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星河の覇皇

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第八十六部第二章 教育改革その四十一

「もうな」
「もう?」
「勉強が出来てもな」
 そうした意味で頭がよくてもというのだ。
「馬鹿ってことだろ」
「世間知らずだとか」
「世間を知らないとな」
 幾ら学校の成績がよくてもというのだ。
「それはそれでな」
「馬鹿か」
「そうだろ、世の中を知らないことをわかってなくてな」
 自覚、それがなくてというのだ。
「言ってるならな」
「もうか」
「馬鹿だろ」
「そうなるか」
「ああ、それでこの人もな」
「本ばかり読んで引き籠って考えてか」
「ずっとそうしていてな」
 そうしたことばかりしていてというのだ。
「世の中をな」
「知らなくてか」
「それでな」
 そのうえでというのだ。
「テレビで聴いたことをそのまま言ってな」
「ああなってるんだな」
「そりゃずっと研究室にいたら」
 そうしていればというのだ。
「世の中のことだってな」
「知らないか」
「ネットを見たり新聞を読んでもな」
 そうしてもというのだ。
「それでも世の中ってな」
「やっぱりか」
「その目で見ないとな」 
 外に出てとだ、大学生は友人に話した。
「世の中ってわからないからな」
「ああ、バイトとかしてな」
「それで人と話してな」
「店にも入ってな」
「それで遊びでもしないと」 
 外でというのだ。
「旅行とかもな」
「しないとってことか」
「世の中ってわからないからな」
「この人あれか?」
 友人はスマホを観つつ話した。
「家と大学を行き来してな」
「ずっと本ばかり読んでな」
「スマホとかテレビばかり観て」
「そしてな」
「世の中全然知らないか」
「それでも学問ばかりしているから」
 それでというのだ。
「そっちの知識だけ仕入れて」
「わかったつもりになってるか」
「世の中のこともな」
 実は知らないそちらのこともというのだ。
「新聞も読んで」
「それって厄介だな」
「自分が世間知らずって自覚ないんだよ、この人」
 友人は言い切った。
「結局は」
「大学の教授さんでもか」
「象牙の塔っていうだろ」
 この言葉も出した。
「そうだろ」
「大学の先生の世界だな」
「ああ、研究して論文書いていたらな」
「それで生きていけるか」
「最悪それなりの地位に就いたら論文書かなくてもな」
 学者の本分であるそれをせずともというのだ。 
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