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八条学園騒動記

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第七百三十五話 コアラとカモノハシその十一

「どうにもならない、まして働かず人格もどうにもならず何も持っていないし出来なくてだ」 
「そうした有様で、ですね」
「学ばずな、それではな」
「どうにもならないですね」
「誰が何をしてもだ」
「救われないですか」
「そうなる筈がない」
 大尉は言い切った。
「世の中救われない者もいる」
「人の手では」
「そして神々も信じないならな」
「神々もですね」
「手を差し伸べない」
「信じる者は救われるですか」
「人は己の力だけで生きられない」
 大尉はまた言い切った。
「実に小さな連中だからな」
「それで、ですね」
「そんなことは出来ない、野生でもな」
「一匹ではですね」
「生きられる生きものは少ないな」
 単独行動している種類はというのだ。
「非常に」
「子供の頃は絶対に無理ですし」
「ましてや人は社会的生物だ」
「だからこそですね」
「一人で、自分だけの力ではな」
「生きられないですね」
「それがわからないのではな」
 そうした有様ではというのだ。
「生きられない、ましてや今話した様な愚かさでは」
「尚更ですね」
「出来る筈がない」
 それこそというのだ。
「無神論者全てがそうではないにしても」
「愚か者が多い」
「私はそう思う、それこそここの生きもの達よりもだ」
 カモノハシ達を観つつ話した。
「愚かだ」
「そこまで、ですか」
「私は思う、知能指数の問題でなくな」
「愚かさのレベルがですね」
「そこまで至る」
 こう言うのだった。
「知能指数が高くともだ」
「愚かでありますね」
「考え方が間違っていることをだ」
「愚かと言いますね」
「そして連合は愚かと言われるが」
 彼等の国エウロパでは常である。
「しかしな」
「それはですね」
「実は違う」
「考え方がしっかりしていますか」
「そうだ、だからな」
「連合は愚かではない」
「このことをだ」
 まさにというのだ。
「覚えておくことだ」
「それがいいですね」
「そうだ、ではな」 
 大尉はさらに話した。
「そろそろ閉園時間だしな」
「帰りますか」
「そうしよう」
 こう言ってだった。 
 大尉は上等兵を促して出口に向かった、そうして動物園を後にして自分達が今住んでいるマンションに戻るのだった。


コアラとカモノハシ   完


                   2023・10・9 
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