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金木犀の許嫁

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第八話 同居をはじめてその六

「真面目に生きてこそ」
「よくなりますか」
「天狗になったら終わり」
 白華にこんなことも言った。
「まさに」
「天狗ですね」
「そうなる人もいるから。しかも」
 佐京は自分の言葉を続けた。
「何でもない全く何もしない」
「そんな人でもですか」
「ニートでただ家にいるだけで」
「家事もですか」
「何もしないで」
 そのうえでというのだ。
「ただひたすら」
「ふんぞり返っているだけですか」
「そうして遠慮も感謝も知らない」
「人間としてそれは」
「そう、もう」
「どうにもならないですね」
「人間としての修行をしないとこうなる」
 まさにというのだ。
「そしてこうなるともう」
「助からないですね」
「どんな宗教でも哲学でも」
「救えないですか」
「どんな人が手を差し伸べても」 
 人としての修行を一切積んでいない様な輩はだ、そのうえで碌でもないことばかり備えると、であるのだ。
「救われない」
「結果として自分が不幸になりますね」
「奈落に堕ちるだけ」
 そうなればというのだ。
「感謝も反省もしないから」
「ううむ、そうなりたくはです」
「白華もなりたくない」
「誰がなりたいですか」
 それこそというのだった。
「まさにです」
「誰もなりたくない」
「そうです」
 こう言うのだった。
「間違っても」
「そう。普通はそう思うから」
「皆努力しますね」
「結構意識せずともしているみたい」
 人間性を磨く努力はだ。
「外に出て学校に行ったり会社に行ったり」
「そうしていってですか」
「人と出会って話をして」
 そうもしてというのだ。
「人を見て自分の行いを言われたり反省したりして」
「修行しますか」
「家庭でも」
 こちらでもというのだ。
「そうなる。けれど」
「そうでない人もいますか」
「そう」
 まさにというのだ。
「そしてそうなる」
「どうにもならない人に」
「意識しないでも修行出来るけれど」
「稀にそうした人がいて」
「そして」
 それにというのだった。
「意識したら」
「余計にですね」
「修行出来て」
 そうしてというのだ。 
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