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神々の塔

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第六十二話 緑の迷宮その四

「怪しいと思ったら」
「それで今入院してるけどな」
「入院させられる前はな」
「言いたい放題やったわ」
 人類が滅亡するとだ。
「それで鬱なる子供おったしな」
「ああ、子供は信じるからな」
 トウェインはそれでと応えた。
「そうした話を」
「それでや」
「自分達は滅びると思って」
「鬱になった子も出たわ」
「そいつの話信じてな」
「予言がどうとか言ってな、けどな」
 リーはその予言の話もした。
「予言なんてもんもな」
「いい加減なもんも多いからな」
「ノストラダムスなんてな」
 施は二十世紀終わりの日本では予言者の代名詞となっていたこの人物の話をした、当時の日本では知らない人はいない名前だった。
「実は予言者やなくて」
「お医者さんでな」
「美容コンサルタントやったな」
「実際本人さんはな」
 ノストラダムス自身はだ。
「自分を予言者とはな」
「思ってへんかったな」
「何年か前の予言の本読んだら」
「めっちゃ外れてるな」
「エドガー=ケイシーの予言は外れたことないと言うけど」
 それが触れ込みであったのだ。
「その実はな」
「外れてるな」
「何年か経って」
 そう言って宣伝している本が出てだ。
「見るとな」
「ああ、ほんま外れてるな」
 トウェインもそれはと応えた。
「全部な」
「そんなもんや、予言程偽物が多いもんもない」
 そうだというのだ。
「当たってるもんよりもな」
「外れてるもんの方がやな」
「遥かに多くてな」
 そうであってというのだ。
「インチキがや」
「兎に角多いな」
「そうしたもんや、それを元に人類滅亡とか喚くキチガイはな」
 そうした輩はというのだ。
「騒乱罪は適用されんでもな」
「別にしてもええやろ」
「いや、それよりもや」
 リーはトウェインに話した。
「まずはや」
「ほんまにおかしいかどうかか」
「キチガイでも人殺したら死刑やが」
 十星連合ではそうした刑法になっている、容疑者の精神状況と関係なくその罪状を問われる考えであるのだ。
「しかしな」
「騒ぐだけやとか」
「流石にな」
「社会に悪影響与えていてもやな」
「騒乱罪以前にな」
 その罪状を問う以前にというのだ。
「精神鑑定受けさせて」
「ほんまにおかしかったらやな」
「精神病院に入れてな」
 そうしてというのだ。
「治療する」
「そうするんやな」
「ああ、予言で喚いてる奴はその方がええやろ」
「騒乱罪よりもか」
「言うてる奴がホンマモンやてな」
 真性の狂人だというのだ。 
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