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星河の覇皇

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第八十六部第二章 教育改革その五十四

「あの、ご自身の」
「間違いをですか」
「認められますか」
「それが学者ではないでしょうか」
 これが教授の返事だった。
「自分に間違いがあればです」
「それを認めてですか」
「訂正することが。学説は学んでいくと変わります」
 真実、それに近付いていくというのだ。
「ですから」
「それで、ですか」
「私も自分の言っていることに間違いがあれば」
 それならというのだ。
「もうです」
「そのことを認められて」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「訂正します」
「今の様に」
「そうします」
 こう言うのだった。
「さもないとエウロパに負けますので」
「あの国にですか」
「そしてカンボジアのことを考えますと」
 祖国、自分達の国のことをというのだ。
「正しくないので」
「我が国のですか」
「学びなおします」
 世の中即ち現実をというのだ。
「そのうえであらためて」
「お話をされますか」
「このことについても、我が国はかつてフランスの軍門に降りました」
 植民地になったというのだ、このことはカンボジアにとっては屈辱の歴史であった。フランス領インドシナだった頃のそれは。
「二度とです」
「あの様なことはですね」
「ポル=ポトの虐政もですが」
 その人口の数割が殺されたという狂気のそれもというのだ。
「ですが」
「力がないとですね」
「はい、再びです」
「エウロパの軍門に降り」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「またあの様にです」
「苦渋と屈辱を舐めますね」
「あの様なことは」 
 決してというのだ。
「あってはならないですね」
「誰が望むものか」
 与党の議員が教授に答えた。
「それは連合の者ならです」
「誰もが思いますね」
「我が国もです」 
 即ちカンボジアもというのだ。
「今教授がお話された様にです」
「植民地となり」
「まことにです」
 教授が言った通りにというのだ。 
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