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舌の先から吸う

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第六章

「もうね」
「普通にないわね」
「変態の域よね」
「ほら、野球でね」
 アスカは右手の人差し指を顔の高さで上に向けて話した。
「巨人だけれど」
「ああ、また負けたわね」
「今年も百二十敗ペースね」
「負けて負けて負けまくってるわね」
「そうなってるわね」
「その巨人のオーナーも」 
 この世に邪悪な瘴気を撒き散らしているチームのというのだ。
「北の将軍様そっくりじゃない」
「実際そう言われてるしね」
「将軍様って」
「そう言われてるしね」
「あんまり横暴なんで」
「あのオーナー好きな人もいるし」
 それこそ北朝鮮の機関紙の様に賛美している、とあるタブロイド紙はそうした記事を平然として出しているのだ。
「巨人だってね」
「あれで昔は強かったのよ」
「球界の盟主とか言ったのよ」
 友人達はアスカに冷めた目で返した。
「アスカも知ってると思うけれど」
「二十世紀はそうでね」
「人気は独占して」
「やりたい放題だったのよ」
「そうだったのよね」
 アスカも知っていて頷いた。
「昔は」
「そうそう、それで今は人気最下位だけれどね」
「ただ弱いだけじゃなくて」
「そうだけれど」
「ファンがいることはいるわね」
「あんなチームの何処がいいのか」 
 あまりにも弱くかつ不祥事ばかり起こしているチームのというのだ。
「わからないわね」
「だから世の中色々で」
「変な人もいて」
「変な人やチーム応援するのよ」
「日本でもね」
「そういうことね、まだヒトラーやスターリンはカリスマがあったから」
 このことは事実でというのだ。
「わかるかもだけれど」
「北の将軍様とかアメリカの前の大統領ってね」
「あの赤い帽子被って嘘と悪口ばかりの」
「それに巨人」
「野球じゃなくて不祥事ばかりで有名なチームだってね」
「好きな人いるわね」
「日本はいい国だと思うわ」
 アスカはこの言葉を心から出した。
「気候はいいし色々な自然があってね」
「山に海に」
「何かと」
「面白い妖怪多くて文化と食べものは最高で」
 アスカはさらに言った。
「いい人多くてね。けれどね」
「変な人もいるわね」
「残念ながら」
「そのことは残念ね」
 こう言うのだった。
「何でも最高じゃないわね」
「それはね」
「どうしようもないわね」
「残念だけれど」
「日本でもね」
「どんな国にも吸血鬼はいて」
 友人達にそれでと話した。
「変な人がいるわね、そして変な人の方がね」
「問題ね」
「はっきり言って」
「そうよね」
「人間でも吸血鬼でもね」
「問題は性格と行いよね」
「それ次第よね」
「本当にね」
 アスカは友人達に話した、そうしてだった。
 友人達とその変な人達についても話していった、そしてそうした人達こそ警戒すべきと思うのだった。吸血鬼であろうとなかろうと、


舌の先から吸う   完


                    2024・4・29 
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