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八条学園騒動記

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第七百四十五話 清潔な場所その一

               清潔な場所
 セドリックとウェンディはアンに案内されてシナゴーグの中を見て回ることになった、これはアンの申し出だった。
「今から時間あるし中をね」
「案内してくれるんだ」
「そうしてくれるの」
「確かに色々厳しい宗教だけれど」
 それでもというのだ。
「他宗教の人がシナゴーグに入ってもいいし」
「見て回ってもなんだ」
「いいのね」
「秘密主義じゃないから」
 ユダヤ教はというのだ。
「カバラの奥義とかあってもね」
「普通のことは見せてくれる」
「それで教えてくれるのね」
「そうよ」
 そうした宗教だというのだ。
「だからね」
「これからだね」
「案内してくれるのね」
「ええ、とはいってもね」 
 二人に笑顔で話した。
「別に他の宗教とね」
「変わらないんだ」
「そうなの」
「ええ、そうだと思うわ」
 笑顔のまま話した。
「清潔にされていてね」
「そういえば清潔だね」
 セドリックはアンに言われてシナゴーグの中を見回して言った。
「随分と」
「そうでしょ」
「いつもお掃除されてるんだ」
「他の宗教のお寺や教会や神殿と同じでね」
 それでというのだ。
「いつもラビさん達がね」
「お掃除してるんだ」
「そうなんだね」
「それで質素でしょ」
「そうだね」
 言われてこのことにも気付いた。
「かなりね」
「本当に贅沢はね」
「ユダヤ教では駄目なんだ」
「お金を儲けて」
 ユダヤ教の教理に従ってというのだ。
「宮殿を建ててね」
「そこに住んだら駄目かな」
「いいけれど過分に華美にしたら駄目で」
 それでというのだ。
「寄付もね」
「しないと駄目なんだ」
「寄付を忘れたら」
 そうすればというと。
「破門もね」
「有り得るんだ」
「ユダヤ教それにイスラエル政府にね」
「寄付しないと駄目なんだね」
「お金持ちになって贅沢をしても」
 それでもというのだ。
「過度は駄目で」
「寄付もだね」
「忘れたらいけなくてね」
 それでというのだ。
「贅沢でも清富よ」
「ええと、清貧じゃなくて」
「清富よ」
 そうすべきだというのだ。
「あくまでね」
「贅沢は駄目じゃなかったのかな」
 セドリックはアンの今の話から彼女がこれまで話したイスラエルそしてユダヤ教のことから矛盾を感じて首を傾げさせた。 
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