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八条学園騒動記

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第七百四十一話 シヴァ家の敵その十三

「廃刊、倒産しても誰もです」
「困らないですね」
「極めて悪質な人達が書いた」
「極めて悪質なタブロイド紙で」
「そして悪質な企業であるので」
 その為にというのだ。
「そうなってもです」
「誰も困らないですね」
「はい、ですが」
 それでもと言うのだった。
「ああした新聞はです」
「なくならないですね」
「はい」
 ベッキーにまさにと答えた。
「そうです」
「人にはああした一面があるので」
「そうである限りはです」
「読む人がいますね」
「ですから」
 その為にというのだ。
「マスメディア誕生の時からです」
「ああした新聞や雑誌はあって」
「そしてです」
「今もありますね」
「そうです、ですから」
 その為にというのだ。
「決してです」
「なくならないですね」
「あの新聞が廃刊しまして」
「新聞社が倒産しても」
「今もありますし」
「ですから」
 そうであるからだというのだ。
「決してです」
「完全にはなくならない」
「ああした新聞や雑誌は」
「一つ倒産しても」
「また一つ生まれますか」
「そうしたものです」
 こう二人に話すのだった。
「完全にはなくなりません」
「人にそうした面があるので」
「その中に」
「醜悪な部分、下劣な部分が」
「それが社会にも出るので」
「なくなりません」
 決してと言うのだった。
「私は今回その一部を消しただけで」
「全てではない」
「そうなのですね」
「完全に清浄な世界なぞなく」
 そしてというのだ。
「若しあるとするならば」
「それはそれで、ですね」
「問題ですね」
「そうです、そうした世界は人ではです」
「創れない」
「その心に不浄なものもあるので」
「どうしても矛盾が出来」
 創り出す中でというのだ。
「そして出来てもです」
「おかしな世界ですね」
「そうしたものになりますね」
「そうです」
 まさにというのだ。
「そうなります」
「どうしても」
「何かがおかしな世界になりますね」
「天国は果たして天国か」  
 セーラはラメダスとベッキーに対して問う様に言った、そこにあるものは深い哲学的宗教的な思想でたった。
「ユートピアかと思えば」
「ディストピアですね」
「そうであるかも知れないですね」
「例えば神に絶対服従で」
 そうしてというのだ。
「神にひたすら従い」
「その言う通りにする」
「あらゆることに対して」
「それではですね」
「幸せか」
「そしてそれは天国か」
 こう二人に言うのだった。
「わからないですね」
「そうですね、確かにです」
「ディストピアかも知れないですね」
「不浄なものがない世界は」
「それはそれで」
「ですから」
 人にはそうしたもの、不浄や醜悪と呼ばれるものがあるからだというのだ。
「世の中は完全に清浄とはならず」
「そうした新聞や雑誌も存在し続ける」
「ですがそれは、ですね」
「致し方のないこと」
「人の性ですね」
「そうです、ただ私はマウリアに危害を与えることがなければ」
 今回の様に煽動してというのだ。
「よいです」
「放置する」
「そうされますね」
「そうします」
 そうすると言ってだった。
 今は二人を連れて宮殿の庭を歩いた、それは優雅な姿であった。


シヴァ家の敵   完


                 2023・11・24 
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