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神々の塔

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第五十七話 音楽の神霊その十一

「曲がったことはしないぞ」
「いえ、充分トンデモですから」
 メルヴィルが冷めた目と声で答えた。
「何もかもが」
「皆そう言うが断じて違うぞ」
「違わへんかと、それで後でベートーベンさんともですね」
「戦ってくれるな」
「そうさせてもらいます、ほなまずは」
 メルヴィルもまたシューベルトと対した、そしてだった。
 偉大な音楽家達との戦に入った、やはりシューベルトも他の音楽家達も強かった。祭儀はベートーベンだったが。 
 重圧に満ちた音楽の攻撃に一行は苦戦した、だが何とか勝ってだった。
「いや、音楽家さん達との戦もな」
「大変やったな」
 中里と羅は戦に勝ってから傷付いた身体で話した。
「何かとな」
「めっちゃ強かったな」
「当たり前だ、私の音楽は万人いやこの世界では億人がひれ伏すものだ」
 ベートーベンは負けても尊大でありふんぞり返っていた、そのうえで言うのだった。
「それで何故弱い」
「億人ですか」
「そやからですか」
「そうだ、だがその私そして他の神霊達に勝ち」
 ベートーベンは腕を組み胸を反り返らせた姿勢でさらに言った。
「見事ヘル=モーツァルトにも勝った、誇って先に進むのだ」
「先輩やからヘルですか」
「その呼称付けますか」
「左様、ヘルの人間性も音楽も嫌いだが才能は本物だ」
 これはというのだ。
「だからよくぞ倒したと言っておく」
「そうですか」
「そういうことですね」
「そうだ、では先に進むのだ」
 まさにというのだ。
「いいな」
「はい、それでは」
「そうさせてもらいます」
「その様にな、さて私は神界に戻ればまた作曲だ」
 それに励むというのだ。
「楽しみだな」
「あっ、その前に朝のコーヒーですね」
 ここで綾乃がこの話をした。
「そうですね」
「豆の粒数も数えたうえでな」
「それは欠かせへんですね」
「コーヒーを飲んでこそだ」
 ベートーベンもまさにと答えた。 
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