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八条学園騒動記

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第七百三十六話 広い部屋その八

「それはそれでだ」
「問題ですね」
「巨人病と言ってだ」
「一種の病気ですね」
「その体格に心臓が追い付かなくなる」
「人間の心臓の大きさは決まっているので」
「だから大きくなり過ぎるとな」
 その場合はというと。
「長生き出来ないのだ」
「そうなりますね」
「だから連合でもな」
「それ以上の体格にはですね」
「ならない、二メートル三十位がだ」
「限度ですね」
「それ以上はない」
 どうしてもというのだ。
「連合でもな」
「大きさには限度がありますね」
「人間の成長は無限というが」
 それでもというのだ。
「体格にはな」
「限度がありますね」
「通常は何処かで成長が止まる」
 巨人病でなければというのだ、尚連合ではそうした身体に関する病の研究や治療もかなり進んでいて巨人病も完治するものになっている。
「だからな」
「連合もですね」
「流石にだ」
「それ以上は大きくならないですね」
「アンドレ=ザ=ジャイアントというプロレスラーがいた」
 二十世紀後半に活躍した人物である。
「二メートル二十は優に超えていた」
「今の連合でも大きいですね」
「人間山脈と言われていた」
「そこまで大きかったですね」
「だが彼の家族はだ」
「まさかと思いますが」
「そのまさかだ」
 上等兵に真剣な顔で答えた。
「彼より大きかった」
「全員がですか」
「どうも彼の家族は全員だ」
「巨人病だったのですか」
「そうかも知れない」
「それでそれだけの体格でも」
「彼の家は山奥で樵をしていたからな」 
 フランスの山奥でだ、尚彼はポーランド系だった。
「長い間家族以外の人を知らないでな」
「小さいと思っていたのですね」
「そうだった、しかしな」
 それがというのだ。
「実はな」
「大きかったのですね」
「当時ではそこまで言われていた」
 人間山脈と、というのだ。
「そしてその体格を活かしてだ」
「プロレスラーになりましたね」
「そうなった、そこまで大きくともな」
「周りがより大きいとですね」
「小さくなる」
「それが体格というものですね」
「だから我々も連合の中ではだ」
 祖国では違ってもというのだ。
「小柄になる」
「ややでもですね」
「だからこの部屋で暮らしていてもな」
「広く感じますね」
「連合では標準でもな」
「家具も含めて」
「そうだ、服のサイズもな」
 これもというのだ。
「やはりな」
「エウロパとは違いますね」
「食事の量までな」
「全てですね」
「そうだ、その広さと大きさとだ」   
 そしてというのだ。 
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