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本物の馬鹿

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第六章

「トランプはどうなんだ」
「どう見てもロシアの味方ですね」
「そうだな、若しロシアが勝ったらどうなる」
 ウクライナを侵略しているこの国がというのだ。
「一体な」
「侵略の成功ですね」
「そうなったらな」
 それこそというのだ。
「後が大変だろ」
「ロシアはさらに侵略をしかねないですね」
「ああ、ウクライナの次は東欧かも知れないしな」
「日本の可能性もありますね」
「北海道がどうとか言ってるだろ」
「ええ、キナ臭いですね」
「トランプはそのロシア寄りでな」
 そうした人物でというのだ。
「プーチンにもだ」
「やたら好意的ですね」
「ああ、ロシアは日本にとってもな」
「次は自分かもって相手ですね」
「そうしたこともわかっているのか、グローバリズムがどうとか言ってな」
「ああした人達ってやたらグローバリズム嫌いますしね」
 この経済の考えをというのだ。
「EUとか」
「理由は自分達が嫌いな相手と経済圏を組むからな」
「それだけですね」
「経済のことなんてな」
 馬鹿野達はというのだ。
「わかってないさ」
「グローバリズムは貧富を拡大するとも言われてますね」
「ラストベルト作ったとかな」
「そうですね」
「しかし世界を経済でつなげて相互関係を強めてな」
 そうなってというのだ。
「ブロック経済にしないんだ」
「ブロック経済が二次大戦の原因になりましたね」
「その教訓もな」
「知らないですね」
「そしてプーチンとトランプがグローバリズムを破壊するとかな」
 その様にというのだ。
「言って支持しているが」
「ブロック経済がいいんですね」
「そしてそれはな」
「戦争の危険を高めますね」
「連戦も要するにな」
「ブロック経済ですね」
「貧富の拡大の問題は解決してな」
 そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「やっていきますね」
「そうした考えもあるんだ、戦争していてな」
 ウクライナを侵略してというのだ。
「今度は自分達の国を攻めるかもしれない人間を攻めるなんてな」
「馬鹿の極みですね」
「馬鹿野もな」
 彼もというのだ。
「同じなんだ」
「そういうことを言っていますね」
「トランプは平和主義か」
「そう言ってますね、あの人達」
「侵略者を支持してブロック経済どころかな」
 二次大戦の原因になっただ。
「アメリカに都合のいい取引ばかり言うな」
「そんな人ですね」
「そんなので平和になるか」
「火種撒きますね」
「むしろな、そして後でな」
「その火種がですね」
「燃え上がることもな」
 トランプの政策によってというのだ。
「考えられるんだ」
「あの人どう見ても平和的じゃないですし」
「あれだけ人を罵って敵対者を攻撃してな」
「何が平和か」
「そうだ、そんなこともな」
「あの人達はわかっていないですね」
「何もわかっていないしわかろうともしないでな」
 そうしてというのだ。
「とんでもない奴が好きで偏見の塊だ、そんな奴こそだ」
「本物の馬鹿ですね」
「そうだ、わかってくれたか」
「はい、よく」
 石田は答えた、そして以後馬鹿野を反面教師として生きていった。尚馬鹿野は石田が彼について確信して暫く後に偏見に満ちた書き込みや愚かな殺人予告が通報されて逮捕された、そして仕事も失ったと聞いた。石田はその輪を聞いた時本物の馬鹿に相応しい結末だと思ったのだった。


本物の馬鹿   完


                    2024・2・28 
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