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八条学園騒動記

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第七百三十六話 広い部屋その十

「この国は」
「そうだ、凶悪犯には容赦しないが」
「残虐な処刑を与えますが」
「しかしだ」
「凶悪犯以外にはですね」
「例え工作員でもな」
 敵国であるエウロパのというのだ。
「命は尊びな」
「粗末にしないですね」
「若し捕らえられてもだ」
 連合側にというのだ。
「無体なことはだ」
「しないですね」
「そうだ、捕虜収容所に入れてだ」
 まずはそうしてというのだ。
「そしてだ」
「それからですね」
「収容所で一切危害は加えられず」
「外交交渉の道具にしますね」
「エウロパとな、身代金等を出させて」
 そうしてというのだ。
「マウリアを仲介してだ」
「本国に強制送還ですね」
「そうする、ただ捕まった工作員はだ」
「無能とみなされます」
「本国に帰ってもな」
 そうなってもというのだ。
「将来はだ」
「暗いですね」
「立場や将来の年金等は保証されても」
「冷や飯食いですね」
「連合で言うとその立場になる」
 そうだというのだ。
「その時はな」
「左様ですね」
「辛い立場にはな」
 それにはというのだ。
「なる」
「左様ですね」
「だからな」
 それ故にというのだ。
「捕まることはな」
「避けないといけないですね」
「実際捕まって生涯そうした待遇になった工作員もいる」
 冷や飯食いの立場になったというのだ。
「少なくとも士官学校を優秀な成績で出て軍の大学に進んでもな」
「エリートコースですね」
「しかも貴族であってもな」
 エウロパという階級社会でというのだ。
「それでもな」
「将来は暗くなりますね」
「軍ではな、そして軍を辞めてもな」
「後ろ指を刺されますね」
「捕まった無能者としての評価をだ」 
 まさにそれをというのだ。
「受ける」
「そうなりますね」
「だからな」
 それ故にというのだ。
「私達はだ」
「身を立てたいなら」
「軍の中でな、それならな」
「工作員とばれず」
「捕まらないことだ、若しばれそうなら」
 その時はというと。
「マウリアの大使館か領事館にだ」
「入ることですね」
「逃げ込むとも言うが」
 そうもというのだ。 
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