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とある3年4組の卑怯者

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131 罪悪感

 
前書き
 たかしが各クラスの学級委員達と共に笹山の救出に向かった。たかしは堀内と暴れん坊の集団に一方的にやられてしまっている笹山を発見する。たかしは復讐の鉄拳を堀内にお見舞いし、6年生達や警官も駆け付けたところで笹山をリンチから解放させる事が来たが、笹山は全身血だらけの重症だった!! 

 
 警察達がようやく駆け付け、山口やその子分達、堀内は皆捕まった。そしてたかしや学級委員隊、さきこら六年生、そして笹山が校庭に出た。
「さ、笹山さん!!」
 藤木は本郷とひろ子に支えられていた笹山を見て体が震え、恐ろしくなった。体はあちこち血に染まり、もはや死人のようだった。藤木は泣き叫んだ。
「笹山さん!死なないでくれ!ごめんよ!」
(藤木君・・・)
 笹山は藤木の声が聞こえたのをわずかな意識で確認した。
(よかった、無事で・・・)
「笹山さんは急いで病院へ運ばなきゃいけないんだ!!」
 本郷とひろ子は救急車の場所まで行った。
「ありがとう、皆、本当に・・・」
 藤木は泣きながら礼をした。リリィが藤木に話しかけた。
「藤木君。笹山さんに付き添ってあげたら?」
「え?僕がかい?でも・・・」
「いいから行ってあげて!!」
「う、うん・・・」
 リリィに催促されて藤木は笹山を乗せた救急車に乗った。救急車は病院へ急行した。

 リリィは笹山を乗せた救急車を見送った。
「笹山さん、大丈夫かしら?」
「あんなんで大丈夫じゃないだろ?まったく藤木君も本当に卑怯だね」
「永沢!!」
 皆は永沢を睨みつけた。
「そういう永沢だって怖くて必死に逃げてたじゃないのっ!!」
 いつの間にか城ヶ崎が永沢の後ろに立っていた。
「う、うるさい!!僕は花火を見て火事を思い出してしまったからだよ!!」
「じゃあ、どうして藤木にはそう当たりが強いのよっ!!」
「ふん、君には関係ないさ!!」
 二人は相変わらずの口論をしていた。
「まる子」
 まる子は姉に声を掛けられた。
「お姉ちゃん・・・」
「笹山さん、無事だといいわね・・・」
「うん・・・」

 笹山が救急車の車内にて傷口を包帯で巻かれ、止血の処置がされる。
「笹山さん、ごめんよ、助けに行かなくて・・・」
 藤木は泣きながら笹山に謝っていた。笹山は大量の出血で気が遠のいていたが、藤木が付き添っている事には気づいた。
(藤木君・・・)
 しかし、声がなかなか出せない。そして気を失った。

 救急車は総合病院へと到着した。笹山はすぐに手術室へと運ばれた。
「笹山さん・・・。死なないでくれよ・・・」
 藤木は笹山の回復を祈った。
 笹山は麻酔を掛けられ、服を脱がされ、酸素吸入機をつけられた。そして手術が始まる。手術は長引いた。藤木はどうして心配で手術室のドアの前のベンチに座っていた。戸川先生が藤木の元へ来た。
「藤木君」
「あ、戸川先生・・・」
「笹山さんが大怪我をしたと聞きましたが?」
「はい、僕のせいなんです!あの時・・・、笹山さんは堀内君から僕を守ろうとして犠牲になって・・・。うう・・・」
 藤木は戸川先生に対して泣くしかできなかった。
「藤木君、落ち着いてください。こんなことになったのは藤木君のせいじゃありませんから安心してください」
「はい・・・。そうだ、堀内や隣町の親分達はどうなったんですか?」
「今警察に連れて行かれ、事情を聴いています」
「そうでしたか・・・」
「藤木君、学校は今日の問題で児童達は急遽(きゅうきょ)全員下校させる事になったので、学校からランドセルを取ってきて帰って大丈夫ですよ。笹山さんについてはお母さんに電話しましたので後は私と笹山さんのお母さんで様子を見ます。藤木君、ここまでありがとうございました」
「は、はい・・・」
 藤木は学校に戻った。学校は閑散としていた。藤木は誰もいない3年4組の教室に入り、ランドセルを取って帰った。だが両親とも働きに出かけているため、家にはいない。昼食はどうしようかと考えた。
「そういえば、御飯どうしよう・・・。出前で何かとるか・・・」
 家に着いた所、一台の車が止まった。ヒデじいの車だった。車の窓が開き、花輪が顔を出す。
「Hey、藤木クン」
「花輪クン・・・。どうしたんだい?」
「君の両親はお仕事でいないってリリィクンから聞いたんでね、寂しいだろうから僕の家でlunchはいかがかい?」
「いいのかい?」
「ああ、もちろんさ」
「ありがとう、花輪クン!」
 藤木は花輪に感謝した。ヒデじいの車によって藤木は花輪家に向かい、昼食を御馳走になった。あまり食べない料理を食べたが、藤木は笹山が心配でならなかった。そしてスケートを続ける事に疑問を感じてきた。自分の周りの人間が次々と傷つけられていく事に藤木は耐えられなかったのだ。自分がスケートの地区大会に参加している間に永沢が殺されかけ、堀が彼女の学校で凄惨ないじめを受けていた事に気付けず、今日だって山根の救出を優先して笹山を生死に関わる状態に追いやってしまった。こんな自分は本当にスケートを続けていていいのだろうか?藤木は悩みだした。
「藤木クン、大丈夫かい?もしかして笹山クンが気になっているのかい?」
 藤木が顔を曇らせているので花輪が心配になって聞いた。
「うん・・・。僕があの時、笹山さんに言われて山根君を運び出すことを優先させたから笹山さんが逃げ遅れてあんな目に遭ってしまったんだ・・・。僕が悪いんだ・・・!!」
 藤木は泣き出した。
「まあまあ、それなら後で笹山クンのお見舞いをしようじゃないか」
「う、うん・・・」
 その後、藤木はもう一度、花輪にヒデじいと共に笹山が手術を受けた総合病院へと向かった。ヒデじいの車に乗っている途中、藤木はある決断を己に下していた。
(笹山さん、僕は約束を破った・・・。僕には君を好きになる資格なんかないよ。それから、僕は全国大会は・・・)

 そして、50分~1時間が過ぎ、手術は終了した。笹山は死なずに済んだのだった。 
 

 
後書き
次回:「決意」
 藤木がもう一度笹山を心配しに病院に行くと、そこには笹山の母がいた。藤木は自分が悪いと思い、笹山の母に謝罪する。そして後日、クラスの皆で笹山の見舞いに行く時、藤木は己の決意を伝えようとするのだが、それに対する笹山の反応は・・・?

 一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!! 
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