいわ。あなたの行動で春蘭、秋蘭は落ち込んでいたわ。あの子達はあなたが陳留を通ると思っていたのよ。ちゃんと謝っておきなさいね」

彼女はくどくどと私に説教をしました。

「そう言えば、春蘭と秋蘭がいないね」

「あなたの所為よ」

「わかった。あやまりに行く序でに華琳達に食事をご馳走するよ」

「へえ、正宗君の奢りなのね。ちょうど行ってみたい店があったからそれは楽しみね」

彼女は意地悪な笑いを私に向けたので、一抹の不安を抱きました。

財布の中身大丈夫かな・・・・・・。 
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