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神々の塔

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第五十八話 見えてきたものその五

「自分のやるべきことをやる」
「一人一人がな」
「それも力を合わせてな」
 そのうえでというのだ。
「それが大事やから」
「あと四割な」
「登っていくんや」
「もう半分過ぎた」
「そう思いながらな」
 そのうえでというのだ。
「行くで」
「いや、うちは最初から一階一階数えてたわ」
 綾乃は自分はと話した。見れば今も中里と羅、トウェインが最前列でアレンカールが遊撃的なポジションにいる。施とメルヴィル、芥川は忠烈で後列はリーとシェリルそれに綾乃という配列になっている。
「ずっと」
「綾乃ちゃんはそやったか」
「千里の道も一歩からで」
 羅にいつものややおっとりとした口調で話した。
「それを踏みしめていて」
「実感してか」
「踏破した時に」 
 まさにその時にというのだ。
「やったって思いたいさかい」
「いつも数えてるか」
「そやねん」
 羅に笑顔で話した。
「うちは」
「それでそうやってるんやな」
「そうやねん」
「成程な」
「アレンカール君の考え方もええと思うけど」
「綾乃ちゃんはやな」
「そうしてるねん、いつも」
 そうだというのだ。
「最後までいけるっていつも思ってるし」
「どんな長い道でもか」
「そやねん、長くても」
 その道のりがというのだ。
「歩いていったら最後には」
「踏破出来るな」
「どんな道でも。途中休憩してもええし」
「休みながら進んでもええか」
「ゲーテさんかてファウスト完成させたけど」
 若きウェルテルの悩みと並ぶ代表作である。
「六十年かかってるし」
「人の寿命位あるな」
「当時五十年って言われたけどやね」
「十年も越えてるな」
「構想からはじまって」
 話のそれのだ。
「それでやねん」
「六十年やな」
「それだけかけて完成させてるさかい」
 ファウストをというのだ。
「うち等もやで」
「休みながらか」
「進んでいったらええで」
「それで踏破すればか」
「そう考えてるさかい」 
 だからだというのだ。
「うちはずっとやねん」
「最初から数えてるか」
「休むべき時に休みながら」
 そうしながらというのだ。
「進むねん、ただ休んでもええけど」
「諦めたら終わりやな」
 シェリルが言ってきた。
「もうあかんってな」
「そやな」
「そや、ただ気を取り直して」
 羅にそれでもと話した。 
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