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星河の覇皇

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第八十六部第一章 貴族達の嘲笑その十四

「そしてです」
「匂いもですね」
「そちらもお好きですね」
「ブルーチーズのそれも」
「左様ですね」
「はい、特にです」
 カミュは客人達に明るく笑って話した。
「匂いのきつい種類が」
「ブルーチーズの中でも」
「とりわけですね」
「お好きなのですね」
「匂いがきついものが」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「連合の相手もです」
「お好きですか」
「巨大であっても」
「そしてですね」
「あの長官殿も」
「これ以上はない強敵ですが」
 それでもというのだ。
「面白い相手です、連合は蛮人の集まりですが」
「はい、豊かではありますが」
「猥雑で下品な者達です」
「左様です、ですが」
 連合はそうした国だがというのだ。
「巨大ですね、巨大な敵を倒すのは英雄の務めですね」
「北欧神話でもギリシア神話でもそうですね」
「雷神トゥールは多くの巨人を倒しました」
「ペルセウスは巨大な鯨を石にしてアンドロメダを救いました」
「ジークフリートは竜を倒しています」
「ゲオルギウスもですね」
「巨大な獣を倒すことは」
 連合をそれに例えていることは間違いない、カミュの今の話に対して全ての客人達が確信したことである。
「英雄の仕事です」
「左様ですね」
「ではですね」
「首相もですね」
「戦われますね」
「そうします、そして」
 そのうえでというのだ。
「倒します」
「連合という巨大な獣を」
「そうされますか」
「だからでですか」
「楽しまれますか」
「そのつもりです、ブルーチーズも」
 これもというのだ。
「特に匂いの強いものが」
「左様ですか」
「では今もですね」
「ブルーチーズを口にされますか」
「その様にされますか」
「はい、連合はその極めて臭い」
 そうしたというのだ。
「ブルーチーズの様なものです」
「戦うのが楽しみですか」
「そしてあの長官殿もですか」
「ブルーチーズですか」
「いえ、彼はワインです」
 ここでカミュは赤ワインを飲んだ、そのルビーを溶かした様な美酒を飲み干してそうしてからまた言った。
「言うならば」
「ワインですか」
「あの長官殿は」
「そうなのですか」
「そう見ています、連合はブルーチーズで」
 そしてというのだ。
「あの長官殿は極上のワインです」
「そういえば品がありますね」
「言われてみますと」
「そうですね」
「あの御仁は」
「ですから極上のワインなのです」
 実際に八条に気品があるからだというのだ。 
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