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八条学園騒動記

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第七百三十八話 銀の薔薇その七

「人気がないとね」
「駄目よね」
「漫画でもアニメでもね」
 歌劇だけでなくこうした媒体でもというのだ、創作の世界も非常に色々なジャンルがあるということだ。
「兎に角ね」
「人気ね」
「それで元帥夫人は人気がある」
「そのことは事実ね」
「多くの歌手の人達が歌って来て」 
 ソプラノのというのだ。
「尚更ね」
「人気出たのね」
「ずっとね」
 薔薇の騎士という作品が世に出てからというのだ。
「そうよ」
「そうなのね」
「ちなみに私も好きだし」
 レミもというのだ。
「貴族だけれど」
「それを超えた魅力があるわね」
 七海が言ってきた。
「あの人には」
「そう、大人の女性のね」
「優雅で気品があって」
「しかも達観と諦めもあってね」
「そうよね、ただね」 
 七海はここでこう言った。
「あのひと三十二歳よね」
「そうよ」
 レミはその通りだと答えた。
「あの人はね」
「若いわよね」
「凄くね」
「これからじゃない」
 三十二歳といえばというのだ。
「人生ね」
「二十五歳がはじまりっていうしね」
「暁だってね」
「それで三十二歳なら」
 それならというのだ。
「人生その倍以上、六十八年もね」
「あるわね」
「人間百年だから」
「けれど当時は五十年でしょ」
「人生は」
「平均寿命ずっと短かったからね」 
 この時代よりもというのだ。
「だからね」
「それだけね」
「そう、短くてね」 
 その人生はというのだ。
「だからね」
「それだけね」
「そう、三十二歳でね」
「そろそろだったの」
「これからじゃなくて」
「それであんなに憂いがあるのね」
 七海は花を観つつ思って言った。
「元帥夫人って」
「そうなのよ」
「成程ね」
「けれど三十二歳にね」
 レミはあらためて言った。
「自分がなった時に」
「ああした人だと」
「素敵ね、不倫はしないけれどね」
 それでもというのだ。
「ああした優雅で気品があって」
「色々わかっている」
「そうした人になれたら」
 それならというのだ。 
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