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星河の覇皇

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第八十六部第二章 教育改革その三十五

「紛れもなくな、しかしな」
「それでもですね」
「同時に二国を相手にすると」
「その時はですね」
「どうなっていたか」
「プロイセンは鍛え上げられた強兵と優れた装備を持っていたうえにだ」
 さらにというのだ。
「鉄道を持っていた」
「そうでしたね」
「鉄道で迅速にその強兵と装備を戦場に速やかに移動させ」
「そうして戦っていましたね」
「左様でしたね」
「そうだったが」 
 それがというのだ。
「一度に大国を二国も相手にするとな」
「如何にプロイセンといえど」
「当時欧州随一の軍隊を持っていても」
「それでもですね」
「苦戦どころかだ」
 それで済まずにというのだ。
「敗北も有り得た、よしんば勝ってもだ」
「オーストリアとフランスは敵のままで」
「やはり二国同時に相手にし続け」
「外交的、軍事的に大きな負担を強いられ続けた」
「左様でしたね」
「そうなっていた、だから若しそこでオーストリアに一方的な要求を突き付けてだ」
 そうしてというのだ。
「オーストリアの恨みを買えばな」
「プロイセンは国益を損ねていた」
「左様でしたね」
「その時は」
「そうなっていた、だがビスマルクはわかっていた」
 そのプロイセンの首相である彼はだ。
「そのことがな」
「左様ですね」
「そのこともですね」
「おわかりで」
「それで、ですね」
「オーストリアが驚く位に寛大な要求を出してだ」
 戦争に勝った後でだ。
「そうしてだ」
「そのうえで、でしたね」
「オーストリアに恩を売り」
「敵でなくしましたね」
「それどころかオーストリアはそれまでの対立からだ」
 その関係からだったのだ。
「プロイセンに好意を持ちな」
「あの国に接近しましたね」
「ひいてはドイツ帝国に」
「そして盟約を結び」
「強固な同盟になりましたね」
「そうなったのは恨みを買わなかったからだ」
 そしてオーストリア国民の反感を買わなかったというのだ。
「だからだ」
「我々もですね」
「他国の恨みは買わない」
「その様にしますね」
「国家戦略として」
「国家には確かに市民の目を向けさせ一つにする敵が必要だが」
 このことは事実だがというのだ。
「しかしだ」
「それは少ないに限りますね」
「敵は」
「それに限りますね」
「人間個人でも敵が多いとだ」
 そうなればというのだ。 
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