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本物の馬鹿

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第五章

「知ろうともしていないですね」
「ソ連の時何があったとかな」
「ホロドモールとか」
「知ってもな」
「どうでもいいですね」
「ああ、それにトランプの言うことを聞くんだ」
 彼のというのだ。
「自分しかないだろ」
「ええ、見事に」
「自分しかなくてな」
 そうしてというのだ。
「恥もな」
「知らないですね」
「人を利用することしかな」
「考えていないですね」
「アメリカのことなんてな」
 それこそというのだ。
「考えてないんだよ」
「世界のことも」
「ディープステートがあったとするぞ」
 彼の支持者達が言う様にというのだ、馬鹿野の様な。
「あんな奴が戦えるか」
「自分しかない人に」
「それこそ誠実で他の人のこともアメリカのこともな」
「そして世界のこともですね」
「考えられるな」 
 そうしたというのだ。
「心ある人でないとな」
「出来ないですね」
「ああ、そもそもそのディープステートもな」 
 これもというのだ。
「陰謀だよ、テイラー=スウィストがどうとかな」
「それはあの人言ってませんでしたね」
「しかしな」
 それでもとだ、彼は石田に話した。
「あの連中言ってるだろ」
「陰謀論で」
「それでスウィストへのトランプの発言もな」
「何か酷いですね」
「著作権を改正してな」 
 自分の任期中にというのだ。
「儲けさせてやったからな」
「自分を支持する筈で」
「バイデンさんを支持したらな」
 そうしたならというのだ。
「裏切りだとかな」
「品性の欠片もない言葉ですね」
「その品性もだよ」
 この人間に必要な要素もだというのだ。
「トランプにはないだろ」
「だから性犯罪でも経営でも水増しみたいなこともして」
「敵対者を貶めてな」
「徹底的に」
「嘘もな」
「次々に吹聴するんですね」
「証拠を出さないで言うとな」 
 そうすればというのだ。
「嘘だってな」
「思われますね」
「ああ、本当にトランプはな」
「嘘吐きで極端なエゴイストで」
「品性もなくて偏見もな」
「どう見ても女性蔑視とか人種的偏見強いですね」
「ああ、それでな」 
 そうした人物でというのだ。
「そんな奴を崇拝すらしている馬鹿野はな」
「本物の馬鹿ですね」
「わかったな」
「はい、よく」 
 石田は真顔で答えた。
「あの人は本物の馬鹿です」
「何でも実家じゃ親御さん達が泣いてるらしいぞ」
「あんな人が息子だからですか」
「自分達の息子はこんなに馬鹿なのかってな」  
 その様に思ってというのだ。
「自分達はこんな馬鹿な人間を育てたのかってな」
「親不孝ですね」
「当然そのことにもな」
「わかっていないですね」
「馬鹿だからな」 
 そうであるからだというのだ。
「そもそもな」
「そうですね」
「大体ウクライナとロシアの戦争もな」 
 今度は世界に災厄をもたらしているこの戦争の話もした。 
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