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神々の塔

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第五十五話 食事その一

                第五十五話  食事
 今一行は食事を摂っていた、夜になっていたので寝る前の夕食だ。 
 十人で鍋を囲んでいる、施はそこから肉を取ってかぶりついてから言った。
「この塔夜になると暗くなるさかいな」
「ええな」
「ああ、時間がわかりやすくてな」
 森の迷宮の中にいる、そのうえでメルヴィルに応えた。
「有り難いわ」
「夜になると暗くなってな」
「朝になると明るくなる」
「迷宮の中を照らすヒカリゴケがそうした種類でな」
「ほんま助かるわ」
「そやな、ダンジョンにおるとな」 
 メルヴィルは骨付きの肉を食べつつ言った。
「どうしてもな」
「時間がわかりにくいな」
「時計は持ってるけどな」
 メルヴィルは自分の左手の腕時計を見て応えた。
「今七時や」
「丁度か」
「そや、それでわかるけどな」
「明るくなったり暗くなったりな」
「そうなるとな」
「実感出来てな」
 それでとだ、施もまた骨付きの肉をかぶりつつ応えた。
「有り難いな」
「ほんまな」
「それだけで全く違うわ」
「ああ、それでこうして三食考えて食える」
 羅は鍋の中の山菜や茸を取って食べた。
「それだけでな」
「ちゃうさかいな」
「食事は決まった時間にや」
「食べるのが一番や」
「それでや」
「今の自分等はな」
「調子がええ、それに食いもの自体もな」 
 羅は施に今食べているそれを見つつ言った。
「こうしてな」
「ええもん食えてるな」
「倒した猪とな」
 この階にいる獣である。
「集めた山菜と茸を一緒に入れて食う」
「これがまた美味いわ」
「ほんまな」
「猪は美味いわ」
 トウェインは笑って言った。
「何しろや」
「豚の元やからな」
「豚は猪を家畜にしたもんや」
「そやから美味くて当然や」
 施は言い切った。
「豚に近い味でな」
「そやな、ちょっと匂いがして固いが」  
 その肉はというのだ。
「美味いわ」
「ほんまにそやな」
「ちゃんと塩も使ってるし」
「ええな、ただ」
 施は綾乃を見て言った。
「綾乃ちゃん今回調理したけど」
「どないしたん?」
「いや、味付けお味噌使ったな」
 塩だけでなくというのだ。
「そうしたな」
「そやけど」
「それが美味いわ」
 綾乃に笑顔で言うのだった。
「お味噌がな」
「お鍋に合うね」
「ほんまな」
「猪は匂いがきついから」 
 綾乃はそれでと話した。 
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