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ハッピークローバー

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第百二十六話 複雑な立場その十四

「やっぱり政治家さんもね」
「ちゃんとしたことを言うことね」
「さもないと落選するでしょ」
 そうなるというのだ。
「例え当選しても」
「まともな人には支持されないわね」
「当選したらいいか」 
 こうもだ、富美子は一華に話した。
「それはね」
「変な人に支持されてだと」
「私としてはね」
 どうにもというのだ。
「嫌だから」
「まともなこと言うのね」
「そう、だからね」 
 それでというのだ。
「これからもね」
「そのことは気を付けるのね」
「大阪にいるでしょ」
 一華と理虹に実に嫌そうな顔で話した。
「ほら、あのショートヘアの女の人で野党の」
「ああ、あの人ね」
「物凄く評判の悪い」
 二人もすぐに応えた。
「昔捕まったのよね」
「それで実刑受けてたわね」
「周りにおかしな人が一杯いるのよね」
「あの人自身運動家だしね」
「あんな人にはね」
 本気でだ、富美子は言った。
「なりたくないからね」
「普通なりたくないわよね」
「ああした人にはね」 
 二人もそれはと応えた。
「あからさまに胡散臭いし」
「実際前科あるし」
「今も反省しないで如何にも自分が正義だって顔で言ってるけれど」
「あの人は正真正銘にね」
「ええ、そうとしか思えないから」
 だからだというのだ。
「例えよ」
「政治家さんになっても」
「ちゃんとしたこと言うのね」
「あんな風なこと言って当選してもね」
 その大阪が戦局の女性政治家の様にというのだ、二十一世紀に入ってから日本ではこうしたタイプの女性議員が増えたかも知れない。
「それでもね」
「恥よね」
「あの人羞恥心なさそうだけれど」
「お姉ちゃんに怒られるわよ」
 二人に姉のことを意識しつつ言った。
「あんな風になったら」
「あの人はそうよね」
「怒るわね」
 二人も確かにと頷いた。
「考えしっかりした人だから」
「富美子がああなったらね」
「例え政治家になっても」
「怒るわね」
「お父さんお母さんも怒るでしょうし」 
 両親もというのだ。
「親戚もで」
「特に美奈代さん」
「あの人ね」
「そうなるから」
 だからだというのだ。
「本当にね」
「ちゃんとしたこと言う」
「どんなお仕事に就いても」
「政治家さんになっても」
「そうしていくのね」
「そうしていくわ」
 こう言う富美子だった、そして実際に彼女は政治家にならなかったが就職して結婚して母親になってもおかしなことは言わなかった。派手な外見でも常識は備える人間になったがそれはまた別の話である。運動会は続いていた。


第百二十六話   完


                     2024・3・15 
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