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星河の覇皇

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第八十六部第一章 貴族達の嘲笑その七十五

「嵐の神でもある」
「吹き荒ぶそれですね」
「それがあの神の性格の一部にもなっている」
「果たしてそれが人間に出るか」
「出る筈がない」
 結論から出した言葉だった。
「到底な」
「左様ですね」
「そうしたことをわからないで言っているとしか思えない」
「人は神ではない」
「神は人間的であってもだ」
「神独自の性格があります」
「自然現象を司っているが故にだ」
 その為にというのだ。
「そもそも神がそうしたことを為すか」
「カルト教団の様なことを」
「その時点でない」
 到底というのだ。
「まずな」
「左様ですね」
「それがわからないのだからな」
「まやかしの宗教だとですね」
「一目瞭然だ、そもそもああした宗教は新しいものがない」
 ギルフォードはこのことも指摘した。
「全くな」
「様々な宗教のつなぎ合わせですね」
「それに過ぎない、斬新さもなくな」
「独自の教義もですね」
「ある様でな」
 その実はというのだ。
「ない」
「そこでもわかりますね」
「わかる者はわかる」
「まがいものであると」
「それがな、そしてその様な連中にエウロパを好きにさせてはならない」
「彼等はエウロパを私物化しますね」
「それが狙いだ、エウロパは誰のものか」
 確かな声での言葉だった。
「言うまでもない」
「エウロパ人のものです」
「そうだ、エウロパ市民のな」
 階級に関係なくというのだ。
「カルト教団のものではない」
「健全な市民のものです」
「我々の公のものだ」
「カルト教団の私物ではない」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「断じてな」
「彼等には渡さないですね」
「その様に努力する、しかし連合が後ろにはいないな」
 ギルフォードはカルト教団についてその可能性を疑いカミュに問うた。
「彼等は」
「はい、連合はいません」 
 カミュはギルフォードに即座に答えた。
「あの国はそれよりもです」
「また内輪揉めをはじめたな」
「中央政府と各国政府がです」
「互いに争いはじめたな」
「そうなりました」
「そうだな、我々に仕掛けるよりもか」
「いつもの悪い病気が出ました」
 連合特有のそれがというのだ。
「中で争うそれが」
「だからだな」
「はい、ですから」
 それでというのだ。 
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