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カードにも転売ヤー

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第一章

                カードにも転売ヤー
 八条グループ系列の企業の一つ八条ホビーが経営している八条カードショップ奈良店においてだ、松村忠は雇われ店長をしている。
 癖のあるダークグリーンにも見える黒髪と太い鉤爪型の眉に剽軽そうな顔立ちの二十代後半の男である。背は一七六位で痩せている、趣味はジム通いとゲームである。
 彼は大坂の本社から来た人にだ、今店内で言われていた。
「えっ、カードにもですか」
「はい、転売する人がいまして」
「カードって子供のおもちゃですよ」
「おもちゃでも資本主義の中にありますね」
 本社の人は松村に真顔で話した。
「ですから」
「転売もありますか」
「はい」
 その通りだというのだ。
「これが」
「そうなんですか」
「それで、です」
 本社の人はさらに言った。
「松村さんにもです」
「所謂転売ヤーにですか」
「気を付けて欲しいです」
「そうですか、ですが具体的にどうすればいいんでしょうか」 
 松村は本社の人に真剣な顔で問い返した。
「転売防止といいましても」
「転売は犯罪ですから」
 本社の人は松村にきっぱりと答えた。
「そこはです」
「断っておきますか」
「お店に。これは各店に義務付けしてもらっていますが」
「うちだけじゃなくて」
「はい、転売はどどうして駄目か」
 行っては駄目かということと、というのだ。
「そして犯罪だということを言うポスターを配布しますので」
「お店に貼るんですね」
「そうして下さい、啓発のポスターです」
「それを作ってくれたんですね」
「本社の方で。ですから」
「お店に貼りますか」
「どういった法律に触れてどういった刑罰を受けるか」
 そうしたことをというのだ。
「ポスターにしっかり貼ってありますので」
「だからですね」
「そのポスターを貼ってもらって」
 店にというのだ。
「主なお客さんの子供さん達には小さい頃から知ってもらって」
「大人の人が来てもですね」
「親御さんも来られますね」
「はい」 
 松村はその通りだと答えた。
「そうです」
「そうした人達にもお話して。それで悪質な転売ヤーはもうブラックリストを作成しています」
 そうしたこともしているというのだ。 
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