| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八十六部第一章 貴族達の嘲笑その五

「やはりです」
「中絶の是非は議論されていますね」
「左様ですね」
「あの国でも」
「やはり常に賛成派が勝っていますが」
 エウロパと同じく連合でもというのだ。
「しかしです」
「議論がありますね」
「宗教的だけでなく政治的にも」
「宗教はその人の信仰つまり倫理ですし」
「倫理も政治に関わってきます」
「政治は人間が行うものです」
「人間には倫理がありますので」
 カミュはまた言った。
「ですから」
「どうしてもですね」
「宗教的な問題で終わらず」
「政治にも関わり」
「議論になりますね」
「政教分離を行っても」
 それでもというのだ。
「それが完全になるかといいますと」
「そうではないですね」
「そもそも政教分離は宗教団体の政治への介入を否定するものです」
「それぞれの信仰を否定するものではありません」
「むしろ信仰の自由とセットです」
「そこから宗教も政治に関係しますね」
「そうです、個人の倫理観に介入は出来ません」 
 少なくとも民主主義国家ではそうだ、そしてエウロパも民主主義国家であるのだ。これは紛れもない事実だ。
「ですからどうしても宗教は政治に関係します」
「倫理という形で」
「それで中絶問題にも関係する」
「そうなっていますね」
「そうです、ですから」
 どうしてもというのだ。
「この問題は複雑ですが」
「今の政府としてはですね」
「それは続ける」
「そうしていかれますね」
「首相としても」
「私はキリスト教はカトリックです」
 そしてギリシアや北欧の方の信仰も持っている。
「ですが」
「カトリックこそ最も中絶に否定的です」
「今もそれは変わっていません」
「ですがそれでもですね」
「首相としては」
「個人の信仰よりも」
 カトリックのそれよりもというのだ。
「政治を考えますと」
「中絶を認められる」
「左様ですね」
「その様にお考えですね」
「はい、あと私は個人的にもです」
 政治家ではく私人としてもというのだ。
「中絶についてはです」
「肯定的ですか」
「カトリックでも」
「そうなのですね」
「はい、やはりそれぞれの事情がありますので」
 それ故にというのだ。
「ですから」
「左様ですか」
「そうですか」
「私人としてもですか」
「そうお考えですか」
「そうです、これは余談ですが」
 私人としての考えはというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧